建物譲渡特約付借地;建物譲渡代金額;「相当の対価」~法定更新の適用がない借地←→建物譲渡特約付借 | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
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Q 建物譲渡特約付借地において,譲渡する際の建物の代金,
  はどのような金額を決めても良いのでしょうか。


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A 当事者間の合意で定めます。
  裁判所が算定する手続(非訟)はありません。
  ただし,金額が相当性の範囲を逸脱すると無効とされることがあります。


【建物譲渡特約付借地;建物譲渡代金額;「相当の対価」】
Q建物譲渡特約付借地において,譲渡する際の建物の代金,はどのような金額を決めても良いのでしょうか。

A当事者間の合意で定めます。
裁判所が算定する手続(非訟)はありません。
ただし,金額が相当性の範囲を逸脱すると無効とされることがあります。

借地借家法上,譲渡時の代金額について,「相当の対価」と規定されています(借地借家法24条1項)。
一方,裁判所が決定するというような規定はありません。
結局,当事者の合意で定める,ということになります。
そして,合意額が「相当の対価」の範囲を逸脱していると無効となることがになります。

ここで,「相当の対価」(相当性)については,次のような解釈論があります。

<「相当の対価」の解釈論>
1 建物買取請求権の場合の「時価」に関する↓の判例と同様と考える説
→稲本洋之助他編『コンメンタール借地借家法』(第3版)日本評論社186頁
 <流用する判例>
 昭和35年12月20日最高裁(後掲)
  <概要>
  建物買取請求権の価格=建物の現存する状態での評価額+場所的利益

2 24条における特殊性を考慮すべきとする説
→澤野順彦『論点借地借家法』青林書院154頁
「単に,建物の現存価格に場所的環境を参酌すればよいわけではなく,借地権の残存期間,法定借家権が発生すること及び法定借家権の賃料(想定額)その他建物譲渡特約付借地権であることなどを考慮した相当な額でなければならないと解せられる」
 <24条における特殊性;建物買取請求権の場合との違い>
 ・建物譲渡が当初から予定されている。
 ・建物譲渡時期と借地権の存続期間が必ずしも一致せず,そのことが当初から明らか。
 ・法定借家権の発生がありうること。

現時点で,判例等による解釈の統一はなされていません。
ただ,「1」は非常に硬直的ですので,「2」の説が有力であると考えられます。
その場合に,「相当性」判断で考慮される各種の要素は次のとおりです。

<相当性判断要素の例>
・権利金授受の金額(有無)
・借地契約の残存期間
・法定借家権の賃料
・建物を地主が買い取ることによる経済的な負担
・譲渡時の建物の状況
・譲渡時の社会経済の状況
・その他の借地条件

[借地借家法]
(建物譲渡特約付借地権)
第二十四条  借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
2  前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
3  第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

[昭和35年12月20日 最高裁第三小法廷 昭34(オ)730号 建物買取代金請求事件]
借地法一〇条にいう建物の「時価」とは、建物を取毀つた場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格である。そして、この場合の建物が現存するままの状態における価格には、該建物の敷地の借地権そのものの価格は加算すべきでないが、該建物の存在する場所的環境については参酌すべきである。

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