護国夢想日記さんのブログより
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塚本三郎  「終末を迎えた民主党政権」
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◎消費税増税にかける野田首相 
          
野田首相は、消費税増税に政治生命を懸けると宣言している。
「これによって、社会保障の将来像に不安がなくなるとし、国民の消費意欲が喚起され、経済が活性化されると信じている。

――政府によると増税分は社会保障に充当し、国民に還元されるから、景気は悪くならない」と云う。
 

日本の消費税は、文明諸外国に比べて、最も低い、例えば韓国一〇%、米国一五%、北欧諸国二〇~二五%だ。それゆえ自民党の一〇%の主張は、当を得ている。
 
日本政府の背負っている借金(国債)は、約一千兆円で、国民総生産(GDP)の二倍を超えており、世界中で最高率の負債を抱えていることは重大事である。
 
加えて、社会保障に要する税は、人口比率の高齢化に伴って、年々増加している。
 
直接税のみでは、日本政府の財政は持たない。いや諸外国のすべては、「直、間比率」を併行させている。野田首相の主張はその点では正論である。
消費税増税そのものが悪いと言うのではない。

だが、不況下での増税で景気がよくなった例はない。日本の現実は「慢性デフレ不況」の真っ只中である。二〇一一年の名目GDPは一九九七年に比べて一一・五%、四十五兆円も減っている。

政府に先ず求められることは、「景気の回復」である。消費税の増税は、むしろ景気後退の引きがねとなり、消費の減退となるのが過去の例であると識者は警告する。
重ねて云う、物事を行なうには、時期と、対応が必要である。特に増税に対しては、その点を高所から判断すべきで、目下、最大の政治施策は、一にも二にも、景気回復である。
 
景気回復、デフレ解消こそ、日本人の働く意欲を活かすことでもある。
 
働きたくとも、その仕事が無ければ働けない。日本人は本来、働くことこそ、生きているための天命と信じて育てられた。

 今日の日本社会は、GDPで五百兆円を割っている。本来ならば未だ、二百兆円から三百兆円を増産出来る、増産の余力が残されている。今日の日本は、生産の余力を捨てている。

「もったいない」の一語に尽きる。国民の怠慢ではなく、「政治の怠慢」である。
 問題は、これに挑戦する政府の「インフレ・ターゲット」の実行である。
 
日本は、資源不足により、インフレに苦しめられた歴史の連続であった、その「病状の如き」インフレのみが、日銀の頭から離れない。

デフレには、民間企業が不足している事業の代りに、政府が公共事業と云う名の、政府発注の、国土発展の為の、各分野の仕事を注文する。ケインズ経済の原点は、そこに在る。
野田首相が消費税増税に、政治生命を懸けると言うのは逆ではないか。
自分の政治生命は、そんなに長くは続かないことを悟っているからだろうか。
ならば後世に名を残した竹下登元首相にまねて、消費税を増やし、華やかに散れば良い。
政治家の立派な事績となる。それも政治家としての、一つの生き方である。

◎公約違反と優柔不断

それには、消費税が成立したら、直後に国民に対し信を問え、と衆議院の解散を迫る。
解散総選挙を行なえば、民主党の敗北は避けられないようだ。
 
そこで野田首相は、自民党と組んで、増税成立によって名を残すが、解散によって身は直ちに亡びても良いとするのか。解散には、民主党内に反対の大合唱が待ち構えている。 
 

それよりも、与党も、野党も、自分本位の国会運営で、消費税増税には「進むことも退くことも」出来ないと、採決を先送りして、来年まで「何も決められない内閣」となり、生き恥を晒しても、権力にシガミツク「政権亡者」に終わるのか、その真意が見えない。
 
何も決められない内閣との悪評が、野田政権の定評である。

 何も実行出来ないことを悟らずに、?の総選挙で、大衆迎合の「各種バラ蒔き」政策を、無責任にも公約として掲げて勝利した、その結果の民主党政権の末路である。

しかも、その時の主役小沢派を除外しての組閣であれば、まず足下から反対の声「公約を守れ」が、「正論として」飛び出して来る。野田首相としては、覚悟の上だろう。
 
生き残る対策として、自民党旧政権代々の、政策に歩み寄るより仕方がなかった。
 
政策として、まず自民党にスリヨルことで、協力が得られつつある。

それでも自民党は、選挙のときの公約を、殆んど捨てての歩み寄りだから、改めて「選挙を行なうこと」を条件としての協力になる。それこそが民主政治の原点だよと叫ぶ。
 

日本国家は、敗戦の汚名を受けたりとは云え、アジアに於いては、絶対的信用を得ている超一流の強力な国家である。
そして日本国民も、世界中で最も信頼されている一流の民族である。


 残念なことは、民主党政権が、盲目的国政運営を重ねていることである。
野田首相の真意を、国民はもとより諸外国も量り兼ねている。言行が不一致であるから。消費税増税に政治生命を懸けると、何度も宣言してみせたが、未だ信用出来ない。

国会に提出されている、幾多の諸法案は、歴代政権のうちでは、最低の成立であるから。
 
弁明だけは鮮やかである。親切な解説は善人そのものに聞こえて来る。
首相が敵を作りたくないことは理解する。しかし、政治政策に反対は付きものである。
何も決められないことは、敵を作りたくないことの裏返しである。

 現在の日本は、極めて厳しい状況下に置かれている。政治も、外交も、経済も、超一流を果たさねばならぬ日本の立場に在りながら、三流の仕事より行われていない。
 

何も決められないこと、何もしないことは、日本国家の進む道を塞いでいることになる。
 
それは怠慢ではなく、結果として、「日本国家衰亡」への道を進めていることになる。だからこそ、国民は政治の出直し、即ち国会の解散を求めているのだ。
 
野田首相は、今こそ総理大臣としての、国政の方向を実行によって明示すべきである。
 
民主政治が数の政治であるから、国会内や、与党、野党、各政党の動向を見極めなければ、方針は決めにくいことは充分に承知している。
 
しかし、一国の最高責任者が、「あなたまかせ」で時を過ごすから国民は苛立っている。
 だからこそ、強力なリーダーシップを発揮することが生き残る近道だと思う。
いや、生き残れなくても良い、せめて一身に非難を浴びても、初心を貫くと決意せよ。
 
客観的には、漸く自民党との協力に踏み切ったとみる。党内で、反旗を翻す小沢一派には、非協力は覚悟の上との表現が、今度の内閣改造で示されたとみる。




「蘇れ美しい日本」第1209号 より




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