女性皇族は尊称保持 皇室典範改正の柱に 政府方針
2012.6.28 01:37

皇室典範改正をめぐり、政府は27日、女性皇族が結婚後も「内親王」などの尊称を保持し、公務を継続できるようにすることを改正案の柱に位置付ける方針を固めた。女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設には「女系天皇容認につながる」として反対論が強いことから妥協案として浮上した。天皇、皇后両陛下のご負担軽減や、将来にわたる皇室活動の維持発展にもつながるため、政府は年末までに改正案をまとめ、来年の通常国会提出を目指す。

 現行の皇室典範では、女性皇族のうち天皇の子、孫を「内親王」、ひ孫以下を「女王」と規定。女性皇族は、皇族以外の人と結婚すれば皇室を離れ、夫の姓を名乗ることになっている。

 新たな改正案は、女性皇族は、結婚しても、内親王や女王の尊称を保持し、皇室の公務を続けることができるようにする。この際、身分を終生皇族とするか、民間とするかどうかが今後の議論の焦点となる。


 当初の典範改正の目的である女性宮家創設に関しては今後も検討を続けるが、政府内では「尊称保持を先行させた方が円滑に改正できる」として先送りすべきだとの意見もある。

 また、天皇陛下の長女で結婚後、民間人となった黒田清子さんの皇族復帰に関しては、皇室典範改正だけでなく新規立法の必要があるため見送る公算が大きい。戦後、皇籍離脱を余儀なくされた旧11宮家の復帰や、旧宮家の男系男子を養子に迎えられる制度改正も先送りとなる見通し。

女性宮家創設に関しては、女性皇族が一般男性と結婚し宮家を創設した場合、子供が史上例のない女系皇族となるため、男系継承堅持を求める慎重派は「女系天皇容認につながる」と反発してきた。

 政府が実施している有識者ヒアリングでも、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は「皇室の本質を根本から変えかねない」と反対を表明、百地章日本大教授らも異議を唱えた。

 ただ、櫻井氏も女性皇族の尊称保持については「皇室の未来に明るいエネルギーを注入する」と賛意を表明。百地氏も明治憲法下の旧皇室典範でも称号保持が認められていたことを理由に賛意を示した。


 ■皇室典範改正 平成17年、小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関が皇位継承資格を女子や女系に拡大する皇室典範改正を求めた。野田佳彦首相は「皇室活動の安定性確保は喫緊課題だ」として女性宮家創設に向け、2月に有識者ヒアリングを始め、これまでに計10人から意見聴取した。今秋にも政府見解をまとめ、国民の意見公募を経て年末までに皇室典範改正案を策定する方針。

産経新聞:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120628/plc12062801370000-n1.htm





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