2人分の料理を並べたテーブルにユンホさんと

向き合って腰掛けた

 

「あれ?チャンミンは食べないの?」

 

僕の前に料理が置かれていないのに気づいて

ユンホさんが僕に尋ねた

 

「僕は、家で食べて来ましたから

    大丈夫ですよ」

 

ユンホさんは、安心したように頷くと

目の前のオムレツに箸を伸ばした

 

「うん!出来立て

   美味しいよ!」

 

オムレツと野菜スープとトースト

 

簡単な朝ご飯なんだけど

 

 

本当に嬉しそうな顔で

食べてくれるユンホさんを見て

僕は、朝から幸せな気分になった

 

僕は自分が何かをした事で

誰かが喜んでくれる姿を見るのが

とても好きだった

 

だから、将来は人の役に立ちたいと

理学療法士になる道を選んで

今、学校に通っている

 

その学費を稼ぐ為に

夏休みを利用して

このバイトをする事に決めた

 

ユノさんの我儘な言動に

ついていけなくて

本当は

仕事を辞めたいと思っていた

 

だけど

ユンホさんの笑顔を見て

もう少し頑張ってみようと

少し考えが変わった

 

「どうした?チャンミン」

 

考え事をしている僕を見て

ユンホさんが声をかけた

 

「美味しそうに

   僕の料理を食べてくれるから

   嬉しいな…と思って…」

 

つい、口にした自分の言葉で

自然と顔が赤くなっていた

 

なんか…変だ

ユンホさんの笑顔を見て

なぜだか胸がドキドキしている

 

「本当に美味しいんだ

   それに…

   家で朝ご飯なんて

   何年ぶりだろう

   ありがとうね  チャンミン」

 

「こ…こんなので良かったら  

   いつでも作りますよ」

 

ユンホさんがとても喜んでくれるから

思わず、そう言ってしまった

 

「本当⁉︎   だったらさ

   バイトしてくれる間

   ここで一緒に暮らさない?」

 

「えっ⁈」

 

話がとんでもないに方向に行ってしまって

僕は戸惑った

 

ユンホさんとは

上手くやれる自信はあるけど

ユノさんとは…

 

長い時間、一緒にいられるのかな?

 

不安を感じて

僕が躊躇っていると

 

「チャンミン   駄目かな?」

 

ユンホさんが、顔を近づけて

僕の顔を覗き込んだ

 

ユンホさんの…少し残念そうな顔を見て

この人を喜ばせてあげたいと

また、思ってしまった

 

「…いいですよ」

 

「本当に! ありがとうチャンミン!」

 

僕が承諾すると

ユンホさんは嬉しそうに微笑んで

僕の手を握ってくれた

 

「朝からどうしたの?」

 

いつの間にか

部屋に入ってきていたシジョンさんが

声をかけてきた

 

「バイトしてくれる間

   チャンミンがここに一緒に住んで

   僕らに朝ご飯を作ってくれるんだ!」

 

ユンホさんが

子供のように目を輝かせて

そう言ってくれたんだ