過疎地でのガソリンスタンド廃業を食い止めさせよう | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 「急募!! 「油」を売る人 減り続けるガソリンスタンド ピーク時から45%減少」との記事が、産経新聞に出ていました。
http://www.sankei.com/economy/news/150922/ecn1509220023-n1.html

 全国のガソリンスタンドの数はピークとなった平成6年度末に比べてほぼ半減し、「GS過疎地」と呼ばれる地域が広がっていること、全国の高速道路で100キロ以上GSがない「空白区間」が83箇所も出てきているようです。そのため、ガソリンスタンドに危険物取扱者がいなくても場合によってはよいようにする規制緩和をすすめること、地下埋設を義務付けていた貯蔵タンクの地上設置でも大丈夫なように規制緩和をすること、高速道路走行時の給油については、一般道に一旦降りて給油して戻ってくる場合には、高速料金が割高にならない仕組みを導入することを検討しているとのことでした。

 条件付きとはいえ、危険物取扱者の常時監視を必要としない無人のガソリンスタンドを認めることは果たして問題ないのでしょうか。隣接のコンビニなどに危険物取扱者がいればよいとのことですが、それでは大事になるまで問題に全く気づかないということになりそうです。くわえタバコでの給油や危険性の高いポリタンクなどへのセルフ給油が広がることにならないでしょうか。さらに貯蔵タンクの地上設置まで認めるとすれば、テロ対策の点からかなり大きな問題をはらむととは考えられないでしょうか。また、高速道路を一旦降りて給油せざるをえないとすれば、高速道路の利便性は大いに損なわれることにならないでしょうか。

 市場原理にものごとを委ねれば大半のものごとは解決すると、日本の役人の大半が本気で考えるようになってしまったのでしょうか。市場原理で解決できない問題が噴出してきたために、安全性や快適性を犠牲にした弥縫策で取り繕おうとするのは、本末転倒と言わざるをえません。

 価格競争力の高いセルフスタンドの広がりとともに、セルフスタンドとの価格競争を強いられるフルスタンドの利幅は大きく圧縮させられるようになりました。客数が減って利幅も減れば、経営が急激に悪化するのは当然でしょう。この結果、セルフスタンドへ切り替える資金余力のないスタンドがどんどん潰れています。そしてそうした資金余力のないスタンドはもともと客数の少ない地方にこそ多いということが悲劇を加速させているようにも感じます。さらに古いガソリンタンクの改修には2000万円ほどかかるらしいのですが、この改修義務に適応できないために廃業・倒産に追い込まれているガソリンスタンドも多いようです。人口減少期に入って自動車の保有台数が頭打ちとなっている上、ハイブリッド車の普及、軽自動車へのシフトなどから、ガソリン需要が年々減少している中では、将来のガソリンスタンド経営の展望が見いだしにくいのも事実でしょう。

 地方においてガソリンスタンドが消えるということは、冬場に暖房用の灯油を求める過疎地の家庭には深刻な問題となります。地方のガソリンスタンドは過疎地への配達を行っていることも多かったわけですが、ガソリンスタンドが消えることでこうしたサービスもなくなってしまうわけです。それはすなわち、そこで生活している人々の生存にも大きく関わってきます。

 市場原理に従う限り、需要の小さい地方において新たにガソリンスタンドを開業しようという動きが出てくることを期待することはできないでしょう。車の走行数が少ない地方の高速道路においても、ガソリンスタンドの経営は市場原理のみに任せてはなかなか難しいところがあるでしょう。自由競争が全ていけないという極論を展開するつもりは毛頭ありませんが、自由競争が優勝劣敗の原理であり、自然に任せておけば都心地域が勝って地方は敗北することにもつながり、その結果過疎化はますます深刻になるという当たり前のことを忘れるべきではないでしょう。


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