不当な韓国の判決論旨に眼をつぶるな! | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


人気ブログランキングへ

 産経新聞の加藤前ソウル支局長の朴槿恵大統領に対する名誉毀損を巡る裁判は、無罪判決で一応の決着はついた形となりました。妥当な判決だとして評価する声が強く、確かに「無罪」という判決結果だけを見ればその通りですが、その論理構成は完全にデタラメなもので、この判決の論理構成を認めること自体に問題が大きいのではないかと、私は懸念します。

 裁判では①記事で取り上げた噂は事実ではなく、大統領の名誉を著しく傷つけたことは確かだとし、②噂が嘘だと知った上で記事にしたことも認定した上で、③日韓関係のために大局的に善処して欲しいとする韓国外務省の意向をにおわせた中で、④加藤氏に大統領を誹謗する目的があったとは認定できないとしました。

 そもそも加藤氏が書いたコラム記事は噂を事実であるとして報道したものではありません。加藤氏のコラムの冒頭は以下の通りです。

 調査機関「韓国ギャラップ」によると、7月最終週の朴槿恵大統領の支持率は前週に続いての40%となった。わずか3カ月半前には6割前後で推移していただけに、大統領の権威はいまや見る影もないことを物語る結果となった。こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。

 「大統領の支持率が急落して大統領の権威が失墜する中で、セウォル号事件発生の当日の朴大統領の動静が7時間にわたって不明のままとなっており、真偽不明のウワサまで飛び出している始末だ」というのが、記事の要旨であることがわかるでしょう。この後コラムは、国会運営委員会での質疑を通して、事件後3ヶ月ほど経った時点でも大統領の秘書室長が当日の大統領の動静を把握できていない事実を書き、朝鮮日報の記者の記事に掲載されたウワサを紹介する展開となっています。そして最後は朝鮮日報の記事を引用して次のように締めています。

 「国政運営で高い支持を維持しているのであれば、ウワサが立つこともないだろう。大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」
朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。


 以上を確認した上で、裁判の事実認定について振り返ってみましょう。

 記事では真偽不明のウワサが飛び交っているという韓国社会の事実を記事にしたもので、ウワサを真実であると報道したものではありません。したがって、「記事で取り上げた噂は事実ではなく、大統領の名誉を著しく傷つけたことは確か」という事実認定は当たりません。むしろ朴槿恵大統領側は当日の動静の真実を積極的に開示すべき立場にありながら、それを行ってこなかったことが混乱の原因となったわけで、大統領側の責任放棄こそが問題として問われるべきものだったでしょう。また、噂の真実性は確認できていないことを明言して記事にしたことを、「噂が嘘だと知った上で記事にした」と読み替えるのは論理のすり替えと言わざるをえないでしょう。加藤氏は当日の大統領の動静を知りえない立場にいるわけですから、噂について真実とも虚偽とも認定できる立場にはないわけです。そしてその立場から言えることしか記事にしていません。

 前提とされる事実認定が間違っている以上、日韓関係のために大局的に善処して欲しいとする韓国外務省の意向を踏まえた上で、加藤氏に大統領を誹謗する目的があったとは認定できないとするような、あたかも恩赦的な判断を下すような事例とは到底いえないのが実際なのです。

 裁判所は「言論の自由が無制限でないことを認識するように願う」と強調した上で、「検事が公訴した犯罪の構成要件に該当しないということであって、その行為が普遍妥当というわけではない」と指摘しているのが実際です。判決文を読み上げられる3時間もの間ずっと加藤氏に着席することを許さず、加藤氏を犯罪者のように終始扱うことまで平然と行いました。

 このようなメチャクチャな事実認定に基づき、あくまでも恩赦的な建前から無罪判決を下した韓国司法の論理について、日本のマスコミからほとんど批判的な声が上がらないのは不思議としか言いようがありません。ここでこの判決論旨の不当性について声を挙げないのは、今後の韓国政界に関する報道において自殺行為ともいえるでしょう。マスコミは「反権力」のような顔をしながら本当はチキンなのであって、実際に権力を振りかざして嫌がらせをしてくる韓国や中国の不当な行為には及び腰にしかならないことを、改めて確認できた事件でした。どんなに事実と違うことを報道しても権力を振りかざしてこないことが確実な日本政府に対してだけ強い顔をする日本のマスコミの歪んだ姿が、今回も浮き彫りになったと感じます。

 産経新聞に対しては、産経の名誉のためにも、この加藤氏のコラムをぜひ韓国語に翻訳した上で、韓国国内で号外的に配布して、判決論旨の正当性について韓国社会に問うて頂きたいです。

 また、加藤氏のコラムをまだ読まれていない方には、以上を踏まえた上で、ぜひ実際に読んでみてもらいたいとも思います。
http://ironna.jp/article/429 



人気ブログランキングへ