鴻海によるSHARPの買収を断固阻止せよ! | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


人気ブログランキングへ

 SHARPが台湾の鴻海によって買収されそうになっていますが、これは断固として阻止せねばならないと私は考えます。鴻海がなぜ今回これほど多額の買収資金をちらつかせているのかという点も、我々は冷静に見ておかなければなりません。鴻海は確かに世界有数の巨大企業ではありますが、それでも7000億円という買収資金を用意するのは一筋縄ではいかないはずです。買収資金を支援する勢力が背後に控えている可能性について、私たちは見逃すべきでないと考えます。

 鴻海は確かに台湾で勃興した会社ですが、実質的には中国企業だとみなした方がよいでしょう。従業員数はグループ全体で120万人ほどいるわけですが、そのうちの9割が中国人です。つまり、事業の主体は中国において成り立っている企業です。当然ながら、中国共産党と「極めて良好」な関係を築けなければ、大陸に進出した台湾企業が大成功をおさめることは考えられません。

 鴻海の今日を知る上では李登輝総統の支援者で親日家としても知られる許文龍氏率いる奇美実業との関わりを知っておきたいところです。奇美実業はABS樹脂生産で世界一にもなった台湾を代表する企業グループですが、この奇美実業が事業の拡大のために大陸に進出し、事業が軌道に乗ると、中国共産党はそれまでの態度を豹変させるということが起きました。中国工場の工場長を逮捕して人質とし、許文龍氏に「台湾独立運動は誤りだった」との意見広告を台湾の主要新聞に出すように中国共産党は圧力をかけてきたわけです。事業の存続のために許文龍氏はこれに屈するより他なかったわけですが、こうしたトラブルに嫌気が差した許文龍氏は中国ビジネスを鴻海に売却しました。それが今日の鴻海の中国ビジネスの基盤を作ったともいえるわけです。奇美実業が伸ばせなくなった中国ビジネスを鴻海は信じられないスピードで拡大し、一時は150万人の中国人を雇う企業集団へと変貌したわけです。

 中国共産党は2005年にいわゆる「反国家分裂法」(正式には「反分裂国家法」)を制定し、台湾が独立を宣言した場合には軍事介入できることを法律上明記するとともに、「国家の主権および領土保全を守ることは、台湾同胞を含む全中国人民の共同の義務」だとし、台湾人を「中国人民」の一部として扱ってその統制下に置くことまで明言しています。中国本土に進出している台湾人はこの統制下に完全に置かれ、この中共の統制に率先して協力する姿勢を持っていなければ、中国本土で事業を拡大することなどありえないわけです。そしてその条件の下で急成長を遂げたのが鴻海なのだということを、私たちは事実として頭に刻んでおかないといけないでしょう。

 ですから、仮にSHARPが完全に鴻海の傘下となったとしたら、SHARPの技術はすべて中国共産党のものとなりうることは覚悟しなければなりません。SHARPの最先端の技術が鴻海のものとなったとしたら、SHARPと同レベルの技術を中国企業が持つことになることにつながり、それはパナソニック、ソニーをはじめとする日本の家電大手にとって極めて大きなダメージを与えていくことになります。そしてそれは、こうした家電大手を支えている多くの国内の企業群に対しても大きなダメージを与えていくことになり、日本の技術的な優位を大きく崩しかねない点について、私たちは真剣に憂慮すべきではないかと考えます。そしてそうであるからこそ、鴻海とその背後にいる勢力は7000億円という巨額を払ってもペイすると考えているわけでしょう。
 
 産業革新機構がSHARPの支援をすることに対しては「私たちの税金をなぜに何千億も投入しなければならないのか」という反発もあるようですが、話は日本の技術的優位性の存続に関わることでもあります。この点を見失わないことが大切であると私は考えます。


人気ブログランキングへ