何度でもできる治療、何度もできない治療 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

最近はアンチエイジング系の治療が多数登場しています。
コラーゲンを増やすものが主流と言えますが、この治療、皮膚の深部を破壊して、コラーゲンを再構築させるものと、刺激して増殖を促すものに分けられます。
刺激するものというのは、通常何度施術を受けても問題ありませんし、できるだけ沢山治療をした方がよいものもあります(もちろん効果に限界があるので、常識的な費用対効果も考えるべきです)。
一方、破壊を伴うものは、創傷治癒という考えから、ある程度の期間を空けないと、破壊により生じた瘢痕(傷跡)が副作用となる危険性をはらんでいるものもあります。
こういう治療は短期間に沢山受けた方が効果もてきめんに出ますが、長らく実施すると諸問題もあり得ます。そのために、費用対効果ではなく、真に回数制限を設けた方が良い場合もあるのです。
例えば、サーマクールという破壊を伴う治療は、3ヶ月毎に実施すると効果は非常に強いと思いますが、深部のコラーゲンがまだ修復過程の途中であり、さらなる刺激は効果はあっても、皮膚の裏側に傷跡を残す可能性があります。つまりは正常な弾力を取り戻さずに、傷のひきつれの様な力で張りを出しているだけという訳です。
私自身はサーマクールは現在アメリカで推奨されているように、麻酔無しで耐えられるような弱い出力で重ね打ちをする方法を推奨していますし、さらにはできれば1年以上間隔を空けて実施するようにしています。これは傷の修復が半年で9割、一年でほぼ100%終了、回復するからという、創傷治癒理論に基づいています。効果があるから沢山しましょうなんて言う、最近では理論を何にも分かっていない施術をするクリニックもありますが、私は大反対です。破壊を伴う治療が効果の面では秀でていることは確かですから、これをベースに据えて、将来的なリスクのないよう、破壊を伴わない治療をメンテナンスとして間に行い、できるだけ強い治療をする間隔を延ばすようにすること、これが安全性を加味した治療法であろうと信じています。

以上のように、破壊を伴わない治療で、かつ生理的な変化で効果を出すという方法が理論上はもっとも優れているんですが、効果がどうしても弱いので、その点を改良した治療器がどんどん登場してほしいものです。そうなれば、安全な治療間隔に頭を悩ませる必要もありませんし、どんどん治療すればいいのですから。

もちろん、改善だけではなく、老化させない予防が最も大事なのは言うまでもありません。