フラクショナルレーザー ラックス1540xD & ICONの有効性 | 美容外科開業医の独り言

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前回はフラクショナル炭酸ガスレーザーのことを書きましたが、今回は別のフラクショナルレーザーのお話しです。
スターラックスという機器に装着するハンドピース ラックス1540。
私自身は7年近く前から使用している機器で、それだけの年数経っているということでお分かりのように、フラクセル、アファーム、モザイクなど第1世代のフラクショナルレーザーと言われるジャンルの機器です。フラクショナル炭酸ガスレーザーが登場して世界的な主流となった現在では、比較すると回数は倍以上かかり、効果も弱く、傷跡治療にはなかなか使いづらいのですが、ニキビ跡や毛穴、肌の張りにはまだまだ現役で使える機械です。
フラクショナル炭酸ガスレーザーと比較した最大のメリットは、ダウンタイムの軽さです。微小な穴を本当に開けてしまうフラクショナル炭酸ガスレーザーと違い、穴ではなく点状の熱変性が生じるのみゆえに、ダウンタイム=赤みです。はっきりした赤みは2~3日程度で収まり、5日後くらいに表面ががさつく程度ですから、週末を利用した治療が可能です。
効果の弱さを理解頂ければ、仕事に影響なく治療をお受け頂けるのです。


しかし、やはりその効果はマイルドすぎて、私自身最近ではあまり使用をしていませんでした。しかしながら、先日ICONというスターラックスの後継機種を導入した際に、このラックス1540もアップグレードしました。基本的構造は同じですが、1540XDというハンドピースは先端部に無数の突起があって、皮膚に押し付けるとその突起が食い込み、下へと皮膚を圧迫・押し込みます。つまりレーザーが照射されると、他のフラクショナルレーザーよりも物理的にかなり深い層まで熱変性が起こるのです。この理論は非常に面白いもので、既に形成外科学会などで女子医大のグループが既存のラックス1540より遙かに有効であることを発表しています。

$美容外科開業医の独り言-Lux1540XD

私自身、この構造だけではやはりコアやエコツーには劣るとは考えていますが、もう一つ大きなメリットがあります。ICONという光治療機は世界最高性能の冷却機能があるのです。そのためハンドピース先端の冷却能に優れ、高速で照射が可能です。かつ接触面積が大きいため、体感的には3~4倍のスピードで治療できます。

このことが何を意味するのか。
医師が楽に照射できる事がメリットではありません。照射のスピードが速いということは、少し重ね打ちをする際に、その前の熱作用が残った上から次々に照射できます。かつ表面の冷却装置がしっかりしているわけですから、熱が溜まるのは皮膚の深層、つまり変性させたい真皮に限局されるのです。より強い熱が必要な部位だけに発生=安全で強力、かつXDの突起によってより深い層まで熱ダメージが与えられる、そういう進化をした機械であると実感しています。

買い換えた当初は、ICONのフォトフェイシャル的機能のみで十分と考えていましたが、ここ最近はこのラックス1540XDもお気に入りの一つになりつつあります。

エコツーやコアではダウンタイムが厳しいと考えて、治療を躊躇している方には、やっと選択肢ができたのかなと思います。

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