たるみ治療と輪郭修正の違い | 美容外科開業医の独り言

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気がつけば1ヵ月もブログを放置していました。

仕事が終わったら早めに帰宅するという行動変化もあって、ついついブログに手をつけずに経過してしまいました。

 

さて、最近若い方でたるみを気にして受診される人が多くなりました。10代〜20代前半でたるみが酷いと受診する人もいます。

機器による治療では若い人に対しては本来の効果を発揮することは出来ません。これは当たり前ですが、たるんでいないからです。

たるみとは加齢によって皮膚が薄くなり、筋膜や靱帯が緩み、また脂肪の萎縮や下垂、骨の萎縮などと相まって生じるものです。サーマクールやHIFU(ウルセラなど)は皮膚や筋膜を熱で損傷させ、傷が治る力を利用してremodeling、つまり新しいコラーゲンなどを産生させて作り替えるものです。

極論を言うとティーンエージャーに照射しても顔が引き上がることなどありません。出来上がるコラーゲンはもともとあるコラーゲンより質の悪いものでしょう。加齢に対してネガティブなことをしているのです。10〜20代前半にたるみ治療は不要です。

 

しかし最近20代前半でもHIFU治療を受けたという人も結構いらっしゃいます。話を聞くと大抵は直後や1ヵ月程度の効果があったので効いたとおっしゃいます。一時的には腫れるなど変化を感じますが、それで良いのでしょうか。医師側もビジネスばかりで、希望すれば照射するという診療が本当に良いと考えているのでしょうか。

10代や20代前半でたるんでいるということはありません。これらを理解の上で受けるのであれば否定はしませんが、長期的にはマイナスの面もあることを知っておくべきでしょう。

 

ではなぜ「たるんでいる」と感じるのか、これは元々の輪郭です。人は成長するにつれて「大人の顔立ち」になります。その顔がたるんで見えているだけです。中学生から高校生頃には「子供顔」の特徴である頬の大きな膨らみが徐々にすっきりしてきます。相対的に顎のラインが膨らんで見えてくる人もいます。でもこれは下垂してたるんだ顔ではなく、そういう顔立ちです。たるんで見えるだけであって,決してたるんでいるわけではありません。皮膚の構造も若いですし、骨や脂肪が萎縮もしていません。顔立ちの変化はたるみ治療機器では改善しないのです。

糸で強引に引き上げることも出来ますが、本来の靱帯などの構造より過矯正となるので効果が持続しません。

脂肪を減らす・注入するなど立体的形状を整える治療が妥当です。

 

もうひとつ、最近多くなったのが歯科矯正や顔の骨切り手術後のたるみです。これは厳密にはたるみではありません。顔の硬組織である骨の形状が変われば、皮膚や皮下脂肪がその動きに追随せずに下がってしまうこともあります。靱帯の位置が変わって緩んでしまうこともあります。かみ合わせが変われば顔立ちは変わります。これがたるんだ顔と同じ印象を与えます。しかし皮膚は緩んでいませんし、老化もしていません。

このような場合も、たるみの各種治療はあまり有効ではなく、糸による引き上げも効果持続が短い傾向にあります。

 

たるみと輪郭・顔立ちは区別して治療をする必要があります。