みなさんこんにちは!
ご機嫌いかがですか?
今回は、イルンに来て一番最初に買った車のお話しです。
前回のブログでも、少し触れましたが、妻と二人で足を棒にして、車の展示場回りをしたのですが、「この車にしよう!」と思える車が全く現れませんでした。
最後には二人とも展示場回りに疲れてしまったことと、「そもそも自分たちが100%満足できるような、そんな奇跡的な車なんてないのかもしれないなぁ」と思い始めたこともあって、妻と二人で「もうどんな車でもいいから、予算内であればよほど不満足でなければ決めてしまおう。」と考え、最後の展示場に行きました。
展示場に着くと、二人別々になって、屋内展示場から先に、気に入った車を探し始めました。
しばらくすると、妻が入口の方から僕に向かって「ちょっと来て来て!」と、手招きして叫ぶのです。
妻のところに行くと、興奮気味に屋内展示場から外に出て、屋外展示場の方に僕を引っ張って行くのです。
僕が「どうした?」と聞くと、妻は「最高の車が見つかったのよ!あなたも気に入ると思うわ!」と言うのです。
「本当かな?」と疑心暗鬼な気持ちで、妻が「最高の車だ!」と言った車のところに行ったのです。
その車の外観だけを見て、妻同様に僕もいっぺんでその車に恋をしてしまったのです。(笑)
それは「とても気に入った!」などというレベルではなく、まさしく恋だったのです。
車に恋をするなんて!
我ながら信じられませんでした。(笑)
その車は特に高級車というわけではなく(例えば、メルセデスベンツのような)、最初の予算よりも20万円高い車だったのですが、妻も僕もいっぺんで一目惚れしてしまったので、20万円の予算オーバーは、多少は気にはなったのですが、20万円安くて、ずっと満足しないまま乗り続ける車よりも、20万円余計に払って、ずっとハッピー気分で乗れる車の方がいいと思いました。(まだ収入がなかったので、無駄遣いは出来なかったのですが、、、)
その車はドイツのオペル社の「カデット1600cc」という車で、車体の色はやや濃い目のグレーでした。
そのグレーの色まで、素晴らしく輝いて見えたのです。(恋をすると「あばたもえくぼ」です。笑)
僕の親友の○羽(例の東京○○○○ランドの)は、僕たちがまだ二十代だった頃、ことあるごとに僕に「水谷には分からないかも知れないけれど、車に恋をしたような感覚になるんだよ。」と言って、まるで大好きな彼女を扱うかのように、車を大切に扱っていたので、そのたびに僕は「人間がただの車に恋をするなんて、俺には信じられないよ。○羽のような車好きが、ある特定の車をすごく好きになるという気持ちは分かるけど、恋をするって言うのはなぁ、俺には理解できないよ。」と○羽に言ったものでした。
しかし実際に自分が車に恋をしてみて、初めて当時の○羽の気持ちが理解できたのです。
何事も実際に自分で経験しないと、人の気持ちは分からないものだなぁと思いました。
ということで、妻と二人で、試乗もしないうちに、外観を見ただけで「この車にしよう!」と決めてしまいました。
早速近くにいた店員さんに、妻が「この車と同じ車を買いたいのですが、、、」と言うと、その店員さんは「オペルカデットは、ここに展示しているオペルカデットが市場に残った最後のオペルカデットになるので、ここに展示してあるオペルカデットをお渡しすることになりますが、それでもかまいませんか?」と言うのです。
店員さんのその言葉を、妻が僕に通訳してくれたので、僕は妻に「最後のオペルカデットって、どういう意味?」と聞くと、妻は店員さんに「ここにあるオペルカデットが最後のオペルカデットって、どういう意味ですか?」と聞いたところ、店員さんは次のように答えたのです。
店員さん「この型のオペルカデットは、もう生産していないのです。この型のオペルカデットは人気がありますので、生産された分は全部売り切れてしまって、スペイン中で残っているオペルカデットは、この1台だけなのです。なのでこのオペルカデットをお買いいただいて、もしエンジンなどに不良があったとしても、他のオペルカデットと交換することが出来ないということです。それでもよろしければ、ここにあるオペルカデットをお渡ししますが、、、」
この店員さんの説明を妻が通訳してくれたのですが、もう僕と妻の気持ちは「何があってもオペルカデット以外の車は考えられない。」という気持ちだったので、そこに展示されていた、最後のオペルカデットを買うことにしたのです。
たとえ買った後で、何らかの不良部分が見つかっても、修理すればいいだろう、くらいに軽く考えてしまいました。
とにかくすぐにでも乗り心地を確かめたかったので、試乗させてもらうことにしました。
展示場の回りを一周しただけで、エンジン音に混じって、注意しないと気づかないくらいの小さな「カタカタカタカタ、、、」というノイズがあることがわかりました。(車を選ぶ時に、エンジン音は一番重要なので、精神を集中させて耳をすましました。)
妻にそのノイズのことを説明し「もしかするとこの車は良くないかも知れないよ。」と言ったところ、妻は「私には何も聞こえないわよ。大丈夫よ。この車にしましょう。」と言ったので、スペイン中で最後に一台だけ残った、そのオペルカデットを買うことにしたのです。
けっきょくそのオペルカデットは、僕が予想した通り、その後何度も修理をすることになり、さらには買って1年もしないうちに、生死をかけるほどの大きな事故にあうことにもなるのでした。
続きは次回のお楽しみに!
それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!
みなさんお元気で!
スペインバスクのイルンより心を込めて、、、
水谷孝