『ミラクル☆トレイン~大江戸線へようこそ~』
俗世のアニメ評価から乖離し、独立独歩を行くわがブログでは、レールガンだとか刀鍛冶ではちっとも物足りない(別に悪いとは思わないが、取り立てて評価する気も起きない)
あ、まともな方のオススメは『君に届け』ね。
『君に届け』がエリンだとすると、『ミラクル☆トレイン』は真マジンガーです。
オレ用コンテンツ、という意味で。
世間様では腐女子アニメ、という括りで観られてしまうだろうし実際それを意図しているのはよく分かるのだが、当然俺にとってはそんなのにたいした意味はない。
別にババアだってオッサンだって構いません。
むしろキャラの多様性から言えば(あとオッサン&ババアスキーな立場から言えば)イケメンじゃない方が好みではあった。
しかしながら、この超脚本はすっかり小賢しくなってしまった日本アニメ界では大変に貴重。
まず駅の擬人化という発想。
この凄さというか、ナチュラルな狂気は万人の認めるところであろう。
何故か仮面を被っている藤原啓治のナレがナチュラルな狂気をナチュラルに語る。
そして彼らが依頼人の問題を解決……しない!!
いや一応した事にはなってるんだけど
よく考えてみると
・犬を探した
・「話し掛けてみればいいじゃん」とアドバイス
この二点だけ。
そんなん駅に限らず猿でも出来るわ!
しかも犬の迷子はミラクルトレインが原因だ。
そういった部分は普通なら流してしまうところなのだが
そこはキチンとツッコむ。
そしてケージの話も細かい規定まで話を振った挙げ句
徳川はケージに入ってませんよね?
とツッコみ
ボロでまくりだ……
と反省会を開く駅。
反省する駅という概念は書いている俺もよく分からないが、
とにかく駅が反省しているのだから仕方ない。
また各処に挿入される豆知識も素晴らしくどうでも良いものばかり。
特に
月島川ではハゼが釣れる
の下りは腹抱えて笑った。
結構利用するので知っているのだが、月島と言えば近年再開発が進んでいる土地であり、マンションが建ち並びもんじゃストリートなどで地域振興を図っている。
だから普通は「もんじゃ」とか「トリトンスクエア」とかをアピールすべきなのだが、
まさかの「ハゼ」。
これを見てる人は絶対ハゼなんか釣りに行かないだろ、というツッコみ流してのハゼアピール。
何故、そんなにハゼに拘るのかが全く分からない。
好きなのか? ハゼが。
ここらのネタは、最近のアニメだと「このネタ面白いだろ!分かってくれ!」(イヒとか生徒会とかな)という姿勢で語られるところが多いのだが、ミラクルトレインのネタは分からせるつもりからしてない。
更に分かっても別に面白くもない。
一見媚び媚びのようで、その実視聴者に媚びない、これぞナンセンス。
一周回って素晴らしい。
各人のやり取りも、何処かずれていて狂気を加速させる。
「何故私の名前を?」→「ガイドですから」
「都庁さんは起点なんだよ」→「だからリーダーなんですね」
「新宿さんは偶に良い事言うな」→「まぁな」
「こんなに人と話したのは初めてです」→「それは多分、僕が……………駅だから」
「新宿方面を探してみよう」→「オレ方面?」
しかも彼らは駅そのものであるにも関わらず、犬が何処にいるかは把握出来ない。
また小太郎はどう考えても豆柴には見えない。
更には中盤で新宿方面を探した方が良いんじゃないか、というバカでも最初ッから思い付きそうな推理を披露した挙げ句、小太郎は乗車駅である六本木駅のマガジンラックに入っていたという身も蓋もない展開。
一度出発直前の列車に乗ったのに、どうやって戻ってきたのかすら不明だ。
全体的に漂うシュール且つナチュラルな狂気、それこそが本作の見所であると断じる。
ただしこの作品を楽しむ為には相当のツッコミスキル(というか作品にツッコめる視点)が必要であり、それが無ければ確かにただの腐女子作品にしかならない。
作品をある意味虚仮にしつつも堪能出来る、
そんな玄人好みの扱いにく過ぎるアニメである。
ただし、これは第1話。
出落ち、という可能性も否定出来ない。
女の子の悩みなんて大して要らないから、もっと彼らの駅ぶりを発揮して欲しいと切に願う。