前回の続きです。
肺炎を患った僕の診断書を会社に届けてくれた妻。
しばらくして戻って来たので、玄関の鍵を開けてあげると、妻は涙を流していた。
「どっどうしたの?」
「あんな会社、ずっといる必要ないよ!あんな会社、このままいたら、パパ死んじゃうよ!」
「いったい何があったの?」
妻を落ち着かせ、詳しい話を聞いた…
会社の最盛期のピーク時に無理をして、仕事をしていた僕。
なんとかピークは終わったものの、肺炎になりドクターストップがかかってしまった。
まだまだ忙しさが残る会社にとって、僕がいないのはかなりの痛手だった。
その為、工場内は殺伐とし、社長も常にイライラしていたそうだ。
その状態で妻と会った社長…
診断書を渡すと、それを見て鼻で笑い…
「昔ほど忙しくないのに、無理していたなんてとんでもない事だ!」
「この程度で無理されて休まれる方がよっぽど迷惑だ!」
そんな事を言われ妻は、悲しく悔しくなり、会社には秘密にしていた僕の試験勉強の事を話してしまった。
会社の為に、専門の資格取得者が会社にいれば、会社の評判が上がり、今後に繋がると、その為に寝る間も惜しんで頑張っていたんだと、説明してくれた…
それを聞いた社長は…
少し考えたそうだが、その後信じられない言葉を妻に言った…
「そんな資格、ウチの会社にとって、5%の役にも立たない!」
「ウチの会社には必要のない資格だ!」
妻はショックを受けて、そのまま帰って来たそうだ…
5%の役にも立たない…
ウチの会社には必要のない資格…
僕もショックだった…
悔しくて僕も泣いた…
会社には必要のない資格の試験に、問題集や試験代やらで5万円近くも費やした自分がバカバカしくなってしまった…
しばらく放心状態だった僕…
体調が戻って来ても、やる気のない状態が続いた…
その後、せっかく申し込んだ試験だし、受かって資格を取ったら、会社を辞めて別の成形会社に入ろうと、気持ちを切り替え、再び勉強をする決意を固めた!
しかしそのモチベーションは、以前ほど高いものではなかった…
そして17日間休んだ僕は、肺炎も治り仕事に復帰した。
朝一で社長に長い間休んだ事を謝った。
「…体調管理に気をつけて、また頼むぞ!」
お互い気まずい感じで、一言二言で会話も終わった…
以前だったら、休んだ分を取り戻すつもりで頑張ろうという気持ちになるのだが、この件があって以来、
『自分が無理をしても会社は何もわかってくれない…早く資格取って、辞めてやろう』
と思うようになっていた。
そして挑んだ資格試験は…
続く…
専門の資格所持者が会社にいた方が、会社にとって利益になると思いますよね?
ウチの会社にとっては、5%の役にも立たないそうです…
射出成形技能士の資格は、特級から3級まであり、キャリアによって受けられます。
3級は、6ヶ月以上の経験者。
2級は、2年以上の経験者。
1級は、5年以上の経験者。
そして、1級技能士として2年以上の経験者が、特級を受ける事ができます。
僕は10年以上の経験者だったので、思い切って1級を受験しました。
次回は、合格率30%の1級実技試験の時の事を書きます。
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