【かわら版インタビュー】~特定非営利活動法人ReBit(リビット)~ | 武蔵野市市民活動かわら版のブログ

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LGBTを含めたすべての子どもが、
ありのままで大人になれる社会を目指す取り組みをしています。



第14回 藥師 実芳(やくし みか)さん
特定非営利活動法人ReBit(リビット)
代表理事 



聴き手:
ReBitの活動の目的について教えてください。

藥師さん:
ReBitは2009年12月、私が大学2年生の時に早稲田大学の公認学生団体として立ち上げ、2014年3月にNPO法人となりました。

LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(からだの性とこころの性が一致しない人)の頭文字を取った言葉で、広義には性的マイノリティを指す用語として使われることもあります。

ReBitは、LGBTを含めたすべての子どもが、ありのままでオトナになれる社会を目指す取り組みをしています。もともとが学生団体だったので、今も大学生など20代の若者を中心に250名ほどが所属しています。LGBTは、国内に約20人に1人の割合で存在すると言われています(※1)。

しかし、日本ではLGBTの存在が社会的にまだまだ認識されていないのが現状です。

また、学校教育の中でLGBTや多様な性に関して知る機会が少なく、さらに、LGBTの子どもの約7割はいじめを経験するといわれ、その中には先生からのいじめも含まれます(※2)。

実際に、性同一性障害者の約69%は「死にたい」と考えたことがあり、特にその思いは第二次性徴期(小学校高学年~高校)に非常に強くなると言われていることから(※3)、学齢期にこそ正しい知識と適切なサポートが必要であると、LGBTの子どもたちの養育環境の改善に向け取り組んでいます。


聴き手:
具体的にどのような事業を行っていますか?

藥師さん:
大きく分けて3つで、1つは『LGBT教育』です。
年間約80回、教育現場、行政、病院などで出張授業を実施しています。


ReBit出張授業に行った時の写真


また、教職員が理解を深め、子どもたちに正しい知識を伝えるための教材を作ることで教育環境の中にLGBTを浸透させていく試みも行っています。

2つ目は2011年度に始めた「LGBT成人式」という事業です。自分の着たい性別の晴れ着を着られない、LGBTであることを地元の人たちに話せていない等、様々な理由で成人式に行きづらいと感じるLGBTは少なくありません。

ありのままの自分を誇り、祝福される場として、年齢・セクシュアリティ不問の成人式を、世田谷区から後援をいただき実施してきました。今年は全国8か所で実施します。

3つ目が『LGBT就活』、就活支援です。職場の無理解などから、LGBTは就活・就労の際に差別やセクハラを受けたり、ロールモデルの不在から自分らしく働く姿を思い描くことに困難を覚えることは少なくありません。企業と連携してLGBTの若者向けのキャリア開発セミナーを行っているほか、企業や自立就労支援機関への研修も実施しています。


聴き手:
活動していて大切に思うことは何ですか?

藥師さん:
私の場合、すべて行動のきっかけは「人」でした。

大学2年の時、所属していたサークルで初めてLGBTのイベントを企画した際、たくさんのLGBTの大人に会いました。

19歳だった私は、LGBTであっても好きな仕事を選べる、家族を持てるなど様々な生き方があることを知り、ようやくありのままの自分を肯定的に捉えることができました。その時、自分で自分を否定し続けた小中高校生のときにこの情報を知れていたらどんなに良かっただろう、と思いました。

そして、この情報を必要としている子供たちが全国にもいるのではないかと考え、現在も発信を続けています。若者が250名もいるReBitの強みは、LGBTの若者のニーズが身近にある点が挙げられます。

ニーズ・声を拾い集めることが活動の原動力になっていると言えます。とにかく何かしようと思うときには、色々な人に会うこと、これが大切だと思います。そこから繫がりや広がりが生まれてくるからです。

聴き手:
ありがとうございました。

※1 2012年電通ダイバーシティ・ラボ調査より
※2 いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン、平成 25 年度東京都地域自殺  対策緊急強化補助事業 「LGBTの学校生活に関する実態調査(2013)」
※3 新井富士美・中塚幹也他(2008) 性同一性障害の思春期危機について
   日本産科婦人科學會雑誌 60 巻 2 号 827, 第 60 回日本産科婦人科学会学術 講演会

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