東電株主総会に出席して、改めてこの国の暗さを思い知った | タダのブログ:ネット内外からいろいろと

東電株主総会に出席して、改めてこの国の暗さを思い知った

暑い中、茶番な東電株主総会に出席された皆様、お疲れ様でした。
本当に茶番な総会でしたが、いい勉強になりました。
あれは、日本の縮図だと思います。どんなに世の中を変えたくても、政官財のいずれも一筋縄ではいかない事を目の当たりにしました。
そんなの、今更いわれなくても知っていると思いますが、自分の目で見て、感じてくるのは本当に勉強になったと思います。
このままの日本じゃ、先が無いと言っても過言じゃない、そう感じました。



1.東電株を買うに至った経緯
簡単に東電株を買うに至った経緯を説明します。311で東電の株が下がった時に僕が思ったのは
「このまま株が下がっていったら、東電は立て直せなくなる。そしたら責任の所在も分からなくなるし、補償も続かなくなる。東電は、責任をとるためにも簡単に逃げてもらっては困る。とにかく東電には頑張ってもらって、復旧と補償に尽力してほしい」
という気持ちと、もし復旧できてそれなりに株が復活したら少しはお小遣いになるかな?といった気持ちでした。
前者の気持ちが7割、後者が3割ぐらい…多少、我欲もありつつ、初めての株購入に踏み切りました。
たかだか数万円分の株を買ったところで大勢には影響しないことも分かっています。
もし、このまま株価が低下し紙屑同様になっても痛く無い範囲の出資でした。
数百円の募金をする気持ちで、数万円、東電に投資してみたわけです。
ですので、僕は、どちらかというと「東電支持」という旗色になります。



2.出席者の割合

開催されたのは28日の火曜日。
平日の昼間から総会に出れる身分の人が1万人近く集まりました。
第一会場の定員が1800人、第2会場が1800、第3から第5会場まではそれぞれ100人程度の定員。
http://www.princehotels.co.jp/parktower/banquet/ballroom.html
ただし、当日は、各会場いずれも立ち見や、廊下にまで人があふれてました。マスコミの発表だと9000人超が集まったようです。
日中からこういう席に出る人ってどういう人なのかと思ってましたが、年配の方が多かったように思います。

で、6時間近く会場にいて、どんな人がやってきてるのかとあたりをキョロキョロしてました。
株主のうち、3割は東電関係者。
2割はホンキで変えられると信じてる人や変えていこうと信念をもってる人たち。
残りが僕みたいな見学者や冷やかしだったと思います。

その根拠は、3時間もしたら、半数が帰ってしまい、会場はガラガラだった事と、残った人のうち、議題の是非を問う時に、東電支持のスーツ集団が4割、東電に批判的な人たちが6割と、若干批判側が多かったように見受けられたからです。どちら側のヤジも大層お下品で、どちらの側も支持したくない気持ちでいっぱいでした。正直、その場から感じたのは腐った臭いが大半だったからです。



3.茶番なのは最初から分かっていた事

僕は最初に茶番と書いたが、そんなのは最初から分かっていたことです。
大株主は、当然、東電の支持をするのです。そんなのは利益を確保する必要のある株主の意思としては自明です。
株主比率として27%が銀行や東電関係筋です。
銀行にとっては大量保有してる株が紙切れになるのは避けたい(すでに紙切れのようなものだけど)…そういう思惑がある以上は、余程のことが無い限り大株主は東電支持にまわるでしょう。そんなのは最初から分かり切っていたことです。
http://www.costdown.co.jp/blog/2011/03/post_1904.html



4.それでも東電は体裁を重んじてくるか?

とはいえ、対外的に「小株主を軽んじてる」なんてことを公言するとイメージの著しい低下につながります。
それをどう隠してくるのか?どう体裁をとってくるのか?そのあたりが僕の興味でした。
結論から言うと、最終的に東電は開き直ってきました。
正直、東電寄りだった私ですら、その様には愕然とせざるを得ませんでした。
東電には頑張って復興に尽力してほしいと思っていた気持ちは簡単に踏みにじられたといって過言でなかったです。
僕が東電サイドの人間であれば、反東電側に譲歩した振りを徹底したと思う。
たとえば、三号議案を分割で審議すべきという物議は通して良かったのではないか?どうせ、最終的にはどちらの議案も踏み潰す票数をもっていたのですからね。


5.でも、これが日本の縮図なのかもしれない。

とはいえ、あまり失望はしていません。
何故なら、これが日本という国の縮図だというのは諦観してるからです。
この国は壊されないと何もできないのは歴史をみれば明らかです。
僕も10代のころは、この国が壊れてしまえばいいと思っていた時期があります。
ですが、次第に分別もつき、家庭をもち、責任が出てきて、守るものが増えてくると、それで手一杯になります。
小市民なのです。
小市民は、政官財に不満をぶつけながら酒を飲み、芸能人のゴシップで盛り上がる…そんな存在です。
だからこそ、この国のトップは好き勝手なことをやって支配してます。
建前では民主主義を掲げてますが、この国は数パーセントの支配者と、その金魚の糞からできてるのです。



6.今回の結論と今後の僕の姿勢

東電の開き直りは激しいものでした。
あそこまでやると潔すぎて笑えました。

被災地の方の心情を思うと「何かしたい」とは思っても、あの強固な体制は、僕らみたいな小市民には何もできません。
大規模なデモをやったとしても変わらないでしょう。
僕としては、僕が10代の時に思ったように、この国を壊すには、実力行使しかないのかな?という風に思ってます。
とはいえ、多くの愛すべき小市民がいるこの国で実力行使を行うのは難しいでしょう。
僕らはささやかな自分の生活を守るので手一杯なのです。

三島由紀夫が演説をした時に小市民が何を見ていたか。
日本赤軍が立てこもった時に小市民が何を思っていたか。

僕は力無き小市民として、これからも自分と自分の周囲の人に対し、出来る限りのことをやっていく日々を過ごすことになると思います。
たとえば、バスの運転手さんにちゃんと挨拶したり、選挙の後は家族と焼き肉か寿司に立ち寄ったり、時々は河川敷の大掃除に参加したり…と。
その繋がりの中で、ひょっとしたら数パーセントの支配者の気持ちを動かすことができるかもしれない。
でも、彼らだって、1人が動いてもつまはじきにされるだけなんですよね。
だから既得権益を守るためには彼らの姿勢は変わらないでしょう。

天が気まぐれに、この国の中枢を壊すような大災害を起こせば、この国は新たに作り直されるかもしれない。
でも、その時も、一番被害をこうむるのは何の力もない小市民なんだと思います。
悲しいけど、これが現実なのかもしれませんね。