母に捧げるバラード7 | Nani Mino'aka(亀有のハワイ)

Nani Mino'aka(亀有のハワイ)

亀有初・唯一のハワイアン雑貨のお店です。
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Aloha!

 

お袋が他界して1週間が経った。

病院生活が長かっただけに、そしてここ10年くらいは会話すらできなかっただけに、なんだか涙がこみ上げることがなかった。

 

サラリーマン時代の先輩のお母さんの訃報を聞いたときは、出先の車の中で涙止まらなかった。当然通夜に行った時も実子の先輩は泣いていないのに、泣き崩れた。

 

私にすると、先輩のお母さんは私のもう一人のお袋だった。

頻繁に会うことはなかったが、会いに行くと常にお袋や私の事を気にかけてくれた。

だから、カミさんと付き合うことになったときは当然、紹介した。

お袋が話せないだけに、先輩のお母さんに認めてもらおうと思った。

先輩のお母さんに褒めてもらうことがすごくうれしかった。

 

今はもう2人ともいない。

 

お袋の話に戻る

私はお袋に親孝行なるものをしていない。

ただお袋が亡くなる2日前にカミさんとガキんちょを連れて病院にいったこと

お袋に孫とカミさんをもう一度見せてあげることができたのは、良かったと思う。

あの時はまだ手も温かく握り返すこともできた。

ガキんちょがベッドに近づくと目を見開いて、存在をわかっているかのようだった。

たった2日前にはそんなお袋が

今は冷たくなっている。

 

告別式の時も涙は出ない。

 

出棺の時も意外に軽いのに驚きはあったが、泣くことはなかった。

 

火葬場に行って燃やす直前、最後にと親族が棺桶に集まったとき。

お袋の姉がこういった。

「おばあちゃんが、『人との別れは顔や体の冷たさを感じて、生きている自分とは違うんだということを理解しなさい。』って言っていた。だからみんな、しっかりと美津子の顔や体を触ってお別れを言いなさい」

 

その時だ

涙が止まらない。

お袋の冷たい頭、顔、手を触り実感する。

お袋と自分の温度差を感じる。

 

もう温もりはないんだ。

あの温かい笑顔は戻らない。

 

さよならお袋

ありがとう

お袋

 

いよいよ最後の瞬間

私は腕に付けていたランヤードのブレスをお袋の手首に添えて

棺を閉じた。

 

Mahalo nui!