テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ@大阪中之島美術館 | 奈良大好き主婦日記☕

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鎌倉在住
奈良や仏像が好きで子育て終了と共に学び直し大学院博士課程修了、研究員になりました。
テーマは平安後期仏教美術。

明日香村、山の辺の道等万葉集の故地が好きです。
ライブドアにも書いていました(はなこの仏像大好きブログ)http://naranouchi.blog.jp

 
昨年12月、大阪中之島美術館で開催中の
「テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ」へ行ってきました
(1月14日までです)
 
 
 
大阪の地理にイマイチ疎いため、地下鉄等を乗りこなすことができず、大阪駅から徒歩で行ってみました
 

中之島美術館になんとか到着したところ、このような猫に出迎えられました

 

とても大きくて立派な美術館に圧倒されながら、展覧会に進みます

 

 

この展覧会は、イギリスのテート美術館のコレクションから「光」をテーマとした作品を厳選し、時代順にチャプター1から4に分けて展示しています

 

殆どの作品が撮影可能(SNSなどの個人的な使用に限る)だったため、

私が撮った画像(汗)を並べてみたいと思います

 

 

 

 Chapter1:精神的で崇高な光(Spiritual and Sublime Light)

17世紀から18世紀にかけて、「個人の主義や感性を重視するロマン主義の画家」たちは、理性と秩序を重んじる当時の啓蒙主義に疑問を抱き、「精神世界への関心」を高めたそうです

 

チャプター1については画像を撮りませんでしたので、HPからお借りすると

↓こんな感じの絵がありました

 

 Chapter2: 自然の光(Natural Light) 

「18世紀後半に始まった産業革命により、欧州では交通網が発達」し、19世紀半ば以降には「都市を活動の拠点」とした多くの画家が「自然風景を描く機会」を得て、「自然の光」「目に見える現実の世界」を描くようになりました

 

「光の画家」と呼ばれるジョセフ・マロード・ウイリアム・ターナー(1775-1851)(長い名前なので、以下、「ターナー」と書きます)の作品等が展示されていました

 

私は若いころ、日本で開催されたターナー展を観た記憶がありますが、その時は「ぼんやりとした絵」という印象を持ちました

その後もその印象を引きずっていましたが、さて、今回はどう感じるのか?自分でも楽しみにしていました

 

ターナー

「陽光の中に立つ天使」 油彩/カンヴァス

 

ターナー

「陰と闇ー大洪水の夕べ」 1843 油彩/カンヴァス

 

ターナー

「光と色彩(ゲーテの理論)ー大洪水の翌朝ー創世記を書くモーセ」

1843 油彩/カンヴァス

この作品は、日本初出展だそうです

 

ターナー

「湖に沈む夕日」 1840頃 油彩/カンヴァス

 

ターナーを観た今回の印象は、やはり、

「ぼんやりした絵だな…」

って感じでしょうかね(進歩なし)

 

 

 

ジョセフ・ライト・オブ・ダービー

「トスカーナの海岸の灯台と月光」 1789 油彩/カンヴァス

 

 

ジョン・マーティン

「ポンペイとヘルクラネウムの崩壊」

1822年、2011年修復 油彩/カンヴァス

ヘルクラネウムというのは、ポンペイの姉妹都市だそうです

ポンペイのベスビオ火山が噴火した時の想像の絵ですが、細かく見るとちょっと怖い(興味ある方、拡大して見てみてください)

 

 

ジョン・コンスタブル(1776-1837)

「ハリッジ灯台」

1820 油彩/カンヴァス

コンスタブルは自然を忠実に表現することを目指したため、風景画に革新をもたらした画家とみなされているそうです

 

この絵は、白い絵の具を散らすことによって、水面の光のきらめきを表現しています

 

 

ジョン・コンスタブル

「ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に腰掛ける少年」

1825頃 油彩/カンヴァス

 

 

 

ジョン・リネル

「風景(風車)」

1844-45、油彩/カンヴァス

 

 

 

ジョン・ヤング=ハンター

「私の妻の庭」 1899 油彩/カンヴァス

 

 

アルフレッド・シスレー(1839-1899)

「春のちいさな草地」

1880 油彩/カンヴァス

 

 

アルフレッド・シスレー

「ビィの古い船着き場へ至る小道」

1880 油彩/カンヴァス

ここで二点シスレーの作品がありました


シスレーは両親がイギリス人ですが、パリ生まれ

18歳でロンドンに移り、ターナーやコンスタブルの作品に触れたそうです


その後、パリのアトリエで学び、モネやルノワールに出会い、風景画を描きました


この二点の絵が描かれた1880年には、ロンドンからフランスのセーヌ川の支流ロワン川沿いに拠点を移したようですが、二点の絵は果たしてイギリスの風景なのか、フランスの風景なのか、どちらでしょう?(私にはわかりません)

 

 

クロード・モネ(1840-1926)

「ポール=ヴィレのセーヌ川」

1894 油彩/カンヴァス

 

 

 

クロード・モネ

「エプト川のポプラ並木」

1891 油彩/カンヴァス

 

昨年はモネの当たり年か?と個人的には思ってしまうほど、あちこちでモネを見かけた気がします(上野の森美術館のモネ展(「モネ 連作の情景」)を大混雑の中、観てきたばかり)


「エプト川のポプラ並木」は、23点の連作の内の一つだそうで、同じモチーフで23点も絵を描くというのはさすがだなあ、と思ってしまいました(飽きないのがプロですね)

連作の完成前に並木が伐採されると聞いたモネは、みずから費用を負担して伐採を阻止したんだそうです(そういえば、関係ないけど神宮外苑前のイチョウ並木ってどうなったんだっけ?)

 

 

ジェームス・アボット・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)

「ペールオレンジと緑の黄昏ーバルパライソ」

1866 油彩/カンヴァス


ホイッスラーはアメリカ生まれ、ロンドンとパリを拠点としたそうです

 

この絵は、スペインと南米との間に起きた戦争(1865-79)の舞台となったチリの町バルパライソの海辺の風景です

その淡い色調から、この画家は細部よりも全体の印象を作り出すことを好んだことがうかがえるそうです

 

 

アルマン・ギヨマン(1841-1927)

「モレ=シュル=ロワン」 1902 油彩/カンヴァス


ギヨマンは、セザンヌやピサロと出会ったことで影響を受け、

後に、ゴッホの弟テオは彼の作品を数点購入したそうです

 

色彩豊かなこの絵は、抑えられた色彩の絵が並ぶなか、異彩を放っていました

本展覧会の中で、私はこの絵が一番好きだったかも?

 

 

カミーユ・ピサロ (1830-1903)

「水先案内人がいる桟橋、ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天」

1903 油彩/カンヴァス

 

ピサロは、なんとカリブ海のセント・トーマス島(当時、デンマーク領)の生まれなんだそうです

で、やはり画家を志して、パリに出て、モネやセザンヌと出会いました

その後、パリ郊外に住み、モネ、シスレー、ルノワールと一緒に戸外で絵を描くようになりました

 

この絵の描かれた1903年は、ピサロの最晩年に当たります

ピサロは、目の病気も患っていたそうで、亡くなる直前で目も見えない中でこの画力はすごいと思います

(それなのに、私は、シスレーとピサロの絵の違いがよくわからない汗)

 

 Chapter3:室内の光(Interior Light)

都市の進化が進んだ19世紀末からは、「室内というプライベート空間」が描かれるようになりました

「窓から入ってくる光の効果」により、「人同士の心のつながり」「個人の内面」を映し出す試みが行われたそうです

 

光は果たしてどのように表現されたのか、観てみたいと思います

 

 

ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)

「室内」

1899 油彩/カンヴァス

 

先ほど、(この展覧会では)ギヨマンの絵が一番好きだったと書きましたが、違いました!

デンマークの画家ハマスホイの絵が、一番好きな絵でございます飛び出すハート

 

この絵の中で一番光があたっているのは、女性のうなじです

 

黒い服を着た女性の白いうなじの美しさと、画面全体の静謐さ

 

室内の抑えられた光が、静けさを醸し出しています

 

 

こちらも

ヴィルヘルム・ハマスホイ

「室内、床に映る陽光」

1906 油彩/カンヴァス


静かな室内に差し込む淡い陽光は、寒い室内にわずかな温かさを伝えているようです

(この絵が冬の絵ならばの話ですが…)

 

↓4年前、コロナによる開催中止前に滑り込んだハマスホイ展の記事

 

 

 

ウイリアム・ローゼンスタイン(1872-1945)

「母と子」

1903 油彩/カンヴァス


ローゼンスタインはイギリスの画家です

 

暖かな柔らかい光に満ちた部屋にいる小さな女の子と若い母親の穏やかな光景が印象的です

室内に入る光によって乳白色になる壁の色が、上のハマスホイの絵の陰になった壁の色と対照的です

 

 

 Chapter4: 光の効果(Light Effects)

1830年代に発明された写真技術は、19世紀後半に発展し、「光そのものを表現手段として用いた芸術の実験」が広がったそうです

(正直言って、私には理解が追い付かない作品が多くなります)

 

ディヴィッド・バチェラー

「ブリック・レーンのスペクトル2」

2007 ライトボックス、スチール製の棚、アクリルシート、蛍光灯、ケーブル、フラグボード

街のお店の看板風景のような説明がありました

私は祇園のきらびやかなビルの入り口を想像しました

 

ディヴィッド・バチェラー

「私が愛するキングス・クロス駅、

私を愛するキングス・クロス駅8」

2002-07 ファウンド・オブジェ、アクリル板、エナメル塗料

この作品が駅を表しているとすると、台車は電車とか地下鉄ですかね?

東京でいうならば、丸の内線とか銀座線とか総武線各駅停車の色を想像します

たくさんの線が乗り入れる駅は、神奈川でいえば横浜駅とか武蔵小杉駅とかそんな感じ?

 

 

ワシリー・カンディンスキー

「スウィング」

1925 油彩/板

カンディンスキーは「好きー」です(ダジャレ)
 
色彩豊かで、リズム感があって、いいですよねー(そういえば、以前に書いた滋賀県立美術館の記事でもカンディンスキーの絵が登場しました)

 

 

以上、展覧会の絵の中から、私が写真を撮ったものを取り上げましたが、いかがでしたか?

 

ターナーが展覧会の副題にあったので、もう少したくさん出品されているのかと思いましたが、意外と少なかった気がしました

 

 

ロンドンにあるテート・ブリテンには、20代のころ、ロンドン在住の友人を訪ねた際に行ったことがありました

その時に見た、オフィーリアに強烈な印象を受けました(今回出品されていません)

ミレー

「オフィーリア」

 

 

また、主人がロンドンに単身赴任していたことがあり、その時にはテート・モダンに行きましたが、現代アートに目が白黒した記憶があります

 

 

ヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコ

 

 

展覧会を観終わって、中之島美術館を出ると、

美術館の目の前を流れる堂島川に大きなアヒル🐤が浮かんでいるのが見えました

 

近寄ってみると、だんだんかわいいお顔が見えてきました

 

なんと大きくて、なんとかわいいアヒルでしょう

 

すっかり上機嫌で大阪を後にしたのでした