ウィッグ購入メモ。 | 猫畜生日記とつんたんか

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はじめまして。
ねこちくです。
またの名をつんと申します。
昔は「中森つん」なんて呼ばれていました。
書くことを見つけながら、書いていきます。

ウィッグ購入メモ

【購入時期】
ウィッグの購入は、抗がん剤治療が始まる一カ月くらい前をめどにし、脱毛が始まったらサイズ調節や全体のカットをしてバランスを整えるのが理想的とのこと。
【価格】
価格は三万円台のものから三十万円くらいまで。
【素材】
合成繊維、ミックスヘア(合成繊維+人毛)、人毛。素材によって価格が変わってくる。見た目や着け心地もかなり違いがあるので、予算よりも患者本人の意思を尊重できるようにしてほしい。
【種類】
それぞれの会社によってショート、セミロング、ロングとある。トップピース、ハーフウィッグ、(フル)ウィッグ。自髪がどの程度あるかによって変わるので、治療が始まる前に医師と相談しておくといい。

~母の場合~
パクリタキセル(抗がん剤)によって脱毛が起こることが確実になったので、投与が始まる一週間前からカタログの請求を始めた。医療用ウィッグ専門のところや、ファッションウィッグまで様々。実店舗(サロン)でサイズ計測からオーダーの出来るところもあれば、通販のみで自分の気になった商品を比較的安価で取り寄せることの出来るところもある。
母の場合、人より頭が小さく、サイズ調節をしっかり行わなければならないことや、そもそも脱毛への不安感の方が勝っていたことがあり、どのようなウィッグを探せばいいのかがわからなかった。
最終的に決めたのは、通院している病院に併設している美容院が不定期で行っているウィッグ体験だった。そこで気になるウィッグをかぶらせてもらい、スタッフの方に簡易でサイズを合わせてもらうと、君に決めた!状態になった。カールのかかり具合やカラーリングのグラデーションなど、おしゃれに気を使っていた頃の母の雰囲気にぴったりだったのだ。私と母だけの意見では決められないので、兄に着用写真を送ると「もう少し明るい髪色がいい」とアドバイスをもらった。なるほど。母娘のはしゃいだ判断力に任せてはいけない。男性、特に息子となると、自分の母親のイメージをしっかり覚えているようである。
同じヘアの1トーン明るい色味で合わせてみると、確かに母の雰囲気になじみがある。前者は美容院に行ったばかりの可愛らしい母だが、後者はもうそろそろカラーリングに行った方がいいんじゃないの?と言われそうな感じなのだ。しっかりとセットされた髪型よりも、てぐしで少し直して自然になるもののほうがいい。兄からの意見とスタッフさんのフォローにより、その日はほぼそれに決定した。細かいサイズ調整とカットなどがあるため、受取と支払いは後日に。そちらも併設の美容院でできることが有り難かった。
後日、美容院にてウィッグの最終確認。こんなに明るい色味だったかとびっくりしたが、元々母の髪色はだいぶ茶色だったので、もはや黒に近づけることが違和感になる。そのままサイズの調節をしてもらい、全体の雰囲気を確認。最終決定をした。
脱毛が始まると頭のまわりのサイズはもう1、2cm小さくなるそうなので、その都度、細かく調節をしていくことが大切とのこと。全体が脱毛した際には、アンダーキャップも必要。ウィッグは一度カットしてしまうと元に戻すことは出来ないので、まずは前髪の長さを整える。もう少しウィッグの着用になれてきたら、全体のバランスを整えることになる。
手入れの方法はウィッグ専用のシャンプーとトリートメントを使う。洗濯物の手洗いのもの、女性でいうところのちょっと高めのブラジャーの手入れの仕方によく似ている。風呂桶にお湯または水をはり、少量のシャンプーをとかしておく。ウィッグをゆっくりと洗う。このとき強くこすったり揉んだりしてはいけない。劣化の原因になる。汚れを落としたら風呂桶の水を変え、シャンプーを落とす。3、4回ほどゆすいで泡が出なくなったら、今度はトリートメントをとかしたところに入れる。なじませたら水を変え、1、2回流したら、乾いたタオルで水気をとる。ここでも力を加えると変形してしまうので、やさしく。半乾きの状態で軽くブラッシングをして髪型を整えたら、専用のウィッグ台に乗せて自然乾燥させる。長く使わないときはケースにしまって保管すること。
美容院で購入したウィッグなので、メンテナンス自体は有料で行っている。抗がん剤の点滴を受ける前に預けて手入れをしてもらい、サイズなどの調整もしながら、そのまま帰ることが出来るのはとても助かる。

~感想~
医療用のウィッグは高い。母の購入したものは、手入れ用の諸々込みで約30万円である。自治体によっては医療用ウィッグの購入に助成金が出るところもあるらしいので、事前に確認してほしい。通販で購入できる手軽さはとても魅力的だが、患者の通える距離に実店舗があり、都度の調整ができるのが大事だ。また、脱毛が始まってくると、患者、特に女性は大きな精神的ダメージを抱える。専用の帽子をかぶって隠したり、脱毛の飛散を防いだりするものの、それまで生きてきた自分の印象や長所やらしさをいきなり失うのだ。治療のためには仕方がないと言い伏せることは出来ない。ひとりで抱えさせないように、ダメージを少しでも減らすように、ウィッグの購入は必要不可欠だった。脱毛に負けて外出が出来なくなったり、精神的なダメージから自暴自棄になったりすることのほうが、よっぽどの問題なのだ。
家族に出来ることは限られている。看病をするだけが支えではない。後悔のない余命を生きてもらうために尽力するのが、いまの私の日常だ。