猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。から派生する続きのひとつ冷徹な彼。の続きとなっております。


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「あぁっ!本当に、なんて愚かだったのか……こんなにも偉大なる愛に気付かずにいたなんて……」



許されるなら、跪いてこうべを垂れ過去の愚昧なる過ちを詫び許しを乞うて身を伏してしまいたい。
でも、せめて……この罪深い俺が向き合うべきだと、じわりと滲む視界の先に、涙に濡れた愛しいひとの姿へとまっすぐに瞳を向けて……
そう……遠く離れて触れ合えぬ今は、せめてその瞳から目を逸らさずにまっすぐに強く。





朝、俺の腕からベッドの外へと逃げ出そうとしていた愛しい君。
「敦賀さんにそんな介護みたいな事をさせる訳には……きゃっ!?」
唐突に小さな悲鳴と共に崩れ落ちた彼女の脚。
素早く動く細い手が、俺から隠そうとシーツを伸ばして琥珀色の大きな瞳が見てませんよね?と必死で語っていたけれど……見逃せるものか。
うずくまる彼女のもとへとベッドから降りて向かう。
今思えば、ギクリと身を竦めた彼女が何かを訴えようとしていたような気もするけど、そんな事は些細なことだよね?
うろっと逃げ道を探すような気配の彼女へ、出来るだけ落ち着いたトーンで安心させるように、じわりと言い聞かせるように畳み掛けるように懇願していた。
然るべき書類へのサインと……その願望を。




愛しい彼女の白い脚を伝い落ちた、俺の白濁。
昨日の夜、拒絶しないで受け入れてくれた彼女へと思うさま注ぎ込んだ俺の煮詰まった欲の結末。
それが実を結びもたらすだろう果てを、頭に思い描いた途端……ぞわっと背中に身慄いが走る程の感じた事のないような歓喜と身を焼くような悔恨とがないまぜになった、洪水のような耐え難い感情の渦に苛まれて決心したんだ。





「DNAの鑑定結果ってどうして99.9%までしか出ないんだろうね?0.01%も否定させたくもないのに……」
ついこの間まで共演していた法律事務所を舞台としたドマラで得た知識を思い浮かべながら、ぎゅうぎゅうに彼女を抱き締めて恨むように愚痴をこぼしていた。
DNA鑑定をさせてほしいと頼んだ俺を驚いたように見上げていた瞳に、もちろん生前鑑定なんてもっての外でちゃんと免疫力の安定する年頃に口内粘膜細胞からの痛みもリスクもないような鑑定法で頼むよと、鑑定を依頼出来るところってどれくらいあるんだろう?と落ち着きなく頭を掻き乱しながら、出来るならか片っ端から手当たり次第のありったけで複数機関へ依頼したいとかそんな事をつらつらと頼み込んでいた俺に彼女が言ったんだ。
「そんなに……そこまで、必要……ですか?」
と……当然で当たり前じゃないか!?
だって、キョーコちゃんに似たとびきりにかわいい子かもしれないし、もし!もしもだよ!?万が一にでも俺にそっくりな男の子になったらどうする?
それこそ、絶対に必要不可欠だろう?



「15才かそこらで家を飛び出されて遠く離れた異国の地で、姿から名前まで変えて他人だなん素振りをされてしまったなら?…………耐えられないっ!!だから、そうなった時には鑑定書を突き付けてでも否定して親子だって言い切ってやるんだ!!」



そうはっきりと心に決めて宣言する俺に
「はぁ?………な、んでそんな……具体的?」
さっぱり何がなんだかわからないと目を白黒させているキョーコちゃんに、にっこりと笑ってみせて……
必要な手続きと報告なんかもあるからと言いくるめて、まぁ……多少強引に、攫うようにここまで連れて来たんだ。







そう、ここは俺たちの所属事務所の社長宅。
ボスならいろいろ俺の諸事情も知っているし、俺が動いたりしてマスコミに目を付けられずに必要書類の手配を頼めるだろうし、キョーコちゃんが逃げたりしないような大ごとにしてしまえるだろう?
あと、何よりどこよりも安心して連絡が取れるから。




いちはやく、懺悔してしまいたかったんだ。





本当に、なんて愚かだったんだろうか
今になって、自分が仕出かした親不孝っぷりと見守ってくれていた偉大なる愛に気付くだなんて……
繋いでもらったFaceTimeでの遠い母国への国際電話。液晶の中に映る、肩を震わせて泣く母さんと抱き寄せる父さんの姿。
別れの言葉さえろくにないまま家を出て、名前も姿も変え、親子の繋がりさえ否定して何年も過ごすだなんて……ごめんなさいと心からの懺悔と、必ず愛しいキョーコと共に帰ってみせるからもう少しだけ待っていてくださいと告げた。
俺の両親の姿に吃驚して、くたりと気を失ってしまっているキョーコちゃんをしっかりと抱き締めたまま。






うん。驚かせてしまったキョーコちゃんへの懺悔もちゃんとするよ?
そう……たぶんそろそろ手配されて届くだろう婚姻要件具備証明書等の必要な書類に君のサインをもらった後あたりにでも
この胸に有り余るほどの愛を込めて、たっぷりと。







はやく起きてくれないかなぁ……
もちろん寝顔だってたまらなくかわいいけれど
なんだか無性に、君の瞳が見たくてたまらないんだよ。







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子どもが出来るかも?って我が身になってやっと自分の仕出かした親不孝っぷりに気付いての懺悔と、もし自分と同じような道を辿ろうとした場合での対処法に科学的親子証明書を求めちゃうよーな、暴走蓮さん


なんて感じのものを、この前DNA鑑定セットを実際に目撃した時になんとなく妄想してしまいまして。笑


この後、念書にサインだと思い込んで頷いたキョコさんは、婚姻届を前ににっこり凄む蓮さんと対峙することになっちゃうんでありましょう。
∑(゚ロ゚!(゚ペ?)



さて、この変な敦賀さんシリーズ、なんと三桁の大台まであとちょっとなんですよ!?
(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」オオオオオッッッ
もうここまで来たなら、なんとかがんばってみたいとこなんですが…………
なんぞといいネタは、ないですかねぇ?
( ´△`)←ネタ募集中☆


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


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