夏が近づく海辺を歩く、片手に夜を携える、
水の風は誰もが愛した、水平線から流れるそれは、
頬をつたって通り過ぎてく、
フィルムで見たいつかの憧れ、
くわえタバコにダービーハット、
趣味の悪いアロハシャツ、
二度と目指さない国の地図、
唇尖らせ、優しいはずの歌を吹いてる、
どうにも悲しい気分ばかりで、
忘れた名前が瞼に過ぎた、
夜がおおう海辺を歩く、片目に見るは美しき夏のヒカリで、
潮風、背中をなでてゆく、
海賊たちが愛した街を、砂の上に浮かべてる、
立つ絶壁にて灯る黄色を見つけた、それで、
唇尖らせ、導くヒカリに笛を吹く、
無限はなくとも終わりもないと、愛するものが待つ場所へ、
果たせていない約束を手に、
果たせていない約束を手に、
art by aya.
text by Billy.