the sunshine underground / after life
やっぱり。 やっぱり、生きていたか。
そして、この地で巡り合うのも決まっていたような気がする。
「久しぶりだな、ディータ」
そうつぶやき、俺はゆっくりと広場に足を踏み入れた。
僕は再会するふたりを見ていた。
騒ぎ立てるでもなく、涙が流れるでもない、数年ぶりになるんだろうふたりの再会は歓喜とはまるで違うものだった。過酷な運命を生き延び、僕には、いや、ふたり以外の他人には立ち入ることも感じることもできない、特殊な磁力が同じ時間、同じ場所にガゼルとディータを導いたんだと分かる。
「タバコを吸いたいんだ、火を貸せよ」
「ほらよ、相変わらずのマルボロか」
ふたりは互いに火を点け合って、美味そうに煙を吸い込んだ、ガゼルは金髪に細い指を差し込んでがしがしと頭を掻きむしる、ディータは眉根に皺を寄せ、鼻の下を右人指で擦ってる。
きっと、ふたりは何度もこんなやり取りを繰り返したんだろう。
月日を経ても、変わらないものはある。
「こいつはジタンだ、サンシャイン・アンダーグラウンドに侵入したときに一緒だった。な?」
僕はガゼルにアタマを叩かれて、初めて会うディータに無言で小さく礼をした。
「そうか、僕はディータだ、訳ありで……いや、実際はたいした理由なんかない、里帰りってとこだ」
監視つきでな、ガゼルは姿勢を変えないまま、その左右で色の違う眼球だけで、あちらこちらから僕らを睨む軍の人間の存在を知らしめた。すでに射撃態勢に入っている兵もいる、だけど、ふたりはまるで意に介さないようだった、発砲がなされても、彼らには当たることがない。足下の石を削るのが精一杯だろう、この地において、ガゼルとディータには威嚇さえ通じない。
「……ふたりは……再会だけが目的じゃない……よな?」
どうかなあ、同じセリフで笑い合う。言っただろう里帰りだって、ガゼルが言ってディータは笑った。そうそう、僕らは何も目的なんて持たずに行動してるんだ、と。
「何年ぶりだ? ずいぶんアンダーグラウンドも変わっちまったみたいだけどな」
「ガゼル。臨時政府はこの島を合衆国に明け渡したんだ、だが、本土が押さえられたいま、ここは再び不要になった、そのあたりはジタン、君のほうがよく知ってるはずだ」
ディータは僕の手に刻まれた刺青に気づいていた、だけど、そのことを口にはしなかった。
……続劇