刻まない時の部屋、終わりだけが視線の先で手を振って、
逃れようもその術などなくて、茫漠たる刻が在る、
思わば孤立の地平に過ぎぬ、思わば四季すら感じぬ場所で、
吠える犬もいなければ、吠えるだけの狗に見張られ、
ときに憶えもなく笑顔による横暴に、眉のひとつもしかめずに、
不敵な笑みさえ浮かべる日々だ、焼けた鉄をその背に突かれようとも、
青みのなかを自在に舞う、魚たちや鳥たちと、追い回しては笑顔に充ちた、
奇跡の時間を取り戻そうと、囚われしも変わらない、
ただひとつの願いは自由、生きしのかたちに正否はないと、
灰色に囲まれて、見上げる碧みが小さくも、
ナイフの気分を胸に抱く、やがては再び狂い咲こうと、
いつか触れた恋人の、頬の温度はただひとつ、
砂漠ばかりが世界を覆う、それでも舌には刃物の錆びが残ってる、
太陽なんて落としてやれって、ダーツに見立てて投げつけた、
あのナイフの手触り覚えてる?
青みに刺さる鳥の背で、僕らはずっと飛び続けてた、
その日はきっとくるはずと、監獄船で含みの笑みさえ浮かべてる、
photograph,text,illustration by Billy.