丁先生漢方っておもしろいです。(丁宗鐵)(南伸坊)
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えー!?これって本当!?まじでー??という話題が盛りだくさんの、楽しい本。
面白くてたくさんメモってしまった(長い
以下メモ。
1.漢方が西洋医学に負けたわけ」えっ!?そうだったのかあ!?という内容でびっくり。明治政府が西洋医学を日本の医療に選定した、というのは知ってはいたけど、それに、こんな理由があったなんて、知らなかった。そうかー。
明治政府は百年先を見越して西洋医学を選んだという(戦争医療には西洋医学が向いていたのもある)イギリス医療ではなくドイツ医療を選んだのが、、、。
漢方は秘伝。専門書にも嘘書いてたり大事な所が抜けていたり。免許皆伝、信頼できる弟子にしか処方を明かさないのがネックだったと。(成る程w
(それにしても、ここまで自国の伝統医療をないがしろにする国も珍しいそうだ。どんだけ外国万歳なのかって。)
(昔むかしに大陸から入ってきた医療は元々日本にあった医療と合わさって長い時間かけて日本人の体質やこの風土に合ったものに発展してきたのに、それを無視するなんて勿体無い気がする。)
2.漢方で治す風邪
発熱反応は、ウィルスの感染に対して人体が戦うために出しているということ。だから熱はむやみに下げてはいけない。
明治時代に、漢方の麻黄から、インフルエンザに効く成分を抽出するのに成功したのに、見つけて発表しただけで終わりにしちゃった長井さんのおはなし、面白い。その、37年後に、中国人のチャンさんが特許取って大儲け。とか。
そしてようやく最近になって、その麻黄がインフルエンザに効くらしい、タミフルに匹敵するらしいと医者が認めるようになってきた、とか。
3.東と西の薬談義
西洋薬はマテリアル。副作用はあって当たり前。対症療法。
漢方薬は病気と闘う体の抗病力を引き出すための処方であり病気を真正面からやっつけると言う戦略ではない。
4.がんが治ると日本が破産!?
がんの治療に免疫が関係しているのではないかと言う事は、昔から言われていたが、日本はそれを否定し続けてきた。日本はほとんど抗がん剤一本槍。
免疫療法を研究していた医師たちは、どんどんアメリカへ。分子標的薬は有効であると言うことが最近になってわかってきたが薬の特許がアメリカにあり、(めちゃめちゃ高額)それを日本で使っても儲かるのはアメリカの会社。だから国はそういった薬を認可したがらない。
日本の国民皆保険制度は非常に充実しているが充実しすぎたが故に破産に陥ってしまっている。見直しをするべき。病気になるたびにすぐに病院にかかるのではなく、自分で健康に注意して病気にかからないようにすることが大事。ちょっと風邪をひいた位で病院にかからない、とか。
5.丁先生の雑談力
列車では節電のため換気率を下げているらしい。自由席では空気を循環させているだけ。だから普通車に乗っている人は酸欠状態でみんな座ると寝ているグリーン車は換気率がそのままなので大丈夫。酸欠状態を長く続けると脳細胞に影響が出るかもしれない。
6自律神経失調症ってなんですか?
自律神経失調症の治療は鍼灸が得意。
鍼灸治療→奈良時代にはすでに漢方薬と一緒に日本に伝来している
江戸時代、鍼灸(あんま)は目の不自由な人が専門に施術するようになる(江戸幕府が撮った障害者を対象としたユニークな福祉政策。明治以降まで続く)そのおかげで鍼灸は日本で独自の発展を遂げた。→管鍼方と言う世界でも珍しい日本独自の技術を生み出した。
現在の日本の医療システムでは鍼灸だけが分離されてしまい漢方薬と鍼灸の併用が難しくなってしまった→鍼灸と漢方薬を統合させることがこれからの大事なポイントになる。
7.糖尿病は勝ち組がなる。
糖尿病= (糖中毒)糖依存症。生活習慣病。
本来食事と労働睡眠保養これらのバランスとリズムがきちんと取れていれば糖尿病にはなりにくい。
昭和40年以降日本人の食生活は大きく変わってきた→肉や乳製品高タンパクの豆類増。甘い果物増。生野菜のサラダ増。調理に油や糖分人口調味料を多く使う。
→しかしそれだけでなく食事回数、【1日3食の食事が推奨されたこと】
【冷たいものを多く食べるようになったこと】も関係している。
8.横道にそれますよ
江戸時代に日本に入ってきていた高麗人参は、実はアメリカ大陸でそこいら辺に生えていたもの。(中国に高く売れたので取りすぎてしまいなくなってしまった)
9.聖武天皇の漢方薬
日本の漢方薬の特徴の1つにエキス製剤がある。これが発明されたのは昭和19年(1944年)漢方薬の良さを客観的に証明するために発明された。日本の漢方は世界で1番進歩した剤形と内容を持っていると言っても過言ではない。
10.変な咳が出る人
アレルギーや喘息が増えた原因
ストレス
室内の空気汚染(ダニやカビ)
12.体に良い食べ物
昭和40年以降に冷蔵庫が普及し、乳製品や冷たいものを摂取することが増えた→乳がん大腸がんが増えた
同じ頃チョコレートを食べるようになった→アトピーなどのアレルギー性疾患が増えた
13.漢方と中医学は違う?
中国では近代に入り中医学が再編成されたそのため論理的には整合性が取れてスッキリしたしかし日本に伝わった時とはかなり異なる体系になった
したがって漢方医学は日本特有の伝統医学と言える。
14.ニーチェと平賀源内
ゴッホもう子オスカーワイルドボードレールベートーベンシューベルト、ニーチェ、坂本龍馬や平賀源内も梅毒で死んだ。
江戸時代の都市部では2人に1人が梅毒で死んだ可能性がある。
15.眠れない悩み
日本の国民健康保険は破綻しかけている。
実はかなりやばい。病気にならないためには努力しなければならないのに健康保険は努力しなかった人のために浪費されていると言える。
16.認知症の漢方薬
認知症には漢方薬がとてもよく効く。
17.下痢にも便秘にも効く薬
名医が伝える漢方の知恵(集英社新書)
18.不妊は恵まれている。
心身ともに満ち足りている、衣食住も満ち足りているときには子供ができにくい。
生存に対する危機感が子孫を残そうとさせる。だから戦後の日本は栄養状態が良くないにもかかわらず子供がたくさん生まれた。昔から結核患者の子だくさん貧乏人の子沢山と言われているのはそのため。
19.頭の痛い話
頭痛は血圧が上がって痛いのか、血圧が下がって痛いのかによって対処法が違う。
なので頭痛がしたときに血圧を測っておくと良い。脳腫瘍や脳の血管での異常で頭痛がする場合はシティを取らなくても症状で判断できる。なのでむやみにシティを取るのは危ない胸部レントゲンの1000枚分ぐらいの放射線を浴びることになる。
本来心療内科とは一見して精神的なことが原因とされる病気でも内科的な原因を詳しく調べ異常を発見して治療し精神的な症状を治める診療科である。(今はやたら薬を出すだけになっている
20.貝原益軒のダイエット
体内の寄生虫を駆除したことによって肥満やアレルギーが増えた説。
国民会健康保険制度は崩壊寸前→一般的に医療費の高騰は高齢化社会が主な原因と言われているがもっと根本的な問題は他にある。それは国民が自らの健康医療機関に丸投げしていると言う現状。病気を発症すると自らの生活を反省してセルフメディケーション(自己治療)を試みることなくすぐに病院に行って医師に治療を委ねる。自分で養生もしないくせに治りが遅いと医師を批判したり病院を変えたり挙句の果てには訴えたりする。この安易な受診こそが国民医療費の包丁の根本的な原因。受ける側が変わらない限りたとえ政府や医療機関が制度の改革を行ってもこの問題は解決されない逆に言えば一人一人が自分と家族の健康に責任を持って生活をしていれば医療費を削減することができる。
21.癌にも個性がある
実証タイプなのか、虚証タイプなのかにより、同じ癌でも対策は違う。
癌になるのはストレスや生活習慣が原因。予防もできるし対策もできる。
この丁先生の凄いところは、西洋医学を完全にマスターした上で漢方医学再評価の先頭にいるという所。