J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第Ⅰ巻 第Ⅱ巻 全48曲 演奏と解析 横山博 | 西方音楽館のブログ

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J.S.バッハ平均律クラヴィーア曲集 第Ⅰ巻第Ⅱ巻全48

クラヴィコードとチェンバロで演奏、そして解析 横山博

2015222日から始まり、毎回第Ⅰ巻、第Ⅱ巻からそれぞれ2曲ずつ、演奏・解析を行ってきた。平均律を思考する音楽と捉え、修辞学の観点から楽譜を読み、またバッハの念頭にあったであろう、影響を受けたであろう曲と聴き比べ、また聖書と結びつけたり、絵画との類型を探ったり、多角的かつ深く掘り下げて追求していくこのシリーズは、毎回バッハ理解に、演奏に、役立てられる何かしらを得ることができた。

前回823日は、第Ⅰ巻第9番プレリュードがパストラ―レに関連づけられることから、コレルリ、ヘンデル、ヴィヴァルディ、バッハのパストラ―レを聴き比べた。また第Ⅱ巻第9番フーガが、伝統的主題L`home arme(武装した人)を用いていることから、同主題に基づくパレストリーナのミサ曲、フローベルガ―のファンタジアなどを聴いた。

J.S.バッハのほんの短い1曲が、脈々と続く西洋音楽の歴史的流れの中で、伝統を継承しながらも、バッハ独自の革新的世界に創り変えられている様を目の当たりにすると、今さらながらバッハの偉大さに驚嘆し、改めて畏敬の念を抱かざるを得ない。

次回923日は、第Ⅰ巻、第Ⅱ巻の第11番と第12番。それぞれの巻が24曲からなるこの曲集にとっての、折り返し地点。ラテン語が得意だったバッハ。理数系の頭脳をしていたであろうバッハ。この折り返し地点で、一体何を企てようとしたのか。

横山博氏の頭脳が、どんな回答を見出すのか、楽しみである。