①この本の目指すゴール
1.今の時代に必要な知識労働者とは何かを理解する。
2.プロフェッショナルの条件を理解する。
3.成果を上げるにはどうすれば良いかを学ぶ。
②構成要約
1. 世界で何が起きているか?
ー ポスト資本主義
産業革命後に起こった資本主義も、新たなステージに入ったようです。
特に「知識に対する意味合い」が変わり、知識が経済の中心になっている、とドラッカーは言います。
ー 新しい社会の主役
今、世界は前例の無い組織社会となっています。
組織社会の問題は「変化への対応」。今の変化の激しい情勢に、対応しきれない組織が増えている、ということなんですね。
そんな中で活躍するのは、「知識労働者」です。
彼らは、組織に依存しないので、新しい社会の担い手になるでしょう。
2. 働く意味が変化している
ー 生産性を高める
工業化社会では、「何のために働くか」は、問われませんでした。
何故なら、肉体労働では「同時に一つのことしかしない」からだと、ドラッカーは分析します。組織の生産性を上げたいならば、まずは、働く目的を明確に定めること。そして、その目的に集中すること。
ー なぜ成果が上がらないのか
成果を上げるためには、全ての者がエグゼクティブの心持ちで臨むことだ、とドラッカーは言います。知識労働者が生み出すのは、「知識、アイディア、情報」
それは、単体では意味をなさないものなので、「共有」することが重要です。
肉体労働者と知識労働者を分けるのは、「自らの成果を他の人に供給すること」。
ー 貢献を重視する
成果の上がる組織を目指すならば、権限ではなく成果に焦点を合わせること。それはつまり、「どんな権限を持っているか」ではなく、「どのような貢献ができるか」という視点で考えられなければならない。
「直接の成果」「価値への取り組み」「人材育成」の3つの領域での成果を上げる取り組みをしないと、組織は腐敗する、とドラッカーは警鐘を鳴らしています。
知識ある者は「理解される責任がある」といいます。
3. 自らをマネジメントする
ー 私の人生を変えた7つの経験
ドラッカーは、自らの人生で目標やビジョンを常に明確にしてきました。
そして、1つのことに集中し、日々検証と反省を繰り返すこと。「何によって知られたいか」を常に意識すること。
ー 自らの強みを知る
「自分について知ることのできることは、せいぜい弱みについてである」
ならば、どうしたら、自分の強みを把握できるのでしょうか?その答えは、「他人にフィードバックをもらうこと」。そして、その強みを更に磨くことに集中し、改善しても人並みにしかならないことは取り組まない。これが、個人版「選択と集中」です。
ー 時間管理
重要なことに集中するためには、時間管理が重要です。
そのために、まず「何に時間を使っているか」を把握する必要がある、とのこと。時間は、目標達成のための「制約条件」だと認識すること。
仕事を整理し、必要のないことは捨てる、他の人に頼めることは頼む。
成果を生まない、時間を浪費している、根本原因を取り除くことです。
4. 意思決定の基礎知識
ー 意思決定の秘訣
正しい意思決定を導くために必要なのは、次の5つのステップです。
1. 「基本的な問題か、例外的な問題か」「何度も起こることか、個別事案か」
2. 「その決定の目的」「達成すべき目標」「満足させる必要条件」
3. 何が正しいか、何が受け入れられやすいか、考える。
4.決定を行動に移す。
5.フィードバックを行い、検証出来る仕組みをつくる。
ー 優れたコミュニケーションとは?
これにも、以下の4つの原理があるそうです。
1. コミュニケーションを成立させるのは「受け手が理解できること」である。
2. 知覚することを期待していることだけを知覚する。
3. 受け手の価値観や欲求や目的に合致しているか。
4. コミュニケーションに必要なのは、知覚であって情報ではない。
ー 情報と組織
情報を中心とする、「情報型組織」が出現しています。情報型組織はフラットで、マネジメントの階層が圧倒的に少なくなる。その代わり、自己管理と責任が集中することになる。
ー 仕事としてのリーダーシップ
組織論としては、いわゆる「カリスマ性」は必要としません。
リーダーたる要件は、
1. リーダーシップを仕事とみること
2. 地位や特権ではなく責任とみること
3. 信頼が得られること
ー 人の強みを活かす
個々の強みを活かすために、「強み重視の人事」が必要です。上司は部下の強みを活かし、部下は上司の強みを活かすこと。
ー イノベーションの原理
最後にイノベーションについて。イノベーションにも条件があるとのこと。
(なすべきこと)
1. 機会を分析すること。
2. 利用者の期待、価値、ニーズを知る。
3. 焦点を絞り、単純化する。
(なすべきでないこと)
1. 凝りすぎないこと。
2. 多角化しないこと。一つに絞ること。
3. 未来のためにイノベーションを行わない。
5. 自己実現への挑戦
1. 機会を分析すること。
2. 利用者の期待、価値、ニーズを知る。
3. 焦点を絞り、単純化する。
(なすべきでないこと)
1. 凝りすぎないこと。
2. 多角化しないこと。一つに絞ること。
3. 未来のためにイノベーションを行わない。
5. 自己実現への挑戦
ー 人生をマネジメントする
同じ仕事を40年、50年続けるのは長過ぎて飽きるので、第二の人生を予め設計することが重要、とのこと。
ー 「教育ある人間」が社会をつくる
ポスト資本主義社会は、「知識社会」であると同時に「組織社会」である。
知識労働者が中心となると、「好きなこと」しかしなくなるため、組織としての目標達成のため、若いうちから経営的な仕事を任せ、経験を積ませることが重要である。
ー 何によって憶えられたいか
自らを成果の出せる人間に出来るのは、自分だけである。だから、自らの成長には責任を持つ必要がある。
ドラッカーも、未だに自分に対して「何によって憶えられたいか」問うているとのこと。
③実践へのアクション
1.自分の強みを知る。
2.何で貢献出来るかを考える。
3.時間を管理し、重要なことに集中する。
ひとつひとつ見て行くと、非常に難解で煩雑な印象を受けますが、要素分解するとヌケモレなくポイントが指摘されていて、非常に汎用性の高い内容だと感じました。
特に、組織の中でどうやって成果を上げるか、という視点で読むと、何をすべきかが、シンプルに腹落ちすると思います。
これからの情報社会では、ドラッカーの言うように誰もが必要なスキルが列挙されていますが、ビジネス感覚が無いと、「何のこっちゃ?」と思う部分が多いかも知れません。
でも、ある一定のレベルまで現場で実践を積んだ後に読むと、プロフェッショナルとしての必要条件が網羅されていて、改めてドラッカーのすごさが分かります。