誰にでも嫌な出来事などは記憶の奥底にこびりつきそれをみるだけで嫌な気持ちになるといった事の経験はあるだろう。
いわゆるトラウマといった出来事だ。
この症状が重くなるとPTSDとなったりする。
以前は精神分析などを行うことを治療としており莫大な時間と資金がかかった。
ざっと計算すると1時間1万円ほどでそれが少なくとも毎週で年単位とかかる。
2年間かかったとすると100万円以上かかってしまう。

薬物療法も抗うつ薬を使うが、効かない事も多い。

それゆえ治療に難渋する場合も多い。何か他の治療はないだろうか。

ひとつ注目されている方法でreconsolidation(記憶再統合)というものを紹介する。
記憶再統合というものは一度は長期記憶として安定化した記憶が想起されることにより不安定な状態になり、そして再び安定な状態に戻る神経システムを意味する。
ニューヨーク大学のDaniela Schillerは人間において古い恐怖の記憶はreconsolidation期間で恐怖でない新しい情報によって書き換えられるのではないかという事を利用し治療してはどうかという。

つまり高所恐怖症の人にはreconsolidationの期間に高いことは安全だという体験をしてあげればいいとなる。

これはなんとなくショック療法に近いものがあり、昔から言われていることでもあるのだがDaniela Schillerの場合はこれを実験で検証したというところに価値がある。

被験者らに不快な体験を記憶づけそれを呼び起こして不快な体験を不快でないと記憶を再統合させることに成功したのだ。

この手法が確立されればPTSDや強迫性障害の治療などで有効になるかもしれない。