新型コロナウイルス 第二波? | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

ニュース、メディアでは連日「感染者数増加」と報道されておりますが、

あまり冷静な報道がされていないことが残念に思います。

 

パニックを煽ろうとするような報道が多いからです。

 

テレビニュースは未だに「感染者数」としてPCR陽性者数を報道しておりますが、

これは色々な意味で、やめた方がよいと思います。

 

毎日発表されている「感染者数」は実際には感染者数ではなく、PCR検査で陽性が確認された数、

つまり、感染者数の一部、にすぎません。

この陽性者数をあたかも「感染者数」として報道する一方、

他のデータを出さないのでは意味がありません。

 

このブログではこれまで「感染者数」という表現は使わず、あくまで「陽性者数」と記載してきました。

この陽性者数だけで、たとえば過去の4月の緊急事態宣言発令前と現在の状況を比較するのはバカげているのですが、

そういったことに配慮するメディアはごく一部です。

 

現在の状況において、過去と比較するモニタリングデータとして「陽性者数」に加えて検討が必要と考えているのは、

「重症者数」、「死者数」、「陽性率」の3つです。

「陽性者数」は重要なデータですが、それだけでは不十分です。

 

下のグラフを見ていただきたいと思います。

 

これは、twitterで拡散されていた東京都のデータですが、直感的にわかりやすいので、掲載いたしました。

ピンクが陽性者数(感染者数と記載)、緑が検査数です。

時間軸は少し見にくいですが、3月から、7月上旬に陽性者数が過去最高を更新し始めた頃までです。

 

確かにピンクだけをみていると、6月下旬から陽性者数が再増大し、4月のピークを越えています。

これがメディアが報道していることですね。

しかし、一方で、緑の検査数を見ると、3‐4月と7月では段違いに検査数が多いことが分かります。

7月上旬にはざっと7倍の検査が行われていて、そのうちの200-300人が陽性ということなのです。

 

この陽性者/検査数は、「陽性率」のデータとして現れます。

3‐4月の頃は緑の検査数の高さの約半分弱程度までピンクの陽性者数があります。

この頃、検査の「陽性率」は高い日では40%を越えることもありました。

 

一方で現在の東京都の陽性率は6-7%程度です。

3‐4月と7月で陽性者数こそ同レベルの200-300人としても、これだけの陽性率の差があるということは何を意味するか。

実際の感染者数は3-4月の方が明らかに多かったということが、推して知るべしなのです。

 

3‐4月の頃は限られた人数にしか検査をしていなかった、つまり、疑いの高い人にのみ検査をしていた状況ですから、

実際にはPCR検査を受けていない潜在的な感染者の方が多くいたはずなのです。

3‐4月の実際の感染者数は見えていた数よりずっと多かったと考えられます。

 

つまり、現時点の感染状況が3‐4月と比較して悪いかというと、そうは思いません。

当時の7倍の検査をやっているのですから、都内で連日1000くらい陽性者数が出てようやく同じくらいの状況かなと、私は思っています。

 

ニュースやワイドショーは「感染爆発だ」と騒ぐ前に、陽性率や検査数についてもう少し報道すべきだと思います。

「感染者数」として陽性者数だけを報道するのはやめにすべきでしょう。

 

また、軽症の感染者数が増えようと、重症者と死者数が増えなければ良いのです。

現在の重症者、死者の増加については下記の厚生労働省のページで確認できます。

 

国内感染者の状況

 

 

7月24日時点で、全国の重症者数は68名です(7月24日は陽性者数981人増、重症者9人増)。

死者はこの日は2名増えて、累計で992名となっています。

 

1億人以上の人口の日本国内で、全国で重症者数が68名。死者はこれまでの累計で992名です。

 

ワクチンも薬も存在するにも関わらず、毎年1000万人以上が感染し3000人以上が亡くなるインフルエンザと比較した際に、

新型コロナが特別に日本人にとって危険だとは思えないのです。

 

当初は欧米での感染者死者数に驚き、私もこのウイルスの危険性を論じておりました。

しかし、あれから様々な国内外の情報に触れ、これまでの国内の感染状況を見てきた結果、

日本で今後爆発的に大勢の死者を出すようなことはなかなか起きないのではないか、と思うようになっています。

 

陽性者数の推移よりも、今後の重症者数や死者数の推移が重要だと思っています。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

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