新型コロナウイルス 各県の緊急事態宣言や、行動自粛は必要なのか? | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

この記事を読む前に、3つ、4つほど前の記事を読んでいただくことをお勧めします。

 

前回記事で、

新型コロナウイルスによる50歳以下のIFR (infection fetality rate)は0.05%とアメリカにおいても非常に低いことを記載しました。

日本人についてはおそらく更に低いでしょう。

 

健康で免疫力のある方にとっては新型コロナウイルスは一般の風邪かそれ以下の毒性しかないことが明らかになってきています。

重症化、死亡のリスクがあるのは何等かの持病によって免疫力が低下している方、

または高齢で免疫力が低下している方です。

 

つまり、

重症者数や死亡者数 = 高齢者への感染波及

 

と考えて、ほぼ間違いないと断言できます。

 

そうすると、

今行われている各地方自治体の対策については首をひねってしまうようなものが多いです。

 

たとえば、沖縄県や愛知県では知事が独自の緊急事態宣言を出しました。

東京都知事も都民に同様の要請をしています。

 

その内容は、

県境を越えた移動の自粛要請

会食の自粛要請

店舗への営業自粛(22時で閉店要請)などです。

 

私はこれらの対策は、いずれも対象範囲が誤っていると思います。

 

なぜなら、繰り返しになりますが、

我々が最も意識しなければいけないことは「高齢者への感染波及を食い止める」ことだからです。

 

免疫力のある元気な方々の内で行われる経済活動を過度に自粛させる必要がないことは、最早明らかになりつつあるからです。

 

こんなことを言う医者は少ないかもしれませんが、

元気な方は、感染対策を最大限行った上で経済活動を行えばよい。

自分が高齢者に感染を広げないことにのみ、最大限注意すればいいのです。

 

各知事が出している施策はいずれも、

老若男女、元気な方、そうでない方、見境なく、一様に経済活動の自粛を要請するものです。

 

これはナンセンスです。

 

確かに感染が広がらないようにするには全員に自粛させるのが一番ですが、

それでは倒産が増え、失業が増え、犯罪や自殺が増えるという結果を招きます。

重症化リスクの低い健康な方々には経済を回してもらった方がよいのです。

 

たとえば愛知県では数日前に2名死亡者が出ましたが、

ここしばらく、ほとんど新型コロナによる死者が出ておりません。

PCR陽性者数が増えたということで、知事が県民全体に一様に自粛を求めるような宣言を出すことは悪質です。

飲食店などの事業をやっている方など、実害を受ける県民の方が明らかに多いでしょう。

 

誰かが「もちの誤嚥」や「風呂」で死亡する人の方がよっぽど多いと言っていましたが、その通りです。

実際、入浴による死亡者数は年間全国で1万人を越えます。

もちや風呂にも自粛要請を出すのでしょうか。

 

東京都でも同じことが言えると思います。

沖縄も似たようなことをやっていますね。22時での飲食店の営業自粛要請や、美ら海水族館の自粛など。

いずれも、いわゆる、元気な方を主に対象とした自粛要請ですから、いかがなものかと思います。

「免疫力の弱い方、高齢の方はお控えください」で十分ではないでしょうか。

 

では、どのような対策が必要なのか。

まず、「健康な方にとっては風邪と同等かそれ以下の毒性」ということと、

「高齢者に感染を波及させないことが重要」という事実をきちんと伝えることです。

 

その上で、

高齢者の方には感染対策を徹底し、三密を避けるなどを心がけてもらう必要があります。

シルバーロックダウンという単語の通りです。

 

一方、元気な若年の方は下記の点を守りつつ、いつも通り、外食や旅行などをすればよいと思います。

ただし、ウイルスを保有している可能性があることを前提になるべく高齢者と接触しないことが必要です。

また、感染を広げないために体調管理を徹底し、風邪症状がある場合には10日前後自己隔離をすることです。

そのためには職場で休みを取りやすくする必要がありますから、それを政策や広報でサポートすべきです。

 

医療や介護、もしくはその他公共交通機関や公務員など、

職務で高齢者と接する頻度の高い職種の方々は、より一層高い意識で自己の体調管理を行う必要があります。

また、自身が高齢者に感染を波及させうることを常に意識して、行動しなければなりません。

 

検査の拡充はこういった「高齢者と接触機会が多い職種」の人々に集中して行うべきと思います。

 

過去、国内で死者を多く出したのは病院や介護施設など、高齢者が密集する場所でクラスターが生じた場合です。

 

お盆で里帰りが話題になっていますが、

里帰り先に免疫力の低い高齢者の方がいらっしゃる場合には、最大限注意すべきと思います。

 

兎にも角にも、

「高齢者への感染波及を防ぐ」

このことに政策や対策を集中すべきで、全都民や全県民を対象にした自粛要請などは最早ナンセンスです。

 

4,5月の頃と異なり、

今は新型コロナウイルスの危険性などがはっきりとわかってきているのですから、

当時と同じように、バカの一つ覚えで自粛要請するのではなく、現実に沿ったバランスの良い対策を取るべきです。

 

ウイルスは高齢者の命を奪いますが、

自粛による倒産や経営破綻、失業率の上昇は働き盛りの自殺を増やします。

命か経済か、ではなく、

命も大事、経済も命に直結するので大事、です。

 

 

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