新型コロナウイルス 第二波で叫ばれた様々な報道を検証する | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

新型コロナ流行の第二波と世の中では騒がれて久しいですが、

最近はようやく報道も落ち着いてきた印象ですね。

 

これが現在の状況ですが、重症者はずっと150人程度で横ばい。

入院を要する方は5000人程度に減少しました。死者は2、3月からこれまでのtotalで1700名ほどです。

 

重症者用に整備された病床の利用率は最も患者の多い東京でも10%台で、

結局、第二波での医療崩壊が叫ばれつつも6月以降は50%に達することすらありませんでした。

 

これから冬場を迎え、コロナとインフルエンザのダブル流行が心配!などという声も聞こえてきます。

しかしその前に、第二波に関しどのようなことをテレビや新聞などのオールドメディアや、自称専門家の方々が叫んでいたかを振り返る必要があります。

 

いかに、デタラメなことを彼らがまき散らし、さも政府への提言というように大声を出してきたかを一つずつ検証してみましょう。

今後もテレビの報道番組やワイドショーのレベルや政治的偏向が変わることはないでしょうから、

これから先、皆さんも振り回されないようにしなければなりません。

 

1.人の接触を無くさなければ数十万人が死ぬと数学的?に提唱したN教授モデル

 

まずは第二波による感染爆発で何万~数十万の死者が出うると、

第一波の後に性懲りもなく第二波でもモデルを提唱した先生がいらっしゃいました。

左翼的な報道番組やワイドショーではこれらを取り上げて、出演者らが再びのロックダウンを提唱しましたが、言うまでもなく、完全なデマでした。ひどい番組では再びの非常事態宣言を要請したりしていましたね。

情報番組の羽鳥慎一モーニングショーなどでは特にそういったコメントが多かったように思います。

 

6月以降、大規模な自粛なく、GoToキャンペーンで旅行が奨励され、人の動きも以前より格段に増えましたが、

結局、彼らの言う感染大爆発や、何万何十万の死者などでませんでした。

 

たくさん死ななかったのは結果論だという人は物事を考えていないか都合の良い方で、

当時からこのブログでも書いていましたが、7月8月の死亡者数の推移や重症ベッドの占有率などを見ていれば誰でもマスコミの言うようにはならないと予想はついたはずです。

 

2.第二波で医療崩壊が起こる

 

私の記憶にある限り、ほとんどの局の報道番組が第二波で医療崩壊が起きると不安を煽っていました。

それぞれの番組の御用医者や、御用教授なども同様の主張をしていましたね。

O教授などは毎朝そのような話をしていました。あれも羽鳥慎一モーニングショーですかね。

 

このあと必ず医療崩壊が起こる、と何か確信めいたことを言っていましたが、

結果どうだったでしょう?このブログでは再三書いていますが、医療崩壊など全く起きていません。

起きていないどころか、政府が全国で整備したコロナ用の重症病床が50%も埋まることはありませんでした。

10%-20%程度が運用されていたのみです。

 

私は感染症の非専門家医師ですが、

この数か月、実際に新型コロナウイルスで重症の患者というのは一人もお目にかかっていません。

彼らが言ったように、医療崩壊が起きるほど重症者が世に溢れたのであれば、津々浦々どこの病院にいてもそういった患者を一人くらいは診ることがあるはずなのですが。

 

個人的な経験で言えば、予定手術患者の方が発熱しPCR陽性となり、手術を延期したということはありました。

その方は3日ほどで解熱し、その後2週間ほど様子をみて、予定していた開頭手術を行い、無事に退院しています。

特に新型コロナにかかったからといって何の後遺症も危険もありませんでした。

6月以降、私の所属する脳外科では問題なく普段通り予定手術も緊急手術もこなしています。

 

3.感染制御には一斉PCR検査が必要

~教授というような、自称専門家の一部の方々や、ワイドショーのコメンテーターが執拗に一斉PCR検査などを叫んでいました。

中には、以前のブログにも書きましたが54兆円を投じて全国民一斉PCR検査を行うために政治運動などを行っている人々もいましたね。

教授という肩書の方が主導したり参画していました。

私は、これを見て彼らはバカなのか?それとも分かっていて悪質な政治活動として主張しているのかどちらかだと思っていました。

 

PCR検査をしたとしても感染者の3割程度が陰性と出るのですから、見境なく検査をしても意味はありません。

莫大なコストを試薬メーカーなどに寄付するようなものです。

 

また、検査はあくまで検査を行った瞬間の結果を返すだけですから、1日、2日と結果を待っているうちに他の人にうつすことも十分あります。加えて3割も偽陰性があるのでは話になりません。

全国民一斉PCRをやったとしても、感染制御にはほとんど役立たないでしょう。

 

余談になりますが、私の関与していた総合病院や大学病院の一部では現在予定手術患者や入院患者の全員に入院時にPCR検査が行われています。

これは院内へのウイルス持ち込みを防ぐためですが、

先日ある病院で入院時にPCR陰性だった患者さんが入院後に発熱し、スタッフや他の患者に感染が広がるという事例が起きました。

 

高齢者が多く入院する病院ですから、出来る限り検査でウイルスを締め出さなければなりません。

よって、こういった検査は必要なことと思いますが、結局、PCR検査をやったからといって感染を制御できるかというとそうではないのです。

 

学術会議のありかたが問題視されていますが、

メディアに登場する○○教授という御用学者の方々の発言もあてにならないものが大多数だったことが分かると思います。

肩書が教授であったとしても、特定の政治思想にとらわれていたり、専門外のことをもっともらしくコメントする学者たちが当てにならないことが露呈したのではないでしょうか。

 

4.GoToトラベルやGoToイートで感染爆発

 

「GoToトラベルで感染爆発したら内閣総辞職だ」というような発言していた立民の安住議員が記憶に新しいですね。

東京都知事も「暖房と冷房を、、、」というようなことを言ってました。

メディアもこぞって御用学者を繰り出しては連日政府を批判し、不安を煽っていました。

結果、感染爆発が起こらないどころか、むしろGoToトラベルが始まってからPCR陽性者数なども落ち着いてきたことは、誰もがもはや知る通りです。

 

なんだったんでしょうね、あの異様なGoTo叩きは。

私自身も今年の夏には何度も家族で旅行に出ましたが、大勢が集まるような場所を避ければ旅行自体で感染リスクが高いと感じるような場面はほとんどありませんでした。旅行中と言えど、移動手段さえ選べば一緒にいるのはいつも一緒にいる家族だけですからね。

 

結局はあの異様なGoTo叩きは論理を無視した政権批判や倒閣運動だったと言わざるを得ません。

 

5.新型コロナに感染することで軽症でも深刻な後遺症が大半の人に残る

 

どのようなウイルスであれ、細菌であれ、人工呼吸器が必要なような肺炎になるということは、

その時点で既に肺がボロボロの状態にあるということです。

ある程度は回復しますが、その後も機能が完全に戻るということではありません。

そういった意味で、新型コロナ感染で病状が重症化し人工呼吸器が必要なような状況になるということは、

程度によりますが、肺に後遺症が残るのは避けられないものと思います。

 

しかし、問題なのは、世の中に「新型コロナにかかると軽症でも後遺症が残る」と流布されたことです。

報道番組にはコロナに感染したという患者さんが出演し、その後もずっと体調不良が続いている、というような報道が続いていました。

以前の記事でも書きましたが、大多数の感染者で心臓に後遺症が残る、という海外の論文内容が18時のニュースで流れたり、

それを信じる方から記事に批判的コメントをいただいたこともありました。

 

今、はっきりと、これらの報道を日本人に当てはめることは不適切だったとわかりますね。

数か月経って、軽症のコロナ感染後、心臓に後遺症が残った患者が多数生じているわけでもなければ、

私の知り合いの感染者でも回復後体調不良が続いているという方はほとんどいません。

 

どんな感冒ウイルスでも状況や個人によっては後遺症や心筋炎を起こすことはありますから、

こういった事例は全くないわけではないと思います。しかし、あくまで稀な例です。

しかし、軽症の方の大半に後遺症が残るなどというのは明らかなデマと考えて間違いありません。

 

6.死亡率は数パーセント

 

先日の情熱大陸にこのコロナ禍で軽症から最重症までの患者さんを診療した国立国際の医師が出演していました。

いつの時点で収録されたシーンかはわかりませんが、

「死亡率は数パーセントあって、数パーセントも死亡率があったら社会は許容できないでしょう」というような発言がありました。

これはおそらく、高齢者を対象にした死亡率のことを言っていたのだろうと思いますが、

この番組の切り貼りというか報道の仕方には大いに問題があります。

 

死亡率は世代によって全く変わってきます。

以前にも紹介していますが、アメリカCDCでは50歳以下の死亡率は0.05%と出しています。

実際、日本でも同程度かそれ以下でしょう。

数パーセントとなるのは高齢者や健康状態の悪い方の場合です。

 

しかし、このような報道では、誰でも感染すれば数パーセントの死亡率である、と勘違いしてしまいます。

第一線の医師の専門家の医師の言葉であれば猶更のことでしょう。

これには番組を制作するTBS側の意図が絡んでいたのではないかと勘繰りたくなりました。

 

ここまでですぐ思いつくかぎり6つを挙げましたが、

他にも挙げればきりがないでしょう。

 

テレビの報道番組やワイドショーで流れていた専門家や御用学者のコメントの、

実に多く、大半と言ってもいいくらいのことが実際にはデマでした。

 

今、日本で流行している新型コロナウイルスは、毒性で言えば、一般的な他の風邪ウイルスと大差ありません。

しかしながら新種のウイルスであるがために、誰しもが獲得免疫のない状態です。

そのため、免疫力のある人にとっては無症状や軽症で済みますが、そうでない方や高齢者の方にとっては重症化しうる、

という理解が現実に近いと思います。

 

下は、Twitterで拡散されていた日本でのデータです。

 

このデータが正しければ、10歳未満、10代は国内で死亡者なしです。

保育園、幼稚園、小学校、中学、高校で子供や学生本人が感染し死亡するということを恐れることはないです。

 

感染が最も多い20代は25426人が感染して死亡は2名ですから、死亡率は0.01%以下です。

30代についても16060人が感染して、死亡6名ですから、死亡率は0.04%以下。

40代で0.14%以下。50代で0.45%以下。

60代あたりから死亡率がやや上がり始め、60代で2.3%以下。

70代、7.2%以下。80代、17.3%以下。となります。

 

これら国内でのデータはいずれも感染が確認された方の中での死亡率、Case fetality rateです。

実際には感染しても無症状で検査を受けていない人、軽症で検査を受けていない人、が多数いると考えられるため、

実際の死亡率 Infection fetality rateは更に数分の一に下がると考えられます。

 

そういったことを踏まえると、死亡率数パーセントという表現は70代以上の人にあてはまる事実であって、

それ以外の人については全く異なる数字であると分かると思います。

 

以前からもこのブログでは言っていますが、

このウイルスは現在の国内では、高齢者や免疫力の低い人にうつさなければいいだけの病気です。

 

東アジア人は死亡率が低いということがはっきりとデータで出ています。

BCGが良かったとか、欧米で死亡が多いのはネアンデルタール人のDNAが関係しているなど、様々な説がありますが、

日本人にとっては過剰に恐れる必要のないウイルスだと思います。

インフルエンザの方が怖いと私は思っています。

 

過剰にロックダウンをしたり、自粛をしたりすれば、倒産など経済の悪化が原因で自殺する人の方が多くなります。

これまで散々デマを垂れ流してきたメディアや御用学者の方々にはそろそろ目を覚ましていただいて、不安を煽るような報道を今後繰り返さないようにお願いしたいと思います。

 

ただ、彼らの粘着質な報道の成果として、一つだけ良かったことがありました。

それは皆が体調を意識し、咳が出る人がマスクをするようになったことです。

私はコロナ禍以前から、風邪をひいて咳をしているにも関わらず、マスクもせずに満員電車の中でウイルスをばら撒くような輩にうんざりしていました。

今では随分減ったと思いますが、去年まではそういう方は無数にいましたからね。

 

コロナを特別に恐れる必要はありませんが、

普段から無駄に風邪のウイルスをばら撒くことがないよう、意識が高まったことは社会にとっていいことだと思います。

 

 

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