安全について思うこと(自分の経験から) | 一歩先のコミュニケーション術【開国語研修のススメ】オウラにほん語サービス

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群馬県前橋市を拠点に県内の法人様に開国語(日本人と外国人が共に働きやすくなる簡潔な日本語コミュニケーション術)研修をご提供しています。
日本語研修、外国人スタッフとの協働、多文化共生、コミュニケーション術など、現場からの声をお届けします。

開国人活用トレーナーの浅見惠子です。

先日はパリで今年二回目の痛ましいテロ事件がありました。

FBのプロフィール写真をトリコロールにするのはどうなのか!
とか、
フランス以外での被害者のほうがずっと多いのに、
マスコミの扱い量に差がある!
等、色々な意見が出た一週間でした。

そして、報復の空爆が始まりました。
一般市民の頭上にも爆弾が降り注ぐかと思うと、
胸が張り裂けそうです。

テロを起こした一部の人のために
世界全体が緊張を強いられること、
これはもちろん許されることではありません。

また、一部の人のために、
イスラム社会全体のイメージが悪くなることも許されません。


今日はテロそのものについてではなく、
私の経験から日本人の安全意識について書いていこうと思います。

私が自分は自己防衛力が欠如していると、
はじめて痛感したのはニジェールにすんでいた1999年のことでした。

1999年4月にニジェールは前大統領が暗殺される
クーデターが起こりました。

私がニジェールに渡った二か月後はすでに新政権が発足していましたが、
まだ政情は安定しているとは言い難い現状でした。

1999年9月ごろだったでしょうか。
夫を仕事に送り出し、
庭先の折り畳みベッドで読書に耽っていた時のことです。

突然銃声と、人々の怒鳴り声が聞こえてきました。

後からわかったことですが、
ちょうどそのとき、旧大統領派の軍人たちが、
政府要人を拉致監禁しようとしていたのです。

皆さんは、その時私が何をしたと思いますか?

わたしは、
なんと、あきれたことに、
塀の隙間から様子を伺おうとしたのです。

我が家の門番、アミドウさんが、
「マダム、何をしている!
早く部屋に入って鍵を閉めろ!」
と叫ぶまで、塀の隙間に向かってのそのそ歩み続けていたのです。

(当時仏語はほとんどできませんでしたが、
アミドウさんは身振り手振りで伝えるのが上手だったので、
なんとかコミュニケーションが取れていました)

アミドウさんに言われて、しぶしぶ部屋に入ったのですが、

歴史を見るチャンスだったのに、見られなくて残念だ、、、

こんな風に考えていました。

しばらくすると、夫の職場から電話が入り、
自宅待機と外出禁止を言い渡されました。

夫も関係者の無事を確認するために、
市内を駆けずり回ったようでした。

夜遅く、彼が帰宅したので、今日の出来事を話し、
せっかくの機会だからちょっとだけでも見たかったのに、
と言ったところ、
このように言われました。

「銃声がして、ぼんやり立っているのは日本人だけだ。
ほかの国の人は、子どもでも即座に伏せる習慣ができている。
そんな平和ボケした状態で、
今まで各地を旅行してきたなんて信じがたい!」

この一件があって初めて、私は「安全」について意識するようになりました。

行っていいところ、行けないところ、
していいこと、ダメなこと、
今襲われたら、どちらへ逃げるか、どうするか、

常にこんなことを考えて動くようになりました。

それでも、ほかの国の友人から見ると、
無防備そのものだったと思います。

とはいえ、日本にいたままではこんな意識は持てなかったので、
少しは変わったと思います。

常にシミュレーションして動き、
自分の安全は自分でできるだけ守る、
こんな習慣ができました。

ただ、もう10年日本で暮らしていますので、
だいぶ意識は弱く、習慣も破れてきています。
先日のパリの事件で、自分の安全を守ることについて、
もう一度考えてみようと思っています。

最後にもう一つ。

去年、娘の幼稚園のお遊戯会での出来事です。

一つの組の男の子たちの演目が、
なんとおもちゃのピストルを持って踊るというものだったのです。
しかも、最後のきめのポーズは客席に銃口を向けていました。

おもちゃとはいえ、ピストルを持って踊る?
しかも、銃口を客席に向ける?

私はこの演出に背筋が凍る思いで、
終わった後の感想用紙に、
こんな演目は今後絶対にやめてほしいと書きました。

このような演目が発表会の壇上に上がること。

これも日本の平和ボケ状態を表していないでしょうか?

日本はこれから「開国」していかねばなりません。

でもその前に、
「安全」について一人一人がもう少し自覚してみませんか?

今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。