桜の便りが次々に聞かれるこの折、いかがお過ごしでしょうか。
おしさんまい第４回目は、イラストレーターのいわたきぬよさん（@_kinuyo ） です。
さくら学院生をモチーフにした、きぬよ先生の秀麗なアートワークの数々。父兄の皆さんはもうご存知ですよね。
さくら学院「箱推し」を公言されている先生の、 父兄最高峰との呼び声高い「推し事（おしごと）」、そのルーツに迫ります。
それではどうぞ。
■３月、放課後アンソロジー物販列にて
――あっ、きぬよ先生！こんにちは
きぬよ先生、以下 き) こんにちは。今日は、進路発表ありそうですね…。緊張します。
――時間が経つのはあっという間ですね…
そういえば、きぬよ先生はいつ頃からさくら学院のライブへ足を運ぶようになったんですか？
き) 私はベビメタから入った父兄なので最近ですよ。
youtubeでドキモ（ド・キ・ド・キ☆モーニング）を最初に見て。
そのあとPVで見たメギツネがドストライクで。うわ、かわいい！って。
―― 動画で興味を持ってから、初現場まではすぐでしたか？
ＳＵ誕祭に本当は行きたかったんですが、その頃、体調を崩してしまっていてチケットは諦めて。
その時、ずっとメギツネを聴いて、それで励まされて。
――女は女優よ、と
き) その後、ベビメタを見に行けたのは武道館２ＤＡＹＳからで。
それで、卒業する前にユイモアのさくら学院を見ておきたいなと思うようになって。
DIFA有明の2014秋学期が初めての現場です。
■最愛ちゃん推しから、箱推しへ
き) ベビメタでは箱推しだったんですが
さくらで最愛ちゃんを見たら、打ち抜かれてしまって。
すっごい可愛くて。これはギャップがやばい、って。
――初めてのライブはいかがでしたか？
き) DIFA有明はちょっとステージから遠かったのもあって、よく見えなかったんです。
でも次に観た2014学院祭が・・・それが本当に面白くて。
もうもうもう。気がついたらみんな、大好きでした。
学院祭を見てからはもう、みんなかわいい、わーっ！！！って。
――箱推し誕生の瞬間ですね
■一枚目の「おしさんまい」
――突然ですが、きぬよ先生の描かれたイラストの中で‥‥特に思い入れのある３枚をご紹介頂けないでしょうか？
き) 大丈夫ですよ（笑）3枚かぁ、これかなぁ・・・
――おおっ、これは2014年度の卒業生ですね
き) 卒業の記念に、四人にそれぞれ原画をお贈りした時のものです。4枚全て手書きなので微妙に違いがあるんですよ。
――世界に一枚だけの絵… 素敵です
き) いつもソフトを使って描いているんですが、これは水彩で描いたので・・・すごく手間がかかってます。
――卒業生一人一人への愛と感謝が伝わります。額に入れて部屋に飾りたい…
き) そう思ってくれたら嬉しいですね。
■2枚目の「おしさんまい」
――ラクサ族！かわいいですね
き) 一番大変だったのがこれ、ハートの地球（ほし）です。
ラクサ族の衣装がかわいすぎて、生徒さんに「絶対描きます」って手紙書いて、ひっこみがつかなくなって・・・
――細部まで…再現性がすごいですね
き) ＰＶをコマ送り、早戻し、スロー再生して死ぬほど見ました
――皆かわいい…こんなの絶対嬉しいですよ
き) 小物と衣装のディティールがなかなか分からなくて大変で。特に由結ちゃんは白い衣装で苦労しました。
ハートの地球は、凄くやわらかいイメージなんで、水彩で表現したいなって。
■3枚目の「おしさんまい」
―― 最後は５周年の…
き) はい。創立５周年の記念に、卒業生と在校生全員を描いてクリアファイルを作ったときのもので。
２５人全員と森先生、職員室の先生にも手作りの熨斗（のし）を付けて贈りました。
――先生は…箱推しの鏡ですね
き) 職員室の皆さんにも喜んでもらいたいな、って・・・。
これもすっごく作るの大変でした（笑）
――きっと喜んで下さったのでは
き) じつはお渡し会の時、名入れの紙に書いた私の名前を見た職員室の先生が、「いわたさん、いつもかわいい絵ありがとうございます！」って言ってくれて。
「はぁっ・・・」ってなって・・・その後の記憶が無いです。
■手紙もすごい
――嬉しさのあまり記憶が飛んでしまう父兄さんが実際に多いみたいですね。
ところで、今年度も卒業記念の絵は描かれているんですか？
き) 今まだ途中で。お手紙が進まなくて・・・１２人分ちゃんと書いてるんですけど・・・
――12人、全員ですか？
き) それぞれの日誌のことだったり、短くても、やっぱり一言添えたいなと思うので・・・。
そう思うと１２人分書かないといけなくなるので。
――手紙の内容で悩むことは？
き) 書くのは楽しいですよ。趣味趣向が近いしーちゃんが特に書きやすくて、いつも一番先に書きあがってました。
――しーちゃんの日誌、情報量が多くて嬉しいですよね
き) あとは実際に見たライブや、この前の落語の授業の事とかを書いたり。
――落語の授業、華乃ちゃんのイラストが特に印象に残っています。見た瞬間、「似てる！」って叫びました
き) すごい、置物みたいでかわいくて・・・。真っ先に描いたのが華乃ちゃんでした。
かわいさに圧倒されましたね。
――ライブでは普段、生徒達のどんな所に注目されていますか？
き) 髪飾りとか‥‥、髪型とか気をつけて見てますね。次のネタに・・・と思って。
――生徒達の描き分けのコツはあるんでしょうか。先日公開されていた、バレンタイン記念のイラスト。大賀ちゃん超ソックリでした
き) ありがとうございます。私もあの大賀ちゃん気にいってます（笑）
生徒たちのイラストを描くときは、輪郭と、顔のパーツなどの「特徴」で違いを出しているんです。
美澪奈ちゃんを例にすると、耳をちょっと大げさに大きくしたりとか、髪の毛が多いので、髪の毛をぶわっとさせたり…。
――特徴を強調することで、個性を引き出しているんですね
き) はい。愛子ちゃんも、ちょっと大げさに眉毛を太くしたり、垂れ目にしたり。麻鈴ちゃんだと、何て言うんだろ、フニャっとさせたりとか…（笑）
※2015年度、スリープワンダー（SW）公開前に作られたイラスト
――SWのイラストも大好きでした。
配役も生徒達のキャラクターとリンクしていて面白くて。そういえばチェシャ猫役は爽葉ちゃんでしたね
き) 爽葉ちゃんが、日誌で猫が好きって言ってたんで・・・
猫にしたら喜ぶかなと思って。
――や・・・優しい！
き) 本年度の絵には裏テーマみたいなのがあって、女の子が好きなキャラやグッズを意識してるんです。
このスリープワンダーの時は、「サンリオ風」、この間のバレンタインの時は「ミスド」ですね。
――ドーナツが嫌いな女の子いないですもんね
き) 仕事だとパロディ物とかできないじゃないですか。
「推し事」には、売り物じゃないからできる、っていう楽しさがありますね。
■きぬよ先生のルーツ
――先生は、BABYMETALを知る以前からメタルやアイドルに興味があったんですか？
き) もともと私、ビジュアル系とか好きだったんです。高校の時、割と通ってたのは PENICILLINとか、ラルクとか。めちゃくちゃ行ってました。
その時から、アーティストの絵を描いて、みんなに見せたりして、喜んでもらったりとかするのが好きでしたね。
――「推し事」の基盤は高校時代に出来上がっていたんですね
き) 昔はＳＮＳとかないので、雑誌に絵を投稿したりして。フールズメイト（FOOL'S MATE）とかに。何回か掲載されたことがあって、すごく、嬉しかったのを覚えてます。
き) 昔は・・・わりと、お耽美（たんび）な絵を描いていて。江戸川乱歩とかをテーマにした製作をしたり。全然今と絵が違うんですよ。
――少しずつ今の画風に変わっていったんですか？それとも何かきっかけが？
き) はい、絵が変わったのは…１０年前くらいですかね。父が急に亡くなってしまって。
なんか、こんな絵描いてる場合じゃないなって。
――自分の好きなことやろう、という決意をされたんですか？
き) 前から好きなことばかりやってきていたんですけど。
母には、「あんたは気持ち悪い絵ばっかり描いて」みたいなこと言われてて。それがムカッときてたんですよ（笑）
もう子どもの頃のように、かわいい絵を描いて、みんなに喜んでもらった方がいいな、って。
――先生は、イラストレーターをされていますが、絵の仕事をしたいと考え始めたのはいつごろですか？
き) 幼稚園生のとき、高橋真琴先生（少女の瞳に初めて星を書き入れた作家とも言われる）の絵本に衝撃を受けて。
先生のように可愛くて美しい絵が描きたいって、それしか考えてなくて。
小学校の文集にも、イラストレーターになりたいって書いてました。
――すごい。サッカー日本代表の本田圭介と同じくらいの「夢実現力」ですね
き) ぜんぜんそんなかっこいいもんじゃないですよ（笑）
■ さくら学院の会話が５割
※かどまるくんPROでシールの四隅を丸く加工する推し事。筋肉痛になるそうです
――旦那様は、先生の「推し事」についてどのように見守られているんでしょうか
き) 夫婦の会話の半分以上がさくら学院の話題なので、彼なりに楽しんでいるみたいです。
現役生だと推しは愛子ちゃんらしいです。「こんなに鹿児島っぽい子いるのか」って（笑）
――（笑）羨ましいです、仲が良いんですね
き) 最近私の真似をして生徒の似顔絵とか描いてくるんです。
由結ちゃんが好きらしくて、由結ちゃんの絵ばっかり描いてます。
※旦那様の処女作、BABYMETAL
――ど、独特のタッチですね…
でも少ない線で、ちゃんと３人を描き分けられていて…絵心ありますね
き) 凄いですよね。何も見ないで、頭のなかに思い浮かんだものを描いてて…（笑）
たくさんあるので見ますか？
――似てる！！これなんて完全にウォーズマンですけど颯良ちゃんですね（笑）
き) ライブに誘っているんですけど、今のところ断られています （笑）
――旦那様と現場でお会いできるのも、時間の問題のような気がしますね（笑）
■あとがき
※シール作りのテクニックは本業でも役に立っているそう
お会いするといつも優しく軽やかなきぬよ先生ですが、
今回のインタビューを通じて、その内に秘めた「皆を喜ばせたい」というパワフルな情熱を垣間見ることができた気がします。
「推し事は楽しくないと続かない」とは、きぬよ先生の弁ですが、それに加えて
深い愛がなければこんなに素敵な絵は描けないだろう、という確信を持つに至りました。
生徒達や職員室の先生方、果ては我々父兄に対してまで愛情深いきぬよ先生は、私の憧れの父兄さんです。
「これからも生徒達の成長を、かげながらずっと応援していきたい」
そう話してくれたきぬよ先生のように、さくら学院をこれからも応援していこうと、心に決めた夜でした。
いわたきぬよ（@_kinuyo ）先生、ご協力ありがとうございました。
（おっしー）