先に報告した、中国文化賞受賞式参加を前に、116日に広島国際大学で講演を行った。この講演の依頼は実に「縁」といえるものだった。

教育再生実行会議でもご一緒しており、中東の歴史の専門家である山内昌之先生が、『中東国際関係史研究―トルコ革命とソビエト・ロシア1918-1923』(岩波書店)を刊行されたことから、大学で役立てていただきたいと思い同大学をはじめ、広島県内の大学に本書を寄贈した。

そのお礼状を秋山学長よりいただいたのだが、学長は私と同じ庄原の出身であること。また私の尊敬する同郷で、元日本商工会議所の会頭を務められた山口信夫さんの縁類の方であるとのこと。

さらには、4月に広島経済同友会で行った私の講演を聞いてくださったことなど、大変縁深いことが認められていた。そして、大学の学生にも私の話を聞かせたいので、是非、講演をお願いしたいとの内容であっつた。私はこのお手紙を拝見し大変嬉しく思い、二つ返事でお引き受けした。

さて、講演は、学生を対象とするものであったことから、テーマを「これから働き始める君たちへ」とした。しかし、講演には学生の他、教職員、さらには地域の住民の方も参加。東広島の校舎での講演は、広島市内と呉の校舎に中継され総勢500名が聴講された。 

広島国際大学は、現場で活躍できる専門職業人を養成する医療系総合大学であり、学生の皆さんはすでに、自分の進むべき進路は見出されている。しかし、これから働き始めるにあたって、私は自身の75年間の経験をから「努力した人のみ運が拓ける。諦めず社会でやりたいことに挑戦していただきたい」とメッセージを送った。

後日、学生と教員の方から質問があり、回答した。質問からも皆さん熱心に私の話に耳を傾けてくれていたことがうかがえた。私のメッセージが今すぐにではないが、将来、困難に遭遇したとき、思い出し、より深く伝わることを願っている。