本当の青写真を見たことがありますか?

 

 

あなた以上にあなたを感じる一枚撮ります

Take Your Light

写真家るっちーこと鶴岡です。

 

 

100人限定のお得なフォトセッションは2022年もやってます。

 

 

最近、家で写真のプリントを始めました。

といっても特別な機材は必要なく、おうちでできるプリントです。

 

サイアノタイプ。

 

昔から青写真、青焼きとも呼ばれており、安価で簡単なことから図面のコピーにも用いられていました。

「青写真を描く」という言葉で”未来への構想を練る”という意味でも使われますが、これは”青写真=図面や設計図”から転じて生まれています。

スピリチュアル界隈の「魂のブループリント」なんていう表現もこれです。

 

実はれっきとした写真プリントの技法なのです。

 

 

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なんとも不思議な風合い

 

 

サイアノタイプは紫外線を当ててプリントします。

紙に感光液を塗って、紫外線に当てて、水で洗う、これだけで完成。

感光液に紫外線が当たると、液の中にある物質(鉄Ⅲ塩)が反応して独特の青い濃淡が描かれます。

 

紫外線と言えば日焼けの元、つまり太陽光にもたっぷり含まれてる。

なので太陽光に当ててプリントすることも可能です。

そのため日光写真とも呼ばれています。

 

普段見るカラーやモノクロプリントとはまた違う味がある青い写真。

なんとも不思議な世界につれていってくれます。

 

 

 

■サイアノタイプのプリントに必要なモノ

 

サイアノタイプのプリントに必要なモノは以下の通りです。

 

感光液、ハケ、カップ。バット、ネガデータ、OHPフィルム、

板、透明な板、クリップ、漂白剤(酸素系)、手袋、タオル

 

順番に使い方を説明していきます。

 

 

●感光液

アマゾンで売っています。

紙に塗るタイプのものと、すでに塗布済みの紙が販売されています。

 

今回使ったのは紙に塗るタイプのこちら

容器には薬品の粉末が入っていて、水を入れて混ぜて24時間置くと使用可能になります。

 

 

 

●ハケ、カップ

感光液を混ぜて塗るために使います。

塗るのはハケがおすすめです。

 

●バット

紫外線を当てた後に洗うための水を入れます。

紙より一回り大きめがやりやすいです。

基本一つ用意できればいいですが、この後出てくる漂白剤での定着をする場合は全部で三つあると便利。

 

●ネガデータ

プリントしたい写真のデータです。

モノクロ化したデータをソフトで階調反転したものを用意します。

 

●OHPフィルム

デジタルネガの土台。

上で作ったネガデータをインクジェットプリンタでプリントして元になるデジタルネガを作ります。

 

●板、透明な板。

紫外線にさらすときに紙とネガが波打たないように挟んで固定するために使います。

透明な板は重量のあるアクリル板やガラス板だと、紙とネガがしっかり平らになるのできれいにできあがります。

 

●クリップ

水洗した紙を乾燥させるときに吊す用です。

面で挟むタイプ(木製のピンチクリップ)なら紙に変な凹みやキズがつかずきれいに仕上がります。

(金属のクリップを使ってしまい挟んだところに痕が残りました)

 

●漂白剤(酸素系)

水洗した後、これを少し垂らした水溶液にプリントをさらすと青がさらに濃くなり深みが増します。

コントラストを出したいときはぜひやりましょう。

 

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今回はワイドハイターEXを使いました。

残ったら日常のお洗濯で使いましょう。

 

●手袋

漂白剤での処理をする場合、肌が弱い方は手袋で保護しましょう。

 

●タオル

こぼれた水や濡れた手を拭いたりします。

2、3枚あると便利

 

 

ここまで揃ったらいよいよプリントの作業のスタートです。

 

 

 

■サイアノタイプのプリントをやってみよう

 

1.感光剤の容器に水を入れて良く振って混ぜます。

その後24時間置きます。

 

 

2.印画紙を作ります。

①感光剤のAとBをそれぞれ同じ量混ぜます。

(10gずつ計20gで2L (178×127mm)の大きさに20枚ほど塗布できます)

混ぜたモノは取扱説明書の中にある時間内で使い切ってください

(この感光液キットの場合は2~4時間で)

 

②紙に塗ります。

 

これ以降、塗った面が紫外線に反応しますので自然光を遮断して蛍光灯やLED光の元で行ってください。

また室内にブラックライトなど紫外線を放つライトがある場合は消してください。

 

 
 
③乾かします。
紫外線が当たるのを防ぐため遮光できる場所で行ってください。
今回は締め切れる押し入れの中で乾かしました。
 
 
これで印画紙が完成です。
 
 
3.デジタルネガを作ります。
①プリントしたいデータを選び、パソコンやスマホのソフトでモノクロ化と色の反転を行います。
これでネガデータの完成です。
 
②インクジェットプリンタで①で作ったネガデータをOHPフィルムにプリントします。
ここでフィルムにプリントしたネガのサイズがそのまま印画紙にプリントする大きさになります。
(ネガが2Lならプリントも2Lサイズになります)
 
 
4.乾いてできた印画紙にデジタルネガを乗せてセットします。
この時板とガラス板で挟んで紙とネガを固定します。
この作業も自然光(紫外線)を遮断して蛍光灯やLED光の元で行ってください。

 

 

5.紫外線に当てます。
今回は太陽光の紫外線を使っています。
(快晴の日の日陰)
光に当てて反応させることを露光といいます。
この日は12分の露光できれいなプリントができました。
 
日陰でもきちんとプリントできます。
てことは日陰でも紫外線たっぷりで日焼け対策はしっかりとしましょう、ってことですね。
 
 
6.バットに水を入れます。
今回は漂白剤での定着も行うため三つ用意しています。
中央が漂白剤入りの水で両脇はただの水です。
 

 

 

7.終わったら紙だけを取りだし水で洗います(現像)

 

 
水に浸かっている左半分にはプリントが浮かび上がってます。
全体にまんべんなく洗い、余分な感光液を落とします。
液が残っている部分は黄色ぽくなっていますので、その黄色みがなくなり白くなっていればOK。
プリントで白く出る部分がきちんと白になっているかが目安です。
洗った水が緑色を帯びてきたら新しい水と交換してください。

 

水で洗うと、プリントがはっきりと浮かんでくる。

いろいろな化学反応の仕組みでこの現象が起きるわけだけど、これを見る度に写真ってすごいなって思います。

洗った後に初めてわかる結果に毎回ドキドキワクワクものです。

 

 

8.漂白剤入りの水に入れる(定着)

 

 

この作業を行うと青色が鮮やかな濃紺になります。

お肌が荒れやすい方は手袋をして行ってください。
 
〈比較〉水で洗っただけ

 

漂白剤入りの水で定着後

 

色がじわじわ変わっていくのを見ているのもまた楽しい。

 

 

9.乾燥

 

クリップで吊して乾燥させます。

 

 

10.完成

 

 
完成です。
乾いたら雑誌など重いモノでプレスしてたわみを取るとさらに美しく仕上がります。
 
完成した作品はピンで壁に貼ってもよし、フォトフレームに入れて飾るもよしです。
 
 
 
■きれいにプリントするためのポイント
 
せっかくプリントするならきれいにプリントしたい。
その時に抑えておきたいポイントは
 
1.感光液をムラなくきれいに塗る。
極度のムラで青の濃さにもムラが生まれます。
塗リ終わりの最後にハケで端から端まで止めずに塗るときれいに仕上がります。
ハケを途中で止める、途中から塗るはムラの元です。
 
2.ぴったりの露光時間を見つける。
どれくらいの時間、紫外線を当てるのかで青の濃さが決まってきます。
当てる時間が短いと露光不足で紫外線での反応が少なく青の薄いプリントになったり、
逆に長いと写真の明るい部分にもしっかり青が乗ってしまい暗いプリントになってしまいます。
 
今回やっていて、真夏の快晴で日陰での露光ですと10~15分が目安かなと感じました。
 
太陽光での露光だと、日ごとに、また同じ日でも時間で紫外線量が微妙に変わりますので毎度同じプリントというのはなかなか難しいです。
日中で紫外線量が比較的安定するのは午前11時から午後14時の3時間ほど。
この時間帯で行うといいでしょう。
 
露光して洗ってプリントを見て、色が薄かったらもう露光時間はもう数分長く、色が濃かったら短くしてみる。
こんな試行錯誤を続けていくのもまた楽しいし、きれいに焼けたときの喜びはひとしおです。
 
 
【上級者向けなTips】
太陽光で露光する場合は下の写真のように時間ごとに露光させて、プリントの暗い部分に欲しい青の濃さが何分で出るのかを確認すると露光時間の目安ができます。
感光液を塗った部分の下に線と時間をあらかじめ書き、黒い紙で遮光しながら露光していきます。
 
 
黒い紙を一定時間でずらして露光させます。
上の写真では3分ずつずらしていき、3~27分の露光でどのくらいの濃さになるかをチェックしました。
 
結果はこちら
目視だと18分以降はあまり濃さが変わっていません。
なので写真の一番暗い部分を一番濃い青でプリントするためには18分露光すればいいということがわかります。
ですが、これだと通常のプリントの黒つぶれと同じですので、暗部のディテールを出すためにもう数分短く露光をします。
上に書いた露光時間の目安の10~15分という時間はこの結果にほぼぴったりです。
 
 
 
■おわりに
 
おうちでできるサイアノプリント。
普段はスマホやパソコンの画面で見ている写真が目の前で紙から浮かび上がってくる。
とても不思議な体験です。
 
何度も言いますが、水にくぐらせて像がぶわっと浮かんでくる瞬間はとても興奮します。
 
お手軽に始めたい方は感光剤が塗ってある紙を買って初めてみましょう。

 

 

 
感光剤を塗るところから楽しみたい方は私のように薬剤を買うところから。
塗る紙も選ばないので水彩画用から和紙、そして布も可能で、いろいろな風合いが楽しめます。
紙の種類も豊富で選べないという方は、まず文房具屋やホームセンターで売っているスケッチブックがいいです。
紙の厚さはしっかりしているし、何より安価。
 
選び出したらインクジェット用の写真用紙よりも春香に沢山の紙があるので上沼恵美子 紙沼にハマること間違いなしです。
 
おうちでできるので子どもの夏休みの自由研究にもピッタリです。

ネガを作るのが難しい場合は、印画紙の上に葉っぱを置いたり、形に切った紙を置いて幾何学模様として露光するだけでもきれいな作品が仕上がります。

自然物を専門に作品を作っている作家もいるほどです。
 
 
 
おうちでできるお手軽プリント、サイアノプリント。
この暑い夏に涼しげな青いプリントを焼いてみる。
そんな過ごし方もまた粋なモノですね。
 
 
 
■□――――――――
 
実際にサイアノタイプのプリントを生で見たい、という方は
現在開催中の写真展「たゆたう」にて展示していますので遊びに来てくださいね。
 

 

 


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