月と専制君主('11) | ここにあったビール知らない? (piano-monkeyのブログ)

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デビュー30周年を記念してリリースされた佐野自身初スタジオリメイクバージョンのベストアルバム。
アルバムリリースに先立って、iTunes StoreではCoccoをバックボーカルに迎えレコーディングしたバージョン「月と専制君主」(Boys & Girls Version)をシングルとリリースした。
そして、今回は、アナログレコード盤(アナログレコード+CD)、初回限定版(CD+製作ドキュメントDVD)、通常版(CDのみ)と3つのフォーマットでリリースされ、アナログレコード盤と初回限定版には、ボーナストラック「すべてうまくはいかなくても」のMP3がダウンロードできるアクセスキー付き。

佐野元春は、かつて10周年、20周年と10年毎に企画制作物をリリースしてきた。
10周年では、シングルを編集した「Moto Singles」のリリース。そして20周年では、過去に発表した楽曲をまとめた「The 20th Anniversary Edition」「G*R*A*S*S」のリリース。
これらの作品は、全て出来上がった楽曲をリミックスしたりEdited Versionで編集した物をまとめあげた作品であったが、今回は全て"リメイク"という形でリリースした。

正直僕の予想では、ライブバージョンをスタジオレコーディングした物をリリースするのではないか?と思っていたのだが、蓋を開けてみれば全く新たにスタジオに入って録音し直した物になった。
そして、その選曲も異例でありマニアックと言っていい。
おそらく佐野元春を知らない人がこのアルバムを聴いたとき、聴いたことのある曲は「ヤングブラッズ」ぐらいで後は知らないだろう。
つまり、コアなファンなら"リメイクアルバム"とわかるのだが、佐野元春を初めて聴く人にとっては、"オリジナルアルバム"だという認識になってしまってもおかしくないぐらい代表曲からの楽曲がないのが残念だ。
しかし、どうだろう?
コアなファンにとって、仮に「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」「サムデイ」「約束の橋」といった代表曲をリメイクされるのもたまったもんじゃないと思う。
こういうところでは、このアルバムはコアファンに向けた"リメイクアルバム"としてリリースされた作品として捉えたほうがいいだろう。

それでは、曲を聴いてみよう。
全体的にアコースティックな音に仕上げてあること。
そして、ギター、ピアノ、ベース(ウッドベース)を非常に奇麗で丁寧に拾って録音されていることに気がつく。
これは、佐野が過去の楽曲をもっと丁寧に録音し直したいという表れではないかと思わせる。
そして、リメイクであるとは言え、その楽曲が持つ大切なメロディーラインやイメージラインはしっかりと残っている点は評価していい。
また、ボブ・ディランやルー・リードのように低域のボーカル表現を意識しているかのように、佐野自身ボーカルに決して無理をしていない。
また、3~5分程度にうまく曲がまとめられているにもかかわらず、「ヤングブラッズ」だけは7分20秒弱というロングバージョンであり、これは聴いていて疲れる。
もう少しまとめられなかったのか?あるいは、演奏を短くカットできないのか?と思わせてしまう。

とは言え、佐野が30周年という節目でリメイクアルバムをリリースしてきたことと、決して目立たなかった楽曲がリメイクと言う形で蘇った点は評価していいだろう。

<Favorite Level>(10点満点)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★ 1.ジュジュ
☆☆☆☆☆☆☆★★★ 2.夏草の誘い
☆☆☆☆☆☆★★★★ 3.ヤングブラッズ
☆☆☆☆☆★★★★★ 4.クエスチョンズ
☆☆☆☆☆☆☆★★★ 5.彼女が自由に踊るとき
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 6.月と専制君主
☆☆☆☆☆☆☆★★★ 7.C'mon
☆☆☆☆☆☆☆☆★★ 8.日曜の朝の憂鬱
☆☆☆☆☆☆☆☆☆★ 9.君がいなければ
☆☆☆☆☆☆☆★★★ 10.レインガール
☆☆☆☆☆☆★★★★ BT.すべてうまくはいかなくても


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