ポストの中に、寒中見舞いが入っていた。

『いつもお年賀状ありがとうございました。◯◯は1月31日の朝、長い旅に出ました。』

毎年、年賀状は出していたんだ。
その相手とは、私の小学校時代からの長い付き合いのともだち。
幼い頃から社会人になってからも本当に良く遊んだし、数え切れないほどお互いの家を行き来したし、旅行も何度もした、親友。
彼女は20代後半に差し掛かる頃に、完治の難しい難病にかかって入退院を繰り返し、次第に身体の自由を奪われて在宅でのケアという生活をしていました。だんだん、意思の疎通も難しくなって、10年以上寝たきりの状態だった。
病状が進んできた彼女を見るのが辛くなって、ずいぶん会いに行けてなかった。でも毎年年賀状だけはやりとりしてた。それも代筆になり、それでも近況教えてもらえる唯一のホットラインだったから、出し続けた結果としてお母様から今回の連絡もらえてありがたかったな。

一緒によく遊んでいたもうひとりの友人とも連絡が取れて今日、彼女のお母様に会いに行ってきたんです。
懐かしい声と、ちょっと丸くなったおばちゃんの背中。
年月が、流れていた。

「ヘルパーさんがなーんでもやってくれるから、おばちゃんはご飯あげるだけだったのよ」なんて笑って言うおばちゃん、彼女の発病からここまで、長い長い日々だったことだろう。20年。
彼女の遺影がとても彼女らしいちょっとはにかむような笑顔で、また泣けてきた。
お疲れ様でした、もう自由に動けるし、好きなお酒やタバコも楽しめるね。

彼女の持っていた、たくさんのアクセサリーの中から、好きなの持って行ってと形見分けを頂きました。こんなにたくさん申し訳ないですよと辞退したんですが、「持ってても仕方ないからお友達が使ってくれたら嬉しいのよ、遠慮なんかしないでね」と何度も仰るので、ありがたく頂戴しました。

今月誕生日だね、彼女の誕生石はアメシスト。
好きだった色、紫の石のピアスと、おばちゃんが勧めてくれた大きな花のピアス、クロスモチーフのペンダントです。身につけるたび彼女のことを思うことが出来るよね。ありがとうございました。
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久しぶりに会った友人、そして亡くなった友のお母様といっぱい話して泣き笑い、その後実家に寄って母にも今日のことを報告して泣き笑い、感情の波に揺り動かされる一日でありました。
夜になってちょっと落ち着いたら、猛烈にピアノに触りたくなり、体が勝手に動いて奏でたのはALFEEの『恋人達のペイヴメント』。
彼女、ALFEE大好きだったからね。
また会おうね。
安らかに。