2023年8月8日(火)

加未徹 歌シリーズ Vol.8【昼公演】

~新たな時代を切り拓いた歌曲たち〜

加耒徹 Toru Kaku (baritone)

松岡あさひ Asahi Matsuoka (piano)

【プログラム】

  1. シューベルト:漁師の歌
  2. ブラームス:ことづて
  3. ベートーヴェン:この暗い墓の中に
  4. ルイ・クープラン:プレリュード(ピアノソロ)
  5. トスティ:セレナータ
  6. マーラー:パドヴァのアントニウス魚へお説教
  7. ワーグナー : 楽劇『タンホイザー』より「夕星の歌」

一休憩一

  1. ラヴェル:孔雀
  2. カーゲル:『バベルへの塔』より「オランダ語」「ヘブライ語」
  3. D.ローチ:“O Mistress Mine”による3つの歌曲より第3曲
  4. 松岡あさひ:星降る夜(ピアノソロ)
  5. 松岡あさひ:蜻蛉に寄す
  6. 武満徹:死んだ男の残したものは
  7. 武満徹:小さな空
  8. アンコール R.シュトラウス;Morgen!(あした!)
翠です。元気です!
新しい職場にもだいぶ慣れて、温かい人々に囲まれて日々頑張ってますよ〜
毎日を健やかに過ごすためにも、ワークライフバランスとやらと、心のオアシズである音楽鑑賞もちゃんと予定に入れてたい。これからは「推し活」がますます重要だよねと友人からも言われてたし。

「推し」と言えば2015年あたりから応援している、バリトンの加耒徹さん。



先月19日の、CD発売記念コンサートからあっという間に日が経ち、今日は午後休暇を取って恵比寿のキラホールへ。
加耒さん、先月末に体調を崩されて復帰第一弾、だったわけで…
印象は、病み上がりの声をリカバーする技術が半端ないなという感じで…音色に極力影響が出ないように、ものすごく緻密にコントロールされた声で。
でもやはり話し声とか中低音は本調子ではない様子。
そんな特殊な事情もあった今回の企画として、喉を休めるタイムということもあり、松岡あさひさんのピアノソロの曲が前後半一つずつありました。

ルイ・クープランと松岡さんの自作はなんと「プレリュード・ノン・ムジュレ(拍節のない書法での作曲)」繋がりというなんともオシャレな。
ルイ・クープランはチェンバロで聴くことの多い曲で、私も凄く好きなんですが、ペダリングにも工夫を凝らした美しいピアノの響きがとても新鮮!
そして松岡さんの「星降る夜」は東日本大震災で停電になった被災地の夜の、被災者には残酷なまでの数多の星の輝きからの曲。想像が広がる美しい音でした。
時にはあさひさんのソロもまた聴きたいです。

前半の加耒さんセレクトは、前回のアルバムで大好きになったシューベルトの「漁師」から始まり、ベートーヴェンのイタリア語の歌曲とトスティのセレナータを、ピアノソロを挟んで並べてみたり
マーラーの「おさかなさんにまでありがたいおはなしをしちゃう聖人」とワーグナーの「夕星の歌」も聴けるとはなんと俺得…!!ピアノソロも含めて好きな曲ばかりでした。

後半は3月の「B→C」でも演奏された現代寄りの作品、ラヴェル、松岡さんの曲、そして武満ソングスと盛りだくさん。
松岡さんの「蜻蛉に寄す」がとても心に残りました。
中原中也の詩の持つ、言葉の抑揚がメロディにしっくりと乗せられていてなんとも自然な流れが美しい。そこに松岡マジックとも言えるキラキラとした和声が散りばめられて、素朴な旋律が夕焼け空に放たれるような魅力が加わる。
最後の武満ソングスも素晴らしかった。
加耒さん渾身の「死んだ男の〜」
聴いてるこちらも息をするのを忘れる。
気づいたら涙がポロリ。
明日への希望を乗せた、アンコールの「Morgen!」も、あさひさんのピアノの煌めきも加わって最高でした。

加耒さん、松岡さん、今日もありがとうございました。(夜公演も無理せず頑張って👍!)
また素晴らしい音楽を期待しております!!