あるところに
ひとりのお爺さんがおったそうな。
「天気がいいから散歩するかのぉ」
そうひとり呟いて
いつもよりも少しばかし遠出をしてみたそうな。
たまたま途中で立ち寄ったお友達のお宅。
そこで初めて
桜の花びらのような耳
をした野良猫を見たそうな。
「なんでこの子の耳は切れてるんだね?」
「それは愛されている証なのよ。」
お友達のお婆さんは
野良猫への去勢手術をしたことを
ご飯をあげていることを
トイレを設置していることを
お爺さんに教えてあげたそうな。
→★
「儂にも出来るかな…でもどうやって…」
帰宅したお爺さんは
自宅の物置に来るようになった野良猫に
ご飯をあげながらいっぱい考えたそうな。
「やれる事はやってみんべ」
そして翌日。
お婆さんから聞いた電話番号に
勇気を出して掛けてみたそうな。
「力を貸してくれんかのぉ」
数日後。
猫下僕から借りたキャリーに
お爺さんは自分の手で優しく抱き上げ
その猫を入れたそうな。
「この子をよろしくお願いします」
その夜は、雨が降っていた。
猫下僕の都合上、
徒歩と電車でのお預かりになったけど
その猫はジッと我慢してくれてたそうな。
キャリーの中には
お爺さんが入れてくれてた
ひと握りの愛があった。
「この子は春に数頭産んだんじゃ」
1歳くらいの若い雌猫は、すでに出産経験があったそうな。
「子たちは近所の水溜まりの中でみんな冷たくなっておった」
(9月21日 所沢さくらねこ診療所→★)
「今までも沢山の小さな命を見送ってきたんじゃ」
(不妊手術・3種ワクチン・レボリューション済み)
「不幸な命はもう増やしたくないんじゃ」
(さくらねこ誕生)
そういって
お爺さんは目にいっぱい涙を溜めていたそうな。
(とてもキレイな手術跡 約1cm)
さくらねこになったその猫は
投薬期間の数日を下僕宅で過ごして
住み慣れた町へ帰ったそうな。
「もう誰もこの家には訪ねてこなくなったけど…
猫だけでも来てくれたら嬉しいんじゃ」
そういって
爺さんはまた涙を流したそうな。
「あれ?こんなに美人さんだったっけ?」
お爺さんは微笑みながら涙をふいたそうな。
美人なその仔がよく見えるようにと。
(了)
お爺さんの優しい手に感謝。
いつまでもいつまでもお元気で。
誰も訪ねてこなくなったというけれど
猫下僕はまた会いに行きます。
って…
まだまだ居ましたからねっ
合計7頭(成猫4・乳飲み子3)
長いお付き合いになりそっ
ヾ(*ΦωΦ)ノ ニャッハー!!