早朝からごめんなさい。。o(_ _*)o
夜中に目が覚めると眠れないことしばしば・・・
でもそんなトキほど、創作がはかどるんです(* ̄∇ ̄)ノ


前回のお話はこちら
SS 二人だけの花火大会 (2)












蓮はキョーコを抱きかかえたまま、リビングへと入り、そっとソファーの上へ降ろす。

降ろした姿勢のまま、キョーコに覆い被さるように見下ろし、ゆっくりとその距離を近づけるーーー


あと、数センチ……………といったところで、


「………ぃやっ!」


キョーコは、思いっきり顔を背けた。


「………………。」


雰囲気を断ち切られ、蓮が困惑していると、


「ーーーこれって、敦賀さんの一時の気の迷いですか………?」


キョーコは、顔を背けたまま今にも泣き出しそうな顔で訊ねた。


「………そんな訳ーーー」


「誰にでも………するんですか?」


今度は真っ直ぐに蓮の顔を見て訊ねる。

蓮は少しムッとし、


「………そんな風に、見える?」


「…………だって、敦賀さん………

  隠れプレイボーイ………」


キョーコは少し怯みつつも、予(カネ)てからの疑いを口にした。


「………何それ……?」


「だってっ……!ワインゼリーのお礼には過度な頬キスするしっ……
  今すぐどうにかしてあげようか?なんて………
  きっと、私じゃなかったら、どうにかしてたんだと思うし………
  どう考えても隠れプレイボーイとしかっーーー」


キョーコがそこまで言い切ったところで、蓮は盛大なため息をついた。


「………じゃあ、俺が隠れプレイボーイだったとして、

  この家に君以外の女性が出入りした形跡、今まである?」


そう言われてキョーコは考えた。

キッチンはいつもキョーコが片付けて行った通りのまま、次に来たときにも保たれている。

洗面所にも、いわゆる女性の歯ブラシとか………見たことはない。

もちろんゲストルームや蓮の寝室にも………その形跡が感じられたことは、今までに一度もなかった。


「………車も。君以外の女性を乗せたこと、一度もないんだけど?」


「………………。」


そう言われてみれば………


「でも………」


「でも、何?」


キョーコは悩んだ。

蓮に好きな人がいることは、坊しか知らない。
けれども、そこをうやむやにしたまま雰囲気に流されてはいけない……!
そんな気がして………


「………私、TBMでレギュラー番組を持っているんです……。」


「えっ?」


突然のキョーコの方向転換に蓮は拍子抜けして驚く。

しかし、構わず続けるキョーコ。


「“やっぱきまぐれロック” っていう番組なんです。」


「……………。」


蓮は突然仕事の話をし始めたキョーコを不思議に思いながらも、
TBMにレギュラー番組を持っているなんて今まで聞いたこともないと、
キョーコの話に耳を傾けることにした。


「………着ぐるみの、お仕事、なんです……。」


「………?着ぐるみ?」


まだピンと来ない蓮。

キョーコは、覚悟を決めた。


「ーーー鶏、の……。」


「鶏??

  ーーーーーーっっ!!?」


キョーコに覆い被さっていた蓮は、驚いて一歩下がり、
トスン………とソファーの端へと座った。

キョーコも身体を起こして、蓮の方を向いてソファーの上で正座をして座る。

蓮は顔を手で覆いながら、


「………いや、だって “彼” は、ーーー」


「ーーーーーー“敦賀くん” ……。」


キョーコは、“鶏の彼” の声で蓮を呼んだ。


「っっ!!!?」


「……………ごめんなさい………。」


驚いている蓮に、キョーコはソファーに三つ指をついて頭を下げた。


「………ということは………」


ようやく繋がった蓮。

しかし、キョーコは………


「なのでっ、

  敦賀さんに “好きな人” っ、が……

  いらっしゃる、ことを知ってしまっている以上………、

  “そういうこと” は………できません………っっ。」


下を向いたまま声を震わせるキョーコ。

そのまま勢いよく、「今日はこれで失礼しますっ!」とソファーから飛び出した瞬間、
蓮に身体を引き戻され、先程と同じように、ドサリ……とソファーへと押し倒された。


「待って。」


真剣な表情でキョーコを見下ろす蓮。

既にグシャグシャになった顔を見られまいと、
両手で顔を覆っているキョーコの髪をそっと優しくなでながら、


「君が泣いている理由はーーー

  さっきの君からの仕返しのキスと同じで、

  俺のいいように受け取っていいんだよねーーー?」


訳が分からなくなっているキョーコは、否定も肯定もせず顔を覆ったままーーー


「……………、

  思い出してみて?

  俺が、“鶏君” に何て言ったかーーー」


キョーコはただ、聞きたくないとばかりに、ふるふると首を横に振る。


「“16歳の高校生”ーーー。

  あの時、君はいくつだった?」


ーーー首を横に振っていたキョーコが止まる。


「まだ、誕生日前だったよね?

  ーーー最上さん………?」


「ーーーえ?」


ようやく顔を覆っていた両手が少しだけ下がり、
蓮と視線を合わせたキョーコ。


「君のことだったんだけどーーー

  “鶏君” ?」


「ーーーっっ!?///」


「まさか、本人に恋の相談をしていたなんて、ね?」


蓮は、ハハッと自嘲した。


「君は…………?

  どうして泣いたの?」


「……………/////」


ずっと勘違いをしていた恥ずかしさと、蓮を騙していた申し訳なさ、
何より蓮の “好きな人” が自分だったという驚きから、
上手く返事の出来ないキョーコ。


「ーーー言って?

  ちゃんと、君の口から聞きたい………。」


優しくキョーコを見下ろす蓮。

ようやく頭の中の整理が出来てきたキョーコは、


「…………き、ですーーー」


「何?………聞こえない。」


涙で濡れたキョーコの頬を、蓮はそっと啄む。


「ーーー好き、です……。

  敦賀さんのことがーーー」


それを聞いた蓮は満面の笑みで、


「俺も、好きだよ、最上さん。」


優しく口唇を重ねたーーー。




⇒ SS 二人だけの花火大会 (3.5) へ続く


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あれれー??

ソッコー裏行きかと思ってたら、
キョコさんがそっぽ向いてびっくり。
こんな展開にっ!?(笑)