老人が横になっていた、あの木の所に向かう途中、初代旦那様は、手の平と同じぐらいの石と煉瓦の欠片を一緒に持って行きました。

辺りはまだ真っ暗だったのですが、何故か老人が横になっていたあの木の所だけ、月の薄明かりが射していて、初代旦那様には、すぐにその木の場所がわかったそうです。
そして、夢に出て来た老人が話す、少し掘った後がある場所を探し始めました。

老人が話すには、長い間、木の下に横になっていたということで、老人に気付く人がいると思えば、近くに来て何か金目の物、または何か食べるものは持っていないかと探し、なければ老人を罵ったり、または暴力を振るう人達もいたそうです。
でも、大概は、ボロをまとった今にも死にそうな汚い老人に対して、皆んなは目を背けて、通り過ぎて行ったそうです。

老人が夢の中で、初代旦那様に話をした内容を初代旦那様は思い出しながら、初代旦那様は、その少し掘った場所を探していたのですが、中々見つからず、やはり、ただの夢だったのか?と考え始めたところ、白いある物が見え、良く見ると、大きな太った白い幼虫が土の穴の中に潜ろうとしていたそうです。昔は、幼虫なども食べていたわけですから、初代旦那様は、ご馳走を見つけたと思い、その幼虫を取ろうとしました。その時です、何故か少し土がへこんでいるのがわかり、もしかしたら、老人が言っていた所は、ここなのか?と思い、一緒に持って来た石と煉瓦の欠片で、その場所を夢中で掘ったそうです。
そして、なんと穴から小さな箱が出て来たそうです。その箱には、高価であろう石らしき物が埋め込まれていたそうで、初代旦那様は、本当にこんなことがあるのかと凄く驚いたそうです。
老人が話をした木の所に向かったものの、正直、初代旦那様は、きっとただの夢物語なんだと思っていたからなのです。

初代旦那様は、恐る恐るその箱を開けると、なんと月の光に輝く透明色の腕輪が入っていたそうです。
凄く驚いたものの、老人が話す、絶対に腕輪の話は誰にもしてはいけないということを思い出し、また、誰かに取られないように、初代旦那様は、直ぐにその腕輪を箱にしまい、自分の服の中に入れたそうです。

そして、老人が話した、李氏が営んでいる店の方へ向かいました。
問題は、老人が次に話した、李氏の所で、一生懸命働くということです。
そもそも李氏みたいな立派な人となんかと話もしたことがない訳ですから、本当に困ったことだ、どうしようか?と道中ずっと初代旦那様は考えていました。
時々、李氏のお店の裏にあるゴミ箱をあさっている時に、李氏の奥様と目が合うことがあり、でも、奥様は何も言わずに、いつも初代旦那様をジッと見ては、またお店の中に帰って行ったことは何度かあっただけで、それ以外には、何の接点もないなと思うばかりでした。
そして、太陽も空に上がり、いつもの朝になった時には、初代旦那様は、李氏のお店の前に着いていました。
初代旦那様は、兎に角、誰も邪魔されずに、李氏かまたは李氏の奥様に合うチャンスはないかと考え、そして、さっき思い出した、お店の裏のゴミ置場に行ったそうです。
そして、李氏の奥様に会えるかもと考え、わざとゴミをその日は、大袈裟に荒らしたそうです。
暫くすると、李氏の奥様がまた裏口から出て来て、初代旦那様のことをいつものようにジッと見に来たそうです。
初代旦那様は、チャンスだと思い、今日初めて、李氏の奥様に、もうお腹が空いて死にそうだという話をしました。そして、一杯のご飯をくださいと膝をついてお願いをしたそうです。
その代りに、一ヶ月間ここでお金を貰わずに働きます。と言ったそうです。
初代旦那様からしたら、もう、千年に一度の賭けとチャンスみたいなものでしたから、さぞ、真の演技が入っていたと思います。

李氏の奥様は、また、黙って初代旦那様をジッと見ると、”そこで少し待ってて”と言い、暫くすると、李氏を伴って、初代旦那様の所まで来たそうです。初代旦那様は、自分でも凄いことをやっているのに驚き、身体中が震えていたそうです。
でも、その震えが更に迫真の演技に花を添えたのか、李氏も初代旦那様をゆっくりとジッと見た後、”わかった、中に入りなさい”と言ったそうです。



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