当社の店舗デザイン設計の顧問をお願いしていた石塚泰造氏が亡くなりました。67歳の若さでした。昨夜福岡市で通夜があり、ご家族ご親戚の方々に石塚さんとの思い出話しをしてきました。

 

 

石塚さんとの交際は、2011年大分駅店のデザインをお願いしたときからはじまりました。最初に交わした会話をよく覚えています。

 

川邉「大分駅はレンブラントの絵のようなお店にしてほしい」

 

石塚「ルーベンスではだめなのか?」

 

この瞬間に双方一目ボレ!意気投合しました。

 

 

即、デート。新しい駅ビルが木をふんだんに使った内装ということで、アイデア探しに九州の秘境(日田市上津江村)にある製材所(トライウッド)に行きました。

 

 

↑杉山に囲まれたトライウッド

 

林業は第一世代が植えて、第二世代が育て、第三世代が伐採します。つまり、お金になるのに3代を要する気の長い産業だと教わりました。

 

 

 

↑トライウッドに積まれた木材製品。

 

石塚さん、これを見て「アートだ!」と唸りました。日田杉のランダム貼りでカウンターをデザインする発想が生まれた瞬間でした!

 

 

↓は大分駅店の開店日の様子です。(2012年3月)

 

 


 

お見事!レンブラントのような陰影のあるお店に仕上げてくれました。石塚さんの抜群のセンスに舌を巻きました。

 

その後、仕事を通り越えて友人(=飲み友達)として交流を深め、福岡県出店を機に顧問になってもらいました。

 

石塚さんは、自身の顧問の立場を「用心棒」と自称していました。

 

 

店舗設計は、商業施設の場合、その工事内容などの折衝が必要です。石塚さんはその筋(店舗設計業)では知らぬ人がいない大物だったので、交渉のテーブルに”用心棒”石塚がいるだけで、話がすんなりとまとまりました。

 

 

 

つくるお店はすべて「神は細部に宿る」の金言どおり、いつも、プロの仕事を施してくれました。任せていれば安心でした。

 

 

用心棒は、人を笑わせるセンスに優れ、絵も上手でした!

 

 

↑毎年、このように飾っておきたくなる次元の年賀状をいただきました。(手書きにつき本当に親しい方限定)

 

 

 

お酒も大好きで、西鉄グランドホテルのバー「グロット」が行きつけでした。キープは決まって、シングルモルトの「クラガンモア」。この香り立つウイスキーで洒落のきいた大人の会話をたくさんしてきました。

 

 

 

出張の際「クラガンモア」をさりげなく追加で入れておくと、後日、少年のように喜んでくれました。グロットのボトルは「石塚」のネームタグのまま私が引き継ぎます。バーテンダーに「石塚さんのボトルをお願いします」と言うたびに、あなたのことをみんなが思い出すことでしょう。これが何よりの供養だと思います。

 

 

石塚さんはカヌーが趣味でした。2023年12月25日、クリスマスの日に、まさに↓画像(本人)のように去って逝きました。

 

 

”用心棒”石塚さん、ありがとう。

かっこよかったバイ。

 

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追記(2024年1月3日)

 

今日から初仕事。本部に出社し年賀状を確認していたら・・・

 

 

天国から届いたような不思議な感覚になった。病床でどんな気持ちでこれを描いたのだろう?多分、今日の私の心情を想像していたに違いない!

 

用心棒はあの世に行っても憎らしいことをする!かっこいい!言葉は正しくないかもしれないが「感動」した。