SummarとSummitar(ズマールとズミタール) | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

ライカの扉は開けてはならないと昔から思っていた。元来コンタックス派と言うこともあるが、それが理由ではない。ライカはレンズに圧倒的な魅力があるからだ。もちろんコンタックスにも魅力はある。でもそのほとんどは、写りの魅力だ。たとえば、プラナーを例に挙げるとヤシカコンタックスマウントのプラナーのビビットだがけばけばしくない発色。溶けるようなボケ。開放からハレもなく芯のある写り。どれをとっても申し分ない。現代レンズのお手本のようなレンズだ。ただ外観は普通である。ちゃんと作られたいいレンズなのである。しかしライカは違う。写りもさることながら、作りがすばらしい。手に取るだけでうれしくなってしまう。金属の質感をうまく生かして高級工芸品のような仕上がりになっている。特にズマリットなどはカメラにつけるだけでどんなカメラでも良く見えてしまう。この作りのよさがライカの最大の魅力なのだと思う。そしてこの魅力にはまったが最後、一生涯ライカをコレクションしてしまう。と思っていたためライカだけには手を出してこなかったのですが、ついに気になり調べてしまいました。そして見つけてしまいました。と言うかライカがお好きな方はたくさんいるのでいまさらって感じだと思いますが(笑)


ズミタールです。きっと拍子抜けされた方も多いと思います。いろいろ調べてところライカレンズの中でもかなりの不人気レンズです。でも非常にいい写りだと思います。確かに開放は結構きついです。でもF2.8あたりを境にぐっと来ます。なんか朝が苦手な人みたいな感じです(笑)背景の2線ボケも見事です。レンズ設計技術の進化した現代、2線ボケなどは設計者の恥と言うことでまず見ることはありません。でもこの時代のレンズには良く見られます。当時どういう評価を受けていたかは分かりませんが、戦後は2線ボケ=不良品という評価になっている気がします。でも僕は2線ボケが好きです。あのレンズを通してしか生まれない2重像のボケに美しさを感じます。2線ボケを『うるさい』と言う方もいると思います。それもまた事実ですが、ようは使い分けだと思っています。2線ボケも表現の一つだと思えば表現の引き出しが増えることになります。木漏れ日なんかを背景に入れて撮るときなんかはほんとにきれいだと思います。もちろん肉眼で見たものとは別世界になりますが、この別世界感がツボなんです。話がそれにそれてしまいましたが、このズミタール早速友達と試写に行きました。





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SUMMARIT 50mm F2

これは友人が撮ったものなのですが、ピント部の芯と後ろの独特なボケが美しいです。

中央のピント部にあるチラシの文字の解像感と背景の荒いボケのギャップがたまりません。


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絞り込むとボケは少し落ち着いてきます。

発色もアンティークレンズらしく落ち着いていて良いです。少しくすみっぽいですがこれも個性だと思います。

状態の良い順光で人物も撮りたかったのですが、お店の商品だったのでできませんでした。そのうち買ってしまうと思うので、そのときは思う存分使いたおします。

この店のご主人にズマールを薦められたので早速見に行きました。

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SUMMAR 50mm F2

確かに美しい。ピントの立ち上がりから後ろのボケまで一貫して破綻のない写り。再研磨、再コートなどをした日には絶品間違いなしの写りですね。ただひとつ気になることが、綺麗過ぎるんです。個性を読み取ることができにくいレンズだと思います。完全に収差ジャンキーになってしまった僕には物足りなさがあります。でもライカファンの方に誤解をしてほしくないのでもう一度念を押しますが、このレンズ本当にいいと思います。音楽で言うと交響曲のような感じです。でも収差の病気の僕には初期のパンクのような破綻した美しさがほしいのです。この病気どこまで進行するのでしょうか。そのうちタンバールやホロゴン、キノプラズマットにとり憑かれて破産してしまうのではないかと心配です。