2014.02.22 一部修正、加筆しました。
ロシアレンズと呼ばれる旧東側諸国で生産されたレンズたち。
銘玉のコピー品も大量生産されているためかなり安価で手に入る。
加工精度の低いとりあえず写るだけのレンズから、銘レンズの直系の子孫まで魅惑のロシアレンズについて書いてみます。
jupterシリーズ
ジュピター(ユピテル)シリーズは戦前CarlZeissで生産されていたカメラ”Contax”のコピーカメラ”KIEV"用の交換レンズ群。カメラもレンズもContaxのコピー品である。
コピーカメラというより同じカメラである。ソビエト軍が東ドイツで接収したカールツァイスイエナ工場の熟練工と加工機械と材料により生産が始まった経緯があるので、直系のレンズと言えなくもない。
上の写真のキリル文字のタイプが前期、筆記体のようなキリル文字のタイプが後期になります。
あと大変レアなものの中にキリル文字のないタイプも存在します。一般にノーネームコンタックスと呼ばれます。
ラインナップ
Jupiter-3 50mm F1.5
Jupiter-8 50mm F2
Jupiter-9 85mm F2
Jupiter-11 135mm F4
Jupiter-12 35mm F2.8
主なものは上記の5本
Jupiter-3 (コンタックスマウント内爪/Lマウント)
Jupiter-3 50mm F1.5 いわゆるコピーゾナー。Sonnar5cmF1.5の光学をアレンジした設計。この個体は紫色のシングルコートされている。上記のレンズはLマウント仕様なのでヘリコイドを内蔵している。
コンタックスマウントのものはレンズにヘリコイドが存在しないため使うためには下記のヘリコイドアダプターが必要となる。
ちなみにコンタックスマウントは内爪、外爪の2種類がある。内爪は50mm専用で本体側にあるヘリコイドを使用するためレンズ側にはヘリコイドがない。外爪はレンズ側のヘリコイドを使う。
外爪用アダプター
外爪用アダプターは安価であるが、内爪用ヘリコイドアダプターは高価なためLマウントレンズを選ぶと良い。ちなみに外爪用アダプターの中には精度の低いものも多く、一度取り付けると外れなくなるという事故も多く発生しているので注意が必要である。
Jupiter-3は上記の試写のように解像力はないが階調が豊かなのが特徴。コントラストは低く、やや眠い写り。フワッとした牧歌的なスナップにはもってこいである。
ロシアレンズはシリアルの頭文字が生産年のことが多い。レンズの鏡胴はシルバーのものが古く後にブラックペイントが登場する。70年代~80年代にかけてモデルチェンジされてることが多く、モデルチェンジ以降はブラックペイントになる傾向がある。
Jupiter-8(コンタックスマウント内爪/Lマウント)
Jupiter-8 50mm f2 こちらもコピーゾナー。Sonnar5cmF2をアレンジしたレンズ。数も多く価格も安価で写りも安定しているのでおすすめである。上の写真はLマウント。
Jupiter-9(コンタックスマウント外爪/ Lマウント/M42マウント)
こちらは同じコピーゾナーでも、85mmの焦点距離。Sonnar 85mm F2の兄弟レンズである。
戦前のゾナーの設計に戦後技術であるコーティングが施されているのである意味新旧ゾナーの過渡期的な設計である。M42マウントは一眼レフデジカメでも使用できるので人気である。
上の写真はシルバーの前期型、このほかに同型のブラックペイントと後期型のものがある。
M39用とM42用(現行)MFlenses.com
より
実はこのJupiter-9ロシアのZENITサイト では現行品として買うことができる。現行型のJupiter-9は注意が必要で当たり外れがある。購入の際には試写をすることをおすすめする。
Jupiter-11(コンタックス外爪/Lマウント/M42)
こちらはゾナー135mmf4のコピー。イエナゾナーと同じ設計。
ゾナーというものの3群4枚のテッサータイプ。
当方間違えておりましたテッサータイプではなく独特なレンズ設計でした。
初期エルノスターの発展系のようです。
だいぶ変形してますが・・。
本家イエナゾナーもあまり高くないので安いイエナゾナーを探すのも悪くないかも知れません。
jupiter-12(コンタックス外爪/Lマウント)
jupiter-12は35mmf2.8の広角レンズ。CarlzeissのBiogonのコピーレンズ。戦前はまだレトロフォーカスが実用化されていなかったので広角といえばビオゴンタイプやトポゴンタイプであった。
現代で言えば35mmは標準に近い画角だが、当時は広角であった。
クラシカルな写りが特徴である。ただしこのレンズはレンズの後ろが大きくでている為、装着できるカメラが限られるので注意が必要である。
Jupiterはいいレンズラインナップが揃っているが、制約が多いので事前にいろいろチェックしておくことが大切である。