佐賀県玄海町から高レベル放射性廃棄物の処分場建設の文献調査を受け入れてほしいという請願書が三つの団体から町議会に上がってきました。
町議会の議員さんはほとんどが賛成なので、これは町議会で可決される可能性が大きいと思います。
町議会で可決されても、町長がどのような判断を下すまではわかりません。
なぜなら対馬市議会で可決されても市長が反対したために、対馬市では市民の代表である市議の集まりである市議会の決議が無視された事例があるからです。
とうぜん、玄海町でも慎重な議論が町議会で繰り広げられると思いますが、私はどうして玄海町からこのような請願が上がってきたのかを何人かにインタビューしてみました。
ご存じのように玄海町は九州電力玄海原子力発電所が元気に稼働しているところです。
そのため、5千人ほどの人口にもかかわらず、大きな予算がある町です。町営のバイオマス発電を稼働し始め、それは牛の糞尿を処理して発電しています。町の予算がふんだんにあるので、こういう取り組みができるのです。
佐賀牛というブランド牛があるので、多く飼いたいのですが、どうしてもその糞尿の処理が問題になってくるのです。これを玄海町は解決しているのです。
しかし、町の人口は緩やかですが、自然減になっています。それは年寄りが亡くなっていくのと、若者が進学のために町の外に行くからです。
そこで高レベル放射性廃棄物の処分場という一大ハイテク産業を誘致すれば、いったん町を離れた若者も戻ってきて働く場所ができるからというのが大きな理由だと聞きました。
ここはすでに原子力発電所を誘致するときにたくさん原子力のことを学び、議論し、そして受け入れているので、町民の理解がある場所なのです。
アクティブな原子力発電所とは違い、とても静かな高レベル放射性廃棄物処分場は安全度合いもけた外れに安全だということを町民のほとんどが理解しているのです。
常にゆっくりだけど核分裂を起こしながら膨大なエネルギーを作っている原子力発電所よりも、今はまだ高レベルの放射線を出す物質を地下に静かに寝かせるという処分場の違いが判っているのです。
どうしてこれが対馬の一部の人たちには理解できないのか理解に苦しみます。
玄海町の脇山町長は個人的にも知っています。筋道をとても大切にされる方なので、町議会の決定には対馬の比田勝市長のように反対はしないとみています。
でもこれで対馬の反対派が言っていた「なぜ対馬に核のごみ捨て場を押し付けるのか?」という議論が成り立たなくなりました。なぜなら、この処分場の経済波及効果を知れば知るほど全国で手を挙げるところが多くなるからです。
そうそう、玄海町は処分場には適地ではないとされていますが、専門家に確認したところ、詳しいことを精査しないと一概には言えないが、炭鉱があったからダメとは限らないとのこと。それよりもっと深く掘ればいいだけのことだそうです。それだけ日本のトンネル掘削技術は発達しており、世界一といってもいいでしょう。
私は対馬が一番いいと今でも思っております。玄海町はまだ九州本土にある町です。なんとでも発展の手助けはできるのです。車でひょいと行けますから。でも、対馬のような離島は行くだけでお金がかかりますから、なかなか簡単には行けないのです。
今は円安ですから海外においそれといけなくなりましたが、以前は対馬に行くよりもプサンに行く方が安い時もあったのです。東京などの都会の人からみれば、対馬の魚介類は絶品ですが、福岡ならそういうものは簡単に安く食べることができるのです。
わざわざ船代や飛行機代を払ってまでも行く必要はないところなのです。そういうところにどうやって人を連れていくのかを考えるとやはり一大産業を誘致するしかないと思っております。そうしないと地の利のある韓国に取られてしまいます。
もっと広い視野で、そして高い視点で物事を考えないと気づいた時にはもう手遅れになります。いま申請しても実際に工事が始まるのは約20年後ですから。
今決断し、その時の人たちが続行か中止かを決めることができるようにしてあげることが今の大人の役割だと思いませんか。