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シンドレラ 村岡花子 文 蕗谷虹児画 479

シンドレラ 村岡花子 文 蕗谷虹児画
幼年倶楽部 昭和7年9月号 其の弐

蕗谷4


御殿に残った ガラス靴
王子は 拾っておきました。
どこから来たのか 名も知れぬ
姫の落とした ガラス靴。

これを頼りに探さうと
王子は心 勇み立ち、
お触れを国に出しました。
「御殿に残った ガラス靴。

見開き1
この靴に合ふ 足を持つ
この靴に合ふ 足を持つ
娘を王子のお妃に 選びませう。」と
触れました。
さあ、国中は大騒ぎ。

毎日 毎日 其の靴を
引っ張り回す 娘たち、
「私に履かせて その靴を。
 あなたの足には 履けません。」

蕗谷1
「私の足なら大丈夫。」
「いえいえ それでは入りません。」
妃になりたい人ばかり
押し合いへし合い喧嘩です。

とうとう ある日 門口に
そっと出て来た シンドレラ
「もし、王様の御家来さん
 私も お願い いたします。」


見開き2
可愛いい ガラスの 踊り靴、
ぴったり足に合いました。
「まあ、シンドレラどうしたの?
 魔法使いか 手品師か?」

驚き騒ぐ姉たちの
前へ取り出す ガラス靴、
御殿の靴と並べれば
間違いの無い一揃い。


蕗谷2

このときそこに現れた
お守り役のおばあさん、
魔法の杖の一振りで
ポンと叩いた シンドレラ。

今の今まで ここにゐた
敗れた着物の妹は
どこへ行ったか 隠れたか?
御殿で眺めた お姫様

見開き3

二度驚いた姉たちが
どうぞ許して、これからは
あんな意地悪しませんと
姫に謝る 恥ずかしさ。

優しい心の シンドレラ
ガラスの靴の シンドレラ
めでたく 妃になりました,
立派な妃に なりました。

蕗谷3
七五調の文章が、レトロですネ




ウツクシイ公園

幼倶06

蕗谷虹児画




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 ブログも紹介いただき、ありがとうございました。

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