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まったり過ごしていると、春休みもあっという間に終盤に。
もうすぐ学校が始まります。
その前に、前年度学校の図書室に入れた本で印象深かったものをもう1冊ご紹介したいと思います。
2022年本屋大賞を受賞したこちらの作品です。
『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
2021年11月 早川書房
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?
本屋大賞を受賞したとのことで、図書室に入れました。
正直、最初私は苦手だと思いました。
元々歴史が苦手。
戦争ものも、興味を持つものとそうでないものがあり、嫌悪感を感じるものも。
戦争ものは慎重に読むかどうか決めています
この本は、この題名にこの絵。
まったく興味をそそられなくて、他に沢山読みたい本がある中、手に取ることはないかなと。
中学生の皆も、読まないだろうなぁと思っていました。
本屋大賞は中学生たちの間でもお馴染みで、特に未だによく読まれる『かがみの孤城』でメジャーになったかと思います。
今では必ずチェックする賞です。
とはいえ、本屋大賞受賞作やノミネート作品の中にも中学生には早かったり、興味を持たれなかったりで受け入れられないものも。
この賞に限らず、どんなに発行部数が高くても中学生たちの感性に合わないものはまったく読まれません
しかも、彼らの本選びに表紙の絵の雰囲気も重要なのです。
ですので、きっとこの本は受け入れられないだろうなぁと感じていました。
ところが
入れてしばらくは見向きもされなかったものの、気がつくと貸出中になっていて、(あれ、珍しく誰か読んでくれてる)と思って見ていました。
それが返却され、それから気がつくとまた貸出中に。
大人気、まではいかないものの、その後貸し出しが続いたのでした。
ある時女の子がこの本を指差し、
「この本教えてもらって読んだけど面白かったよ」
と、別のお友達にすすめているところに遭遇。
口コミで読まれているようでした。
前にご紹介した、年間ベストランキングには入らなかったものの、あの次点に入るくらい。
頭の中で考えただけだったものの、どうせ読まれないだろう何て、司書としてあるまじき思考でした
早速私も、本が返却され貸出が無かった時に借りて読んでみました。
読んでみて、すごく引き込まれる面白い作品でした
もちろん戦争なので作品として面白いですが、中身は気分の悪いものです。
戦争は人間を悪魔にしていく様子がよく分かりました。
戦争がどういうもので何をもたらすのかについて考えさせられましたし、戦争という大きなうねりに人々が巻き込まれていく様を見ることができました。
心優しい普通の人間でも、戦場という歪んだ空間で適応化されていきます。
人を野蛮化、悪魔化させる戦争は、誰も幸福にしないし、如何に愚かなことであるか思い知らされます。
そういったことが、狙撃兵となった少女を通じて語られます。
現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻にも重なり、まさにタイムリー。
きっと、この題名と表紙の絵で読むのを躊躇った方でも読んでみると多くの方が印象と違っていることがわかると思います。
中学生の皆さんもごめんなさい
ただ、表紙だけで判断してるなんて大間違い。
口コミで広げてくれた生徒さん(心当たりはあります)にも感謝です。
まだ未読の方は、ぜひぜひお手に取ってみてくださいね。
本当に司書として反省です
中学生の皆さんの口コミは間違いないです
こちらの作品は、
『第9回高校生直木賞』も受賞しています。
ストーリーとしても引き込まれますし、戦争を学ぶのにとても良い作品だと感じました。
私も読んで納得したあと、図書便りにも載せて宣伝したのでした。
食わず嫌いはもったいないですが、だからこそ思ってもみなかった作品に心を動かされたのがまた、嬉しくもあったのでした
最後まで読んでいただきありがとうございました