「なす子育ちの会」さん主催の「子どもの病気とワクチン」の講演会の質問の答え ②アレルギー | 自然派医師のブログ

自然派医師のブログ

健康・医療・食事・農業や環境に至るまで、幅広い視野で、様々な思いを投稿していこうと思っています。
日々の診療や講演会活動での補足や復習にもなるような内容になるといいですね。

ブログを更新しました。

 

昨日に続きまして、先日の4月17日にありました「なす子育ちの会」さん主催の「子どもの病気とワクチン」の講演会の質問の答えの続きです。

 

個人的なご質問に関しては、ブログやフェイスブックではお答えできませんので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

質問がとても多いため、いくつかの項目(①食②アレルギー③ワクチン④生活⑤薬や病気⑥その他)に分け、何回かにわたって回答する予定です。

今回は②アトピー・アレルギーについてになります。

 

①食に関しては以下を参照してください。

https://ameblo.jp/rutorl/entry-12270969865.html

 

講演会でお答えできた質問に関しては、参加された方がとても分かりやすくまとめていただいていますのでご参照ください。ありがとうございます!!

http://ameblo.jp/ulysses310/entry-12270251803.html

 

以下、アトピー性皮膚炎をアトピーとしています。

 

Q8 アレルギー検査は必要でしょうか

A8 「乳児湿疹」あるいは「アトピー」と「食物アレルギー」は違う病気です。検査で引っかかっている食材を食べたからと言って湿疹が悪くなることとは関係ありません(じんましん、かゆみなどとしての症状は出るかもしれませんが)。

 

お金がかかる、苦痛である、時間がかかる、検査の値で食べさせる方針に違いがない、などの理由から、私は、即時型アレルギー(IgE)も遅延型アレルギー(IgG)ともに検査不要と考えています。

 

これらはアレルギーの結果であって原因ではないのです。実際に検査の値と症状は全く相関しません。検査の値ではなく、実際に食べさせてみてどうなのかが重要ということです。

 

基本は「食事の制限はしない」ことで、検査の値にかかわらず、積極的に食べられるものを増やして良いでしょう。明らかにじんましんのような症状が出るものは止めます。新しい食材を食べ始める時の原則は以下の2点です。

 

①ごく少ない量からはじめ(ひとさじから)、大丈夫なら量を増やしていく

 

②加工(加熱)したものから生のものに近づける

 

ただし、食物アレルギーという状態が病気としてあることは間違いありません。この場合、じんましんや下痢をするものだけ除去します。もちろんそれでもご両親が不安な場合、アナフィラキシーなど強い反応が出る場合は、病院で相談され、負荷試験が必要になる場合もあります。

 

Q9 乳児湿疹はアトピーに移行しますか、また、それぞれの違いとは

A9 私は乳児湿疹とアトピーは病態が全く異なると考えています。ただし、治療方などの対応が適切でなければ、乳児湿疹の子がアトピーになりやすい傾向があるとは思います。

 

乳児湿疹は、通常1歳未満に発症し、病態的には生まれてきた時に持っている毒を出している状態です。毒を出し切れば治るので、毒を出す事が最優先であり、その他の食事内容などは経過にほとんど関係しません。

 

例えば、母乳であるか人工乳であるか、離乳食の内容、サプリメントをとるかとらないか、薬(漢方薬を含む)を使用するかしないか(ステロイド以外)などです。最も重要な対策は十分な栄養を摂ることになります。

 

一方、アトピーは主に1歳以降に発症し、病態的にはアレルギー的(蓄積疾患)です。不自然な日常生活の蓄積により発症し、治るためには生活の改善が必要になります。

 

例えば、食生活(摂るもの、摂らないもの、油、化学物質、水分など)生活(睡眠、ストレス、運動、日光、除菌、入浴、化学物質、塩素)などについてです。

 

Q10 アレルギーは克服できる病気でしょうか、また、その方法は?

A10 アレルギーには免疫の異常がベースにあります。私たち人は腸内細菌などの膨大な数の微生物と共存している生態系であり、これらの微生物と連携しないと免疫系をコントロールできません。

 

産業革命以来の微生物を排除してきた生活の結果、私たちの免疫系はコントロールを失い、暴走しやすい状態になっています。

 

例えば花粉症に見られるように、本来は敵ではない花粉を攻撃してしまうのが花粉症(アレルギー)であり、同じく本来は攻撃してはいけない自分の細胞を攻撃してしまうのが自己免疫疾患、膠原病です。

 

産業革命から250年ほどたっていますので、現代の先進国に住む人たちは、残念ながら生まれながらにしてアレルギーを発症しやすい状態になっています。

 

しかし、これだけで発症するわけではなく、このベースの上に不自然な生活(食事、生活、心の状態、環境毒、さらなる微生物の排除)の積み重ねがアレルギーを引き起こしていきます。

 

ですからアレルギーの克服には特別な薬やサプリメントや健康食品を摂ることではなく(すべてに意味がないとはいいませんが)、生活のあらゆる面を自然に沿ったものにすることが重要です。

 

とくに腸内細菌の状態がとても大切です。腸活という言葉が流行ってきましたが、免疫系に指令を出しているのが主に腸内細菌ですので、まずは徹底的に腸内を元気にする生活を始められるとよいでしょう。

 

大切なことは、すぐに結果を求めず、地道に続けること。○○したことにより病気が治るのではなく、生活を自然に戻すことにより自然が治してくれるのです。

 

ここでお話ししていることは、現代西洋医学(以下、現代医学)とは根本的な考え方のベースが異なります。現代医学を否定している訳ではありません(現代医学は現代医学の範囲に限っては、ある程度の整合性を持っています)が、現代医学だけでは非常に狭い範囲でのものの見方になると考えています。