第8回「SOS大東京探検隊」(コミック) | 新稀少堂日記

第8回「SOS大東京探検隊」(コミック)

 第8回は、「SOS大東京探検隊」(コミック)です。大友克洋氏の短篇集です。1979年から1995年までに雑誌に掲載された作品集となっています。ジャンルは、青春ものから少女漫画まで多様です。作者のあとがきによりましたら、「童夢」を書いていた時に、時間を見つけて書きためたもののようです。当時、「AKIRA」も連載していますので、最も活動的な時期だったかと思います。


 (5月2日追記) 12編の短篇で構成されていますので、当然作品の質につきましては、むらがあります。ですが、全編を読み通しますと、オオトモ・ワールドが見えてきます。笑えましたのは、「危ない!生徒会長」です。少女マンガです。完結していないのですが、ストーリーはよくできています。平凡な女子高生が、女子高の生徒会長に立候補する話です。対抗馬として、学校一の秀才と、500人の部下を擁するスケバン・グループの番長です。開票の前から、負けると思われたのですが、何故か一位で当選します。その訳とは、・・・・・。シリーズ化して欲しい作品です。


 「猫はよく朝方に帰ってくる」は、作者があとがきで書いていますように、「エロイカより愛をこめて」のパロディです。日本で、ハードボイルドの作品を書こうと思いましたら、このような作品になるかと思います。主人公はイケメン探偵です。今度の依頼は、失踪した猫を探すこと・・・。ヤクザの抗争も絡み、はたして探偵は無事迷子猫をさがせるか・・・。と言う展開です。


 「SOS大東京探検隊」は、小学生5年生三人が、幻の「丸ノ内線 丸ノ内駅」を探す冒険物語です。12編の中では、最も大友氏らしい作品です。1980年の作品ですが、小学生の一人が語る「もう冒険ではなく、塾の時代」となっています。彼らが地下で見たものとは、・・・・。