第9回「ファントム」(ホラー) | 新稀少堂日記

第9回「ファントム」(ホラー)

 第9回は、「ファントム」(ホラー)です。アメリカを代表する現役のホラー作家としては、スティーブン・キングとこのディーン.R..クーンツが挙げられると思います。アメリカでの評価は、断然キングの方がが高いのですが、私はどちらかと言いますと、クーンツの方が好きです。ある時期を境に大バケした作家です。特に「ウォッチャーズ」は面白いのです。


 キングの作品群は、私が見ただけで20作以上が映像化されています。クーンツのこの作品も映画化されていますが、原作の方が圧倒的に面白いのです。小説であるだけに、登場人物の性格設定をおざなりにしていません。700ページほどの本ですが、300ページほどは、謎の提起となっています。この前半部分が面白いのです。ミステリーです。


 妹を引き取ることになった女医は、町に戻ってきます。町は人口500人ほど、冬はスキー、夏は避暑地として成り立っている町です。女医は妹を家に連れてきますが、家政婦は変死しています・・・・。そして、町には人の姿が在りません。派遣されている保安官補も、死体で発見されます。近くの店に寄りますと、夫婦の首が切断されています。残りの住民はどうなっているのか、姿が見えないのです。


 女医は、郡の保安官に連絡します。そして、保安官以下6名が、駆けつけますが、・・・・。8名が、前半の主要登場人物です。ひとりひとりのキャラクターが確り描かれています。彼らは、鏡に化粧品で残されたメッセージを見つけます。「ティモシー  フライト  古代からの  敵」の四つの単語です。前の二語は人名であることに間違いはないと思えます。そして、「古代からの敵」とは、・・・・・。


 後半、犯人が姿を現します。面白い設定です。ラブクラフトへのオマージュのような展開になっています。映画版では、前半部分が大幅にカットされています。どうしても視覚的な問題から、後半部分に力点を置かざるを得ないのが残念です。