第13回「銀河英雄伝説」(コミック) | 新稀少堂日記

第13回「銀河英雄伝説」(コミック)

 第13回は、「銀河英雄伝説」(コミック)です。田中芳樹氏の長編スペース・オペラのコミック化です。アニメ化もされています。コミックでは、原作全十巻のうち、第3巻までです。


 良く出来たスペース・オペラです。2人の英雄が、膠着した銀河の歴史を変える物語です。私にとっては、「スター・ウォーズ」よりも面白く感じています。ヤン・ウェンリーは、「三国志演義」の諸葛孔明を連想させる用兵の天才です。自由惑星連合に属しています。ヤンは、中国姓の「楊」ではないでしょうか。


 自由惑星連合は、自由主義を標榜しているのですが、当初の理念を失い、既に衆愚化しています。しかし、ヤンは、民主主義に対する信頼を失いません。それが、彼の足かせとなります・・・・。


 一方の英雄、ラインハルトは、帝国軍に属してます。帝国も既に500年経過し、皇帝・貴族の腐敗・堕落のため、民衆の不満が爆発寸前となっています。ラインハルトは、帝国内の人材を集め、心密かに帝位を簒奪することを誓っています・・・・。


 そんな2人が、銀河系内で艦隊戦を繰り広げる物語です。帝国は、ドイツ語文化圏の色彩が強く、自由惑星連合は、その他の民族で構成されています。ユダヤ人を想起させる人物も登場します。抜群に面白い小説であり、アニメなのですが、ハリウッドで映画化されることはないかと思います。


 小説版の第一巻は、艦隊戦が中心に描かれ、特に面白い一作となっています。では、コミック版はと言いますと、絵が安定していないのです。キャラの顔が安定していないのです(時に顔が変わります)。やはり、コミックはキレイな絵が命です。面白い原作だけに残念です。