第9361回「世界一優美なワイン選び ジェラルド・アシャー その8、コルビエール、その9、ナパ」 | 新稀少堂日記

第9361回「世界一優美なワイン選び ジェラルド・アシャー その8、コルビエール、その9、ナパ」

 第9361回は、「世界一優美なワイン選び ジェラルド・アシャー その8、コルビエール、その9、カベルネ・ソーヴィニョン(ナパ)」です。コルビエールでフランス編(全8地区)が終わり、ナパからアメリカ編(全3地域)に入ります。


「その8、コルビエール」

 著者のアシャーは、フランス編を締めくくるにあたり、切り口を変えています。「コルビエールのワインを語るには、フランスのワイン史を避けて通ることはできない」、アシャーは女性の友人に、コルビエール及びラングドックのワイン史を語ります。長い話です。


 アシャーはローマ帝国時代から語り始めます。地中海世界を征したローマ帝国の兵士たちは、当時、ガリア人が居住していたコルビエールに植民します。多くの兵士たちは、イタリアに変えることなくガリア人女性と結婚し、この地に止まりワインづくりに励みました。その品質はローマ産のものを上回りました。


 当然、コルビエール産ワインは広くヨーロッパ世界に居住していたケルト人だけでなく、ローマ市民にも愛されるようになります。そのため、紀元92年、元老院の要請により、ドミティアヌス帝は強制的に生産高の半ばを収奪します・・・・。


 その後もローマ帝国などによる強奪は続きましたが、紀元800年、シャルルマーニュ帝が勅許状を出すことにより、政治的にも経済的にも安定しました。ですが、一方ではボルドー・ワインを敵に回すことになります・・・・。そして、時代は19世紀に入ります。この時代、生産者を悩ましたのが、ブドウの病害でした。


 さらに、コルビエール・ワインに敵対する勢力として台頭してきたのが、価格的には安いものの低品質なラングドック・ワインでした。ラングドックはコルビエール村を含む、1980年代にはいりリゾート地として有名になったエリアです。ただ、ワイン・ブランドとしては区別されています。


 最後にアシャーは、アメリカで10ドル程度で買えるリーゾブルな銘柄を紹介しています、あくまで、女性の友人に説明する形で・・・・。私も飲んだ記憶があります。


 『 (コルビエール・ワインは、)フランス南部ラングドック=ルシヨン地方コルビエール村を含むオード県の百数十か村、14400haの畑から生産されるワインで、95%が赤であるが、白やロゼも作られている。AOCを獲得したのは1985年12月であるが、その前のVDQSワイン時代には、今よりさらに多く作られていたため、日本にも多く出回っていた。 』(ウィキペディア)




「その9、カベルネ・ソーヴィニョン(ナパ)」

 ナパを舞台とした名画に、「サイドウェイ」という作品があります。既に書いたブログの冒頭部分を再掲することにします。


 『 第5466回は、「サイドウェイ ワインへの限りない愛着と薀蓄 感想、ストーリー、ネタバレ」です。よく出来たシナリオに裏付けられた良質の映画です。モチーフはワインであり、テーマは人生の"道草"です・・・・。


 この映画は、2009年、日米合作の形で「サイドウェイ"ズ"」のタイトルでリメイクされました。リメイク版につきまして、2回に分けてブログに取り上げています。ストーリーについては、リメイク版を再掲することにしますが、オリジナルのプロットを忠実になぞっています・・・・。 』


 男女4人、1週間の物語です。ナパ・ワインにつきましては、この映画がすべてを語っています。ワインが好きでなくても、人生の半ば、転換点に差し掛かった人には、必見とも言うべき名画です。日本人俳優によるリメイク版では、小日向文代さん、生瀬勝久さん、鈴木京香さん、菊池凜子さんの4人が主演していました。


 ところで、この章のサブタイトルは、「ワインはブドウの木に実る」となっています。ブドウ栽培者と醸造者は一体であるべきだとの主張です。そして、ナパ・ワインが認知されていく経緯を追っていきます。転換点となったのが、1976年、パリで開催されたブラインド・テイスティング方式の品評会でした。フランスのワインをを圧倒したのです・・・・。


 当然、アメリカでのワイン造りの歴史は浅いですので、初期に活躍した醸造家の多くはフランス人でした。彼らは、ワインづくりの原点である「ワインはブドウの木に実る」と主張しますし、著者の考え方とも一致しています。


 最後に、ワイン業者からの引用で本章を締めくくっています。

 『 ・・・・ 濾過をしないことにしているワインは、果実づくりから瓶詰に至るまで、どの段階にも濾過を不要とするための特別の工夫や扱いが施されているのです。かつては無視してきた事柄をもう一度よく考え直す必要があると分かりました。


 たとえば期圧式圧搾機です。今、私たちは月例にそって仕事をしていることをご存じでしょうか。たとえば瓶に詰めるのは、満月が欠け出してからなのです。 』(塚本氏訳)


(追記1) 「サイドウェイ」について書いたブログは次のとおりです。興味がありましたらアクセスしてください。

「オリジナル・ハリウッド版」http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11405160911.html

 ※ 手抜きとなりましたが、キャラクター設定を書き加えた上で、ストーリーはそのまま日本版のものを流用しています。

「リメイク日本版、感想」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11046768884.html

「  〃   ストーリー」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11046768884.html


(追記2) 「世界一優美なワイン選び」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"アシャー"と御入力ください。